殺したいほどアイ・ラブ・ユー
I LOVE YOU TO DEATH 1990年
監督:ローレンス・カスダン
脚本:ジョン・コストメイヤー
ケビン・クライン、トレイシー・ウルマン、ジョーン・プローライト
リヴァー・フェニックス、ウィリアム・ハート、キアヌ・リーブス

イタリア人のジョーイ(ケビン・クライン)は、妻のロザリー(トレイシー・ウルマン) とともにアメリカで小さいピザ屋を経営する中年男性。彼はとても良く働き、ふたりの 子どもを心から愛する父親であった。しかし実はこのジョーイにはとんでもないほどの浮気 グセがあり、適当な理由を言っては店や家を抜け出し、他の女性のもとへ通っていたのだった。 ロザリーはそんなジョーイをまるで疑うこともしなかったのだが、ピザ屋のバイトで あり、密かにロザリーに思いを寄せる青年ディーボ(リヴァー・フェニックス)は薄々ジ ョーイの行動に気づいていた。

偶然図書館で、彼の浮気現場を目撃しまい彼の本性を知ったロザリーは、ジョーイの 殺害を決意。同居する自分の母親の知り合いに頼んだり、彼の車に細工をしたりするのだが、な かなか上手く殺すことが出来ない。そこでふたりはジョーイの食事に大量の睡眠薬を 混ぜ込み眠らせ、ディーボを家に呼び、彼にジョーイの頭を銃で打ち抜かせるのだった・・・。

しかし何故か死なずに眠っているジョーイ。戸惑う3人は、悩んだ末プロの殺し屋を雇うこと にしたのだが、雇ったハーラン(ウィリアム・ハート)とマーロン(キアヌ・リーブス) には実は殺しの経験は無く、さらに麻薬中毒のためかかなり抜けているところがあった・・・。

ケビン・クラインが、許せなくも憎めない不死身のジョーイを印象深く演じていますが、 それ以上に自分の中で気に入ってるのが、リヴァー・フェニックスとキアヌ・リーブス。 純粋な好青年ディーボと、ボケボケでつかみどころのないマーロンは、今作品の中でジョーイ に次ぐ強いインパクトを与えていると思います。この作品で友情を育んだリバーとキアヌ のもうひとつの共演作、「マイ・プライベート・アイダホ」の同性愛者という役柄とはまっ たく違う、明るいコメディタッチな役柄を本作では楽しむことができると言えます。

リヴァー・フェニックスといえばこの「マイ・プライベート・アイダホ」、 「スタンド・バイ・ミー」や「モスキート・コースト」、アカデミー賞助演男優賞にノ ミネートされた「旅立ちの時」、などが挙げられるが、唯一のオトボケキャラである本作「殺し たいほどアイ・ラブ・ユー」をはずす事は出来ません。

ベジタリアンを貫き通した彼リヴァー・フェニックスの環境保護への努力など、スクリーンの外で もその人間性を高く評価された彼を1993年10月30日に失ったことは今でも悔やまれます。コカイ ンとヘロインの過剰摂取が死因と言われていますが、彼のハリウッドスターとしての立場・将来 を捨ててでも、リハビリ施設に入り治療をするべきではなかったのではないかと思うことも今では しばしばあります。そう思うのも「第2のリヴァー・フェニックス」と言われるレオナルド・ディカ プリオが、やはり彼ほどのカリスマ性を持つ人間になりきれていないと思われるからです。

ちなみに自分の一番好きなリヴァー作品は上のどれでもなく「愛と呼ばれるもの」です。 彼を看取った恋人サマンサ・マシスとの共演、リヴァーの歌声など、彼の思い出に浸るには最適な 作品と言えるでしょう。