「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国」の個人的感想を書きます。ネタバレにはやっぱりなりますので、そのあたりはご注意ください。
いきなり1970年の万博会場に野原一家が。何で?どうして31年前の世界に今の野原一家がいるのだ?と思わせているうちに事件発生、やがてそれが撮影だということを知るわけですが、引き込まれていきましたね。なぜだという気持ちを抱きながらも話に引き込まれる、不思議な力を感じました。
そしてオープニングテーマ、「ダメダメの歌」ですが、いつものテレビ音声とはさすがに違い、迫力満点ですね。ぶりぶりざえもんも登場しましたが、やけに体の厚みが薄いのに笑いました。
さて、次第に大人が20世紀博の匂いにのまれていき、親が親でなくなるとは子どもにとっては恐怖の経験ですね。さすがにこのあたりは笑い声はほとんど起きず、ただただ様子をうががう感じでしたね。翌日になり、大人たちがオート三輪の荷台に乗って行ってしまうシーンでは、私としては何とも言えない気持ちになりましたが、子どもたちは笑っていました。このあたり大人と子どもの意識の差が出ますね。まあしんのすけが塀の上を駆け回るその姿そのものは面白いですけれど。その後柱にぶつかるのも…。
コンビニシーン、ごみ箱などをかぶって侵入し、その後小学生に乗られた時にしんのすけがかんちょうしますが、このシーンではしんのすけが手を組むさらに前、穴を見上げた時点ですでに場内はわいていました。やっぱりクレしんにはこういうものがないと。もちろん私も大いに笑ってしまいました。 それに続くスナック「カスカビアン」シーンですが、笑えるシーンではあるものの物語の本筋からは外れているのではないかと思わせていて、実はこの話の重要な「匂い」のことが触れられているのですね。さすがにクレしん、このへんの伏線の作り方はうまいですね。
そして夜になり、マサオ君が迎えのオート三輪に乗りたがるあたりはしっかりキャラクターが出てますね。で、サトーココノカドーはちゃんと開いていたのでしょうか。中に入っていっていたので開いていたんでしょうね。ベッドで寝ていましたが、あれは売り場にあった売り物のベッドなのでしょうか。どうなんでしょう。話の本質とは関係ないものの気になったりもしました。
サトーココノカドーから幼稚園バスまでの逃走劇、ここは笑いの連続でしたね。もちろん私もほぼ笑いっぱなしでした。特にひろしがおもちゃの家から出られなくなったその姿はなんともいえないおかしさが…。とは言え、ひろしやみさえが「ガキがいたぞ!」とか「何だこの赤ん坊は!」とかいった時にはやはり親子関係の消滅ということで、複雑な気分になったりもしました。
そしてみんなで協力してバスを運転する一連のシーンですが、ここもほとんど笑いっぱなしになっていました。マサオ君の豹変ぶりや、追われていても制限速度を律儀に守る風間君など、それぞれの性格がしっかり発揮されていますね。そして、笑いっぱなしだったこのシーンで特に大きく場内がわいたのは、しんのすけがバスの屋根から放尿するシーンでしたね。もちろん私も大いに笑わせてもらいました。ちと残念なのは、予告の段階でもう放尿シーンは流れていたことです。それでもしっかり笑いが起きているのですからさすが、こういうネタは子ども受けがいいですね。
その後、泣ける山場がやって来ますね。カーチェイスで思う存分笑わせておいて、この転換にはしてやられますよ。ひろしが万博会場で子どもに戻っているところ、しんのすけが靴の匂いをかがせてひろしが少年時代から現在までを回想するシーンでは、「あぁ、ひろし若いなぁ」とか思っていましたけれど、その後正気に戻ったひろしがしんのすけを抱いて泣いている姿を見て、思わずもらい泣きしてしまいました。そうしてみさえもひろしの靴の匂いで記憶が戻るのですが、このようなエピソードに「クレヨンウォーズ」(1997年10月10日放送のスペシャル)があったなぁとか思い出しつつ、夕日町の様子には不思議と懐かしさを感じてしまいました。何でだろう。生まれが1980年で、あんな街並みは特に記憶に残っているわけでもないのに・・・。
そして野原一家がタワーへと向かっていく途中のシーンで、一家の気迫が感じられました。その気迫はタワーでひろしが閉まりかけのエレベーターにしがみついたりしているシーンでもしっかりと確認できますし、やはりそうして伏線を作っておくことにより、いっそう心に残るのですね。タワーの骨組部分でのシーンでは、しんのすけがぞうさんを丸出しにしたり、「みさえのケツはでかい」「ケツでかいしお便秘5日目」とか言っていたりしたところでは笑ってましたが、やはりハラハラドキドキさせられましたね。特にみさえが落ちそうになり、ひまわりをかろうじて受け止めて宙吊りになるあたり、心臓に悪かったですね(笑)。ここいらから、家族の絆の強さというものを感じさせられるようになってきました。
ひろしが必死にエレベーターを足止めするシーンでの一言一言、実に重みがありました。本当に絆の強い一家だからこそ言える言葉なのでしょうね。家庭崩壊とかが社会問題になったりする時代ですが、野原一家を見習ってほしいです。ボロボロになりながら、そして鼻血を出しながらも必死にタワーを駆け上がるしんのすけの姿、テレビの予告でも流れていましたが、やはり泣いてしまいました。「止まらないで!早く行って!」なぜだかこの一言がここのシーンで最もグッときたりしました。そして最上部に到着し、何度振り払われてもケンの足にしがみついて止めようとするしんのすけの姿を見ていると本当に涙が止まりませんでした。今これを書きながら思い出すだけでも涙が浮かんできそうです。その後、しんのすけが発した言葉にまたまた感動し・・・。とにかくこの辺はほとんど涙流しっぱなしになっていて、周囲の反応はよくわからない状況でした。
それから、ケンとチャコがタワーのへりに歩いていった時にはドキリとしました。本当に飛び降りてしまうのか、やめてくれ!と心の中で叫んでいましたが、鳩が阻止し、それでケンが「また家族に邪魔された」。たったそれだけの言葉ですが、深く心にくるものがありました。
そしてエンディングですが、周囲の人がエンディングテーマ開始とともに席を立つので感動の余韻に浸りたかったのがそこまでいけませんでしたね。それがちと残念だったりします。「元気でいてね」いい歌なのに…。きっとこの歌詞をちゃんと聴けば感じるものがあるはずなのに…。