〜倉敷観光〜
「ねえイッちゃん、時間がないから
この辺の散策と、美術館と、お土産だけになるけど良い?」
「それでいいよ」
「それじゃあ、行きましょうか!」
泊まった旅館があったのは、「美観保存地区」(だったかな?)
といわれる区域にあり、まさに、倉敷らしい町並みを
残している場所にあったので、そこをスタートに
周りを観ていくのにはうってつけの場所であった。
のんびりと歩いていく二人。
昔ながらの町並みに感慨を覚えながら歩く由紀子。
(ここ、営業しているのかな?)と、古ぼけた看板と、
放置されたカンジの店内を見て、現実的なことを考える樹。
二人それぞれの感想を抱きながら、まわっていく。
歩いていると、「いがらしゆみこ美術館」があったけど、パス。
私と姉はまだしも、両親は・・・ね。こんな所にあるとは
知らなかったので、ちょっと驚いてました。
・・・なにがあったんだろう?(ちょっと気になる?)
20分ほど、その辺りをブラブラと散策した後、
美術館へと向かい始めた二人。
近づくに連れ、観光地らしく、お土産屋さんが出てきた。
「川に柳・・・」
「なに?イッちゃん?」
「カエル」
「え?」
「なんでもない・・・」
なにが言いたかったの?樹君?
お、平日の午前中で人気がないのをいい事に、
樹の腕に由紀子が自分の腕を絡ませてるよ。
「由紀子?」
「いいでしょ?別に見られても。せっかくだから・・・」
「・・・・・・」
美術館に近づくと、石垣の所で、
観光客相手の絵描きの人を見つける。
「イッちゃん、描いて貰おうよ。イヤ?」
顔を覗き込むように黒い透き通った瞳を潤ませながら、
樹の返事を待つ。
(弱いのを知ってるくせに・・・)「いいよ」
「ほんと?すみません、お願いします!」
「お姉さん達、観光?美人のままに描いて上げますよ」
「聞いた?美人に描いてくれるって」
お世辞で喜ぶ由紀子に少しあきれながらも、
さっさと用意されていたパイプイスに腰をかける樹。
「そっちのお姉さん、せっかくだからもう少し笑顔。スマイル!」
そんなことを言われながら、絵が描きあがる。
二人が仲良く顔を寄せ合って笑顔を見せている。
さすがおじさん商売人。樹の笑顔を何とか描ききってる。
「イッちゃん、いつもこの笑顔なら良いのにね。
あ、でも、いつもこんな笑顔見せてたら、
他の人がイッちゃんに惚れちゃうかな?
やっぱりイッちゃんの笑顔は私だけのもの!」
勝手に話され、勝手に結論付けられたが、
嫌な気はしない樹。どうせそのつもりでいるから。
さて、ようやく到着した美術館。
色々な画家の絵と、陶芸や美術品が展示されていて、
見ごたえがあった。・・・なぜか幼稚園の遠足と重なったけど。
ちなみに、私がこの旅行記もどきを描こうと思いついたのは、
旅館の喫茶室で二人の姿を思い浮かべたのと、
この美術館の中で、次のセリフを思いついたから。
「ビーナスの絵ね・・・」
小声でつぶやく由紀子の耳元に樹が口を近づけると、
何かをボソッと言っている。
「由紀子のほうが綺麗だったよ・・・」
さすがに声は上げないが、耳が真っ赤になる由紀子。
すました顔で、そのまま歩いて行ってしまう樹。
ハイハイ、二人が親密な仲なのはわかったよ。
さて、美術館を後にして、再び旅館へと足を向ける二人。
その途中にあった、備前焼のお店へと向かう。
「イッちゃん、ここにはいって正解だったようね」
「そうだね」
まるで子供のように、好きなものを目の前にして
目を輝かせる樹。そんな樹を笑顔で見守りながら、
家族へのお土産を探し始める由紀子。
そこは備前焼の窯、直営のお店だった。
品揃えも豊富で、値段も様々・・・だった。
やっぱり、備前焼って土の姿がそのまま美しく残って良いな〜。
「イッちゃん、私のことは気にしなくて良いから、自分の欲しいのを選んでね」
徳利とお猪口を目の前に、悩んでいる樹をみて声を掛ける。
樹は、2つお猪口がついている少しお手ごろな徳利か、
1つだけお猪口がついている少々値段の張る徳利と
どちらを選ぼうか悩んでいた。そんな樹に、
自分の事を気にして本当に欲しいのを選ばないなんて事をして欲しくなかった。
「どちらがおすすめですか?」
そう、店員さんにも聞いてみる。
「職人さんのものですと、万人受けする様には作っています。
陶芸家の作品ですと、面白みと、味がありますよね・・・」
「イッちゃん、どうする?」
「こちらを下さい」
そういって、決めたのは、お猪口一つの徳利。
やっぱり欲しかったのか、顔がニコニコ顔になっている。
で、買ったのが写真の徳利。
お気に入りなんだけど、使えるかな?
今は、箱に入れて、大切に自分の部屋においてあります。
割れるといけないので、買った備前焼は宅配便。
由紀子は陶器のビールカップを買った。
だからではないが、次に目指すは、地ビールのお店。
「あれ、なんかお店が暗いわね」
「人が誰もいない」
「変ね?」
そういいながら、店の周りをぐるりと歩くと、
「定休日 水曜日」の張り紙。・・・残念だったね。
「あ〜ん、こんなことなら昨日のうちに
ここだけ来ておけば良かったな」
「しょうがないよ。定休日って知らなかったんだから」
「そうね・・・他でも買えると思うし」
ところが、この「倉敷ビール」、意外と売っていない。
岡山の地ビールが幅を利かせているためか、
結局買えたのは、倉敷駅のキオスク・・・。
旅館に戻り、タクシーをお願いしている間に、
これまた近くにある、酒蔵へ行くことに。
もちろん、樹の希望である。
・・・って、酒を飲むのか?樹は?酒豪?
「イッちゃん、タクシーすぐくるから、時間ないわよ」
「わかってる」
そうは言うものの、種類が多すぎて、どれにするか迷う。
みているうちに時間が経ってしまい、
ついに、タクシーが旅館に到着する。
「あ、タクシーきちゃった。待たせるといけないから・・・
イッちゃん、これにすれば?」
「吟醸酒・・・そうだね、これならいい」
とまぁ、結局買ったのが金賞受賞とやらの吟醸酒。
名前は・・・忘れた。包装紙に包まれたままだし。
後日、開けたら、写真を載せましょうかね?
「どうも、お世話になりました!」
旅館の人たちに挨拶を済ませると、タクシーに乗り込む二人。
その中での運転手さんとの会話の一部。
「お酒を買われたんですか?」
「ええ、旅館でいただいて気に入ったものですから」
「あそこのお酒は美味しいんですよ」
「地元の方も飲まれるんですか?」
「もちろん飲みますよ。一本2万5千円のお酒があるんですけど、
これがまたおいしんですよ!!」
「・・・ということは、飲んだことがあると」
「そうなんですよ、ははは!」
・・・いいな〜、そんなお酒を買ってみたい。
量より質。自分好みの日本酒を見つけたいな。
さて、こんなカンジで倉敷観光は終了。
後は、二人は家に帰るだけ。ちょっとだけその場面を・・・。
「イッちゃん、駅弁なにが良い?」
「これ・・・かな?」
場所は移動して岡山駅。
ここから乗る新幹線の中で食べる駅弁を選択中。
「お昼を過ぎて間もないのに、もう、売り切ればかりね」
「仕方ないよ」
「じゃぁ、私はこれにしようかな?」
さて、二人が選んだ駅弁はというと、
たこ飯と、祭り寿司。(ちょっとみづらい?)
どっちがどっちでしょうね?
「イッちゃん、また旅行に行こうね!」
「自宅が一番」
「また!何でそう言うの?」
「その方がゆっくりと由紀子と過ごせる・・・」
「イッちゃん・・・」
「・・・でも、たまにはいいかも」
「じゃぁ、今度は・・・」
はいはい、どこにでも行ってくださいな。
私もお付き合いいたしますよ!!
あとがき
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