「別れよう・・・」

「いやよ」

この会話がもう何度繰り返されたことか・・・覚えていない。
電話で話している時。直接会っている時。
何度も何度も伝えてはその度に拒否をされる。
明るい声で「私からは別れないわよ」って・・・。

自分から別れたいなんて言っているくせに、
本当は別れたいなんて思っていない。
彼女のことが好き。愛してる。
彼女以外に生涯の伴侶は考えられない。

でも、同性同士で暮らすことの辛さや、
家族に話す時のことを考えたら・・・。
だから言う。今日も言う。
心の中に隠し事を作りたくないから・・・。

夜、従業員駐車場の車の中。
私にとって幸せな時間の一つ。
誰にも邪魔されず、ゆっくりとお姉さまと話しをできるから。
運転席に座り、携帯を片手に話し込む。

「もう・・・ダメだよ」

「なんで?」

「だって、どうやってもお姉さまと一緒になれないもの。
なれないのなら今の内に別れる・・・」

「未来のことなんて誰にもわからないわよ。
私と別れるなんて決まっていないじゃない」

「でも・・・」

「私を信じなさい。私が大丈夫って言っているんだから大丈夫!」

それで全ての不安を打ち消せるほど、私は素直な人間じゃない。
だけど・・・聞いた瞬間だけは不安が薄らぐ。
だからつい言ってしまう。目から涙を流しながら。

「そうだね・・・大丈夫だよね」

「そうそう」

結局、同じ言葉を繰り返すに違いない。
何度も、何度も・・・。

大好きだから、もし、家族に別れさせられて、
失ったときがとてつもなく怖い。

全てを捨ててお姉さまに飛び込みたい。
飛び込んで二人で幸せになりたい。
でも、捨ててまで得られる幸せって何?

どうしたいのかわからない。

生まれて初めて愛した人。最初で最後に愛する人。
一緒になりたい。でも、一緒になれなかったら・・・。


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