クレしん科学読本 その2 暗黒タマタマのシロについて

シロはすごいのか
 97年公開の映画「暗黒タマタマ大追跡」で、シロは東京駅の新幹線車内に取り残されていました。しかし翌朝、無事シロは野原家の前にいたのです。ここで、本当にシロは一晩のうちに帰ってこれるのかを科学的に追求してみます。ついでに野原一家も調べました。

フルマラソンの距離を歩け!
 東京駅から春日部までは、地図で測ったところ、直線距離で約35kmあります。しかし、実際には一直線に歩けるはずはなく、もう少し長くなります。どのくらいの距離かイメージしやすくするため、フルマラソンと同じ42.195kmと仮定することにします。
 で、シロの歩行速度については、正確にはわかりません。しかし、かつてのエンディングテーマ「月灯かりふんわり落ちてくる夜」のアニメーションで、野原一家と一緒に歩いていて、この時シロはごく普通に歩いていました。つまり、シロが普通に歩くと、人間とほぼ同じとみなしていいでしょう。よって、シロの通常歩行速度は時速4kmと考えられます。これなら、所要時間は10時間33分になります。走ればもっと速いけれど、シロの小さな体にはそんなに長く走れるだけのスタミナがあるとは考えられません。しばらく走ったら休み、となり、結局はずっと歩くのとそう変わらないでしょう。

シロの持ち時間はいかほど?
  映画のストーリーを追ってみると、ひまわりがヘクソンにさらわれて、翌日まず車で青森駅(かな)へ行き、特急はつかりで盛岡へ、東北新幹線で東京へ、山手線で新橋へ、そこからゆりかもめで臨海副都心へ行ってました。
 で、臨海副都心に着いたのが日没の頃でした。また、東京駅から臨海副都心までは乗り換えなどで約35分かかったのではないかと思われます。この話の時期は、劇場公開時だからたぶん4月下旬から5月上旬でしょう。すると、この頃の東京の日没は18:15ぐらいなので、東京駅到着は17:40頃と推測されます。
 また、翌朝シロが登場したのは、幼稚園バスが野原家に来た直後だったので、8:00頃でしょう。すると、シロに与えられた時間は14時間20分となります。おっ、これなら余裕で間に合う。3時間半ほど仮眠もとれるではないか。

やっぱりシロはただの犬ではない
 しかし、今の話はあくまでも迷わなかった場合のことで、実際にはいくらシロが利口でも少しは迷うでしょう。犬にとって一番大きな手がかりはにおいです。犬の嗅覚は人間の6000倍とも言われますが、東京駅から野原家のにおいはいくらなんでも嗅ぎ分けられないでしょう。とりあえず、埼玉県突入までは迷うものとして考えてみます。さて、かつて日本テレビの某番組で、「子犬の帰巣本能でお家に帰れるか」という実験をしてました。この実験では、4kmほどの距離を進むのに迷いながら約4時間かかっていました。もちろんここの犬は普通の子犬であって、シロはその犬とは比べものにならないほど賢いので、埼玉県に入るまではその子犬の2倍のペースだとして、そこから時速4kmで歩いたと仮定します。すると、埼玉県突入まで15kmほどあって、ここまで時速2kmのペースで野原家に接近して、残り27.195kmを時速4kmで進んだことになるので、所要時間は7時間30分+6時間48分、合わせて14時間18分となります。
 おおっ、先ほど計算した持ち時間、14時間20分と信じられないほどぴったりだ!
 うーん、「暗黒タマタマ」のシロは科学的に見ても正しかったのです。感動的な結論(笑)ですねぇ。

野原一家は間に合うか
 しかし、シロは間に合ったが、野原一家も帰ってこれるか検証しなくてはこの映画は完結しません(大げさだなぁ)。
 劇中では、ヘクソンを倒す直前に日が昇ってきました。この頃の東京の日の出は4:50頃になります。それからジャークが登場し、最終的に解決するまで1時間ほどとすれば、5:50から8:00まで2時間10分あることになります。
 野原家は、東武鉄道春日部駅から徒歩15分ほどの距離のようなので、春日部着7:45くらいを手元の時刻表で探してみると、

 新橋6:31−都営浅草線(京成乗入)−浅草6:44
 浅草6:52−東武伊勢崎線準急−春日部7:40

 問題は新橋までゆりかもめでどのくらいかかるかだけど、東京タワーとレインボーブリッジの見え方からして、舞台はお台場海浜公園のようです。新橋着6:19の列車を調べると、お台場海浜公園駅を6:07に発車するので、5:50に出れば間に合うでしょう。ただ、この時刻は99年12月のものなので、97年当時は多少時刻が違うはず。でも、少々違っていても同じような時刻の列車はあるだろうから間に合うことはほぼ確実でしょう。かくして、シロも野原一家も8:00には野原家に着けることが確認されました。よかったよかった。でめたしでめたし。

 
 






フルマラソン

オリンピックで日本人選手のメダルが期待できる数少ない陸上競技。本文にあるように42.195kmの距離を走る。この距離はギリシャのアテネ・マラトン間の距離だそうで、マラトンがマラソンの語源だという。ちょうど半分の21.0975kmを走るのをハーフマラソンと言い、単にマラソンと言えばフルマラソンを指す。
地図で測った
地図には野原家の位置が載っていないので、春日部駅を目安に測った。
「月灯かりふんわり落ちてくる夜」
97年10月から98年11月までのエンディングテーマ。小川七生が歌っていた。

















東京駅から・・・

距離が遠いというのもあるが、やはり東京の汚い空気がじゃまするでしょうから。
























東武鉄道
関東の大手私鉄。浅草と伊勢崎を結ぶ伊勢崎線、大宮と船橋を結ぶ野田線が春日部で交差する。ちなみに、警察車両に送ってもらうという手もあったが、電車の方が速いので考えなかった。


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