仁義なき戦い 

段無用ノ介の生まれ育った町で実際に起きた暴力団抗争。その「仁義なき戦い」は組織を生きていく我々にとってのバイブルでのある。全5部作
日本暴力団抗争史上、最も多くの血を流したといわれる“広島ヤクザ戦争”。その渦中にいた美能組々長・美能幸三の獄中での手記をもとに、作家・飯干晃一が未踏のやくざ世界を鋭くえぐったノンフィクションを映画化。昭和48年の登場以来、深作欣二監督が描く人間性を剥き出しにしたバイオレンスの美学、主演・菅原文太の野良犬の如き血気盛んな演技が観る者の心を捉え、公開同時に社会的大反響をまきおこした衝撃シリーズ。
DVD「仁義なき戦い」全5部作
サントラ「仁義なき戦い」
仁義なき戦い
仁義なき戦い
監督 深作欣二
助監督 清水彰
脚本 笠原和夫
原作 飯干晃一
配役
広能昌三(山守組組員) 菅原文太
坂井鉄也(山守組若頭) 松方弘樹
槙原政吉(山守組組員) 田中邦衛
若杉寛(土居組若頭) 梅宮辰夫
国弘鈴江(若杉の情婦) 中村英子
有田俊雄(新開の舎弟) 渡瀬恒彦
上田透(上田組組長) 伊吹吾郎
山守義雄(山守組組長) 金子信雄
利香(山守組姐さん) 木村俊恵
神原精一(山守組組員) 川地民夫
新庄秋子(山方と坂井の情婦) 渚まゆみ
大久保憲一(長老格の親分) 内田朝雄

昭和22年、敗戦後焦土と化した呉市で、復員兵広能昌三(菅原文太)は友人の山片新一(高宮敬二)に怪我を負わせた旅人を、山守組の組員の代わりに射殺する。結果として刑務所行きとなった広能は、土居組若頭若杉寛(梅宮辰夫)と兄弟分となる。

出所後、山守義雄(金子信雄)の盃を受けた広能は山守組組員となる。広能は組員として、山守を盛り立て、精力的に活動するが、山守組が巨大化するにつれ、呉のもう一方の暴力団土居組との対立を深めていった。そんな折、神原精一(川地民夫)の裏切りにより、土居組と一層対立を深めた山守は若杉を味方に引き入れることに成功し、さらには広能に土居組組長土居清(名和広)の射殺を命じる。奥悩する広能であったが、土居に重傷を負わせ、再び刑務所へと戻っていった。その後、若杉は山守への不信感から、山守組を離れる決意をするが、神原を射殺したことを山守と槙原政吉(田中邦衛)に密告され、逃亡中、警察に射殺される。

土居の死により呉を手中に収めた山守組は、若頭坂井鉄也(松方弘樹)と上田透(伊吹吾郎)を中心とする一派と新開宇市(三上真一郎)と有田俊雄(渡瀬恒彦)を中心とする一派に分かれ、徐々に内部分裂の兆しを見せはじめる。この2派は激しく対立し抗争を始めるが、親分山守の老獪な戦術により次々と若者が死んでいった。そして広能は岐阜刑務所を仮出所するのだが…。

これまでの東映ヤクザ映画を根底から覆した、記念碑的作品。「仁義なき戦い」全5部作はどれも面白いが、やはり第1作が一番面白い。過激なバイオレンスシーンや男たちの腹の探り合いなど、その後のシリーズに続く良いエッセンスがすべて詰まっている。個人的には、有田俊雄役の渡瀬恒彦がいい味を出していると思う。


-----------------------------名言集---------------------------

神輿が勝手に歩けるいうなら、歩いてみいや

言った人 松方弘樹
言われた人 金子信雄

「オヤジさん。言うといたるがの。あんたはわしらが担いどる神輿じゃないの。組がここまでになるのに誰が血流しとるの。
神輿が勝手に歩けるいうなら、歩いてみいや。おお。わしの言うとおりにしとりゃ、わしらも黙って担ぐわ。のお、おやっさん。喧嘩はなんぼ銭があっても勝てんので。


馬の小便、いうなら、ホンマもんの小便飲ましたろうか

言った人 菅原文太
言われた人  伊吹吾郎


「なんや。これは馬の小便か。ビールならもっと冷やいのを持ってこんかい。おお」堪忍袋の尾が切れた広能は上田に殴りかかる。「馬の小便、いうなら、ホンマもんの小便飲ましたろうか」「おお。飲ましてみいや」賭場は大乱闘になる。静止する坂井。報告を受けた山守は広能にどなり散らす。「いたあしいことしてくれたよのお。こんなが喧嘩を売った上田いうボンクラはよお、媒酌人をしてくれた大久保さんの遠縁にあたる男よ。どうするんなら」

おやっさん、こりゃ最初から大久保が絵に描いたんじゃないですかのう

言った人 松方弘樹
言われた人  金子信雄

「おやっさん。金丸には同じ町内出身の土居がついとるんですよ。それに上田は昔から土居ににらまれとるし、そがいなもんに肩入れして、土居と張り合おうちゅうんですか」頭を抱える山守。
呟く坂井。「おやっさん。これは初めっから大久保が絵描いたんじゃないですか。上田が盆でアヤつけたのも、わしらのケツ借りようちゅう魂胆で」「大久保さんはそんな悪い人じゃないよ。それに今度金丸派が勝ってみい。土居の力はよいよ強うなって手に負えんようになるぞ」


狙われる者より、狙う者のほうが強いんじゃ。そげなこと考えると隙ができるど

言った人 菅原文太
言われた人  松方弘樹

「それで新開や矢野が戻ってくる言うの。おお。おのれの手は汚れとるんじゃ。はようやれや」しかし坂井は広能を殺せなかった。
「のお。昌三。我らはどこで道を間違えたんかのお。夜酒飲んでつくづく極道がイヤになって足を洗おう思うても、朝になって若いもんに囲まれるとコロッと忘れてしまうんよ」
「最後に言うといちゃるがのお、狙われる者より、狙う者のほうが強いんじゃ。そげなこと考えると隙ができるど」
「仁義なき戦い・広島死闘編」
監督 深作欣二
助監督 清水彰
脚本 笠原和夫
原作 飯干晃一
配役
広能昌三(広能組組長) 菅原文太
大友勝利(大友組組長) 千葉真一
上原靖子(村岡の姪) 梶芽衣子
江田省三(村岡組若衆) 山城新伍
村岡常夫(村岡組組長) 名和宏
松永弘(村岡組若衆頭) 成田三樹夫
島田幸一(広能組若衆) 前田吟
山守義雄(山守組組長) 金子信雄
利香(山守組姐さん) 木村俊恵
山中正治(村岡組若衆) 北大路欣也
高梨国松(村岡の舎弟) 小池朝雄
中原敬助(大友組幹部) 室田日出男

昭和27年、些細な傷害事件で刑務所入りした山中正治(北大路欣也)は、出所後、飲み屋で大友連合会会長大友長次(加藤嘉)の実子、大友勝利(千葉真一)ら愚連隊に集団リンチを受けていたところを、飲み屋の女主人で村岡組組長村岡常夫(名和広)の姪、靖子(梶茅衣子)に助けられる。それを縁として、山中は村岡の若者となる。

山中と靖子は次第に愛し合うようになったが、そのことを聞きつけた村岡は激怒し、山中はいったん九州へと逃れた。しかし九州で山中は一つの殺人を見事に請け負ったため、次第に評判となり、ついには村岡に許されて盃を受け、正式な若者となった。

一方、広島では、競輪場の警備を村岡組が独占したことから、大友勝利は村岡組と対立するようになった。平和解決を望む大友長次は、村岡組に屈し勝利を破門とする。だが、勝利は後見人として時森勘一(遠藤辰雄)の支援を受け博徒・大友組を結成する。ここに村岡組と大友組の激烈な抗争が勃発した。

その頃、呉では、山守組組長山守義雄(金子信雄)との盃を水にした広能昌三(菅原文太)がささやかな一家を構えていた。そこへ、村岡から命を狙われ、山守のもとへ時森が逃げ込んできた。村岡にも義理のある山守は、広能に時森の保護を頼んでくる。こうして村岡組と大友組の抗争は、山守と広能をも巻き込んで拡大の一途を辿っていった…。

衝撃的作品「仁義なき戦い」の2作目。広島死闘編はシリーズ全編の中でも異色作である。今回は広能は一歩引いて脇役に回り、山中が悲しきヒットマンとして主役を演じる。広能が主役でないため、私の評価は今一歩低いが、何といっても、大友勝利役の千葉真一の切れっぷりがすさまじい!


-----------------------------名言集---------------------------

あれらオ○コの汁で飯食うちょるんど。

言った人 千葉真一
言われた人 金子信雄

「競輪はバクチじゃけん。バクチうちのテラじゃろうが。神農道の稼業人が手をつけては仁義が立たんと言いよるんど」「はっはっは。何がバクチうちや。おお。村岡の持っちょるこつは何を売っちょるの。淫売じゃないの。言うなら、あれらオメコの汁で飯食うちょるんど。のお、おやっさん。神農言うてもバクチうち言うても、うまいもん食べてマブいスケ抱くために生まれてきたんじゃないの。そりゃゼニがなきゃ出来やせんので。ゼニに身を張って何が悪いの」

おい。ここらの犬はしつけが悪いのお。わしら犬殺しと間違えちょるんかのお

言った人 菅原文太
言われた人  野口貴夫

「おやっさん、わしら晩飯の支度に肉こうてきますけえ」「ほうか。ゼニ持っとるんか」「ええ、まあ」騒ぎたてる犬。「おい。ここらの犬はしつけが悪いのお。わしら犬殺しと間違えちょるんかのお」「えへへ」島田は犬を追い掛け回す。そして焼肉が用意される。「お前らも食わんか」「いいや、これはおやっさんにこうた肉ですけえ」「何を言いよるんなら。遠慮でんでやれや」吠え立てる犬。「犬の奴らも腹をすかしとるんかのお」肉を投げ捨てる広能。「なんや。食わんど」島田たちの様子がおかしいのに気づく広能。「お前ら、何の肉こうてきたんや」「すいません。わし指詰めますけえ」「糞タレ。この。ええわ。明日山守におうてくるわい」

おお。おお。よう当たるのう

言った人 千葉真一
言われた人  子分

勝利は村岡組のチンピラを小船に乗せて無人島に行く。「こらえてつかあさい。こらえてつかあさい」「われ、山中がどこ隠れちょるか唄わんかい」「ほんまに、知らんのですけえ」そしてチンピラは宙吊りにされる。「ええか。よう見とけ。こんな時に射撃覚えとかんといざという時役に立たんけえのお」拳銃をぶっぱなす勝利。「よう当たるのう。おお」勝利の腹心の中原はあまりの無残さに眉をしかめる。
「仁義なき戦い・代理戦争」
監督 深作欣二
助監督 清水彰
脚本 笠原和夫
原作 飯干晃一
配役
広能昌三(広能組組長) 菅原文太
武田明(村岡組幹部) 小林旭
槙原政吉(槙原組組長) 田中邦衛
岩井信一(明石組若衆) 梅宮辰夫
村岡常夫(村岡組組長) 名和宏
松永弘(村岡組若衆頭) 成田三樹夫
倉元猛(広能組組員) 渡瀬恒彦
山守義雄(山守組組長) 金子信雄
利香(山守組姐さん) 木村俊恵
打本昇(打本組組長) 加藤武
明石辰男(明石組組長) 丹波哲郎
大久保憲一(大久保組長) 内田朝雄
 昭和35年、病気療養中の村岡組組長村岡常夫(名和広)の跡目として有力視されていた村岡の舎弟杉原文雄(鈴木康弘)が、白昼堂々広島市内で射殺される。この射殺事件をきっかけに、広島では史上空前の抗争が繰り広げられることになるのである。

杉原の死により、一躍跡目候補として浮上した打本会会長打本昇(加藤武)は、村岡組幹部の松永弘(成田三樹夫)、武田明(小林旭)、江田省一(山城新吾)、広能組組長広能昌三(菅原文太)らと兄弟分の盃を交わし、広島の新興世代の頂点に立った。さらに打本は足場を固めるため、西日本最大の暴力団明石組幹部岩井信一(梅宮辰夫)と親しい広能を通して、明石組と盃を交わしたのだった。

ところが、明石組との盃を快く思わない村岡は、打本でなく呉の山守組組長山守義雄(金子信雄)に跡目を譲ったのである。こうして、山守は事実上の広島の頂点に立つが、明石組組長明石辰雄(丹波哲郎)の舎弟盃を受けた打本と徐々に対立を深めていった。

最初は劣勢であった打本会は、明石組の支援を受け、徐々に巻き返しを図り山守組を圧迫していった。そんな中、山守組若頭に就任した武田は、明石組のライバル神和会と盃を交わす。その結果、明石組に近い広能は山守から破門される。こうして明石組系列の打ち本会と広能組、神和会系列の山守組との間で、壮絶な代理戦争が展開されることになったのである…。

「仁義なき戦い」の第3作目。前回は脇役に回った広能だが、今回は主役として完全復帰し、久々にはじけた文太を見せてくれる。今回はより一層政治的駆け引きがクローズアップされ、集団心理劇の様相を帯びてきている。個人的には松永弘役の成田三樹夫が本職っぽくて良い。


-----------------------------名言集---------------------------

指揮官は一人で十分じゃろ。お前がやられたら骨は拾っちゃるけえ

言った人 菅原文太
言われた人 田中邦衛

反論する松永。「こがいな喧嘩を本気で考えとられるんですか」「わしゃ、若い衆に意見されたのは初めてじゃ」泣き出す山守。慌ててわびを入れる松永。山守は女たちと飯を食いに行く。張り切る槙原。「よおし、わしがトラックを集めるけん。お前ら兵隊を用意してくれ」そして槙原も飯を食いに行く。溜息をつく広能。「ああ、やれんわい。今日の泣きは出来が悪かったのお」「なんじゃ」「あれはいつもの手よ。オヤジはの、槙原を男にしたろう思うて、つまらん喧嘩を大きゅうしようとしとるんぞ。馬鹿らしゅうて付き合いきれるかい」

そしてトラック軍団が岩国に。張り切る槙原。「よおし。これから小森のところに殴りこみじゃ。出発」しかし江田や広能や松永は反発する。「おい。わしら打本と盃交わしとるけえ、殴り込みまではできんぞ」「わし一人でどうせえいうんよ」「指揮官は一人で十分じゃろ。お前がやられたら骨は拾っちゃるけえ」「わしらに遠慮せんで行きないや。のお、殴りこみによ」「じゃあ、わしもやめるわい」



広島におってよ、わしより大事な客がおるかい

言った人 金子信夫
言われた人  加藤武

江田は別のテーブルにいた打本を見つけて、同じテーブルに来るよう誘う。渋々席を移動する打本。「他に客がありまして」笑い飛ばす山守。「広島におってよ、わしより大事な客がおるかい。こういう馬鹿ですけえ、村岡さんもサジを投げられたです。おお、打本。わしの組にきて働かんかい」「だとえ舎弟言われても断わりますよ。わしは明石さんを親分だと思うとります」

笑い飛ばす山守。「誰が舎弟言うたかい。こんなが若い衆に使うてくれいうたら、使うだけよ。この打本いうたら、えろうない、えろうないいうて、こんな馬鹿はおらんです。もう明石さんにべたぼれでして、朝から晩まで神戸のほうを向いとりますわい。まあこんな馬鹿じゃが面倒みてやってください」悔し泣きをする打本。「お前、どうしたの。泣いとるの。泣かんの。泣かんの。飲め」

おう。こうなりゃ五寸じゃけえ、山守先頭にいつでも来いや。いつでも相手になっちゃるで

言った人 菅原文太
言われた人 田中邦衛

明石組は打本の舎弟の早川を破門にさせ、予定とおり一同の盃を復活させる。神和会は山守の責任を迫る。広能の思惑通り、山守は追い詰められていくが、事態は予想外の方向に進み始める。大久保は広能のところを訪れる。「今、武田が来よっての、山守組と親和会の出した結論をわしに伝えにきおったんじゃ。ほいで、こんなにカタギになれいうんよ」「わしがカタギに」「わしゃ、広能はカタギにならん言うちゃったんじゃ。ほしたら、いきなりこげなもの渡しやがった」

それが広能に対する破門状であった。「こうなりゃ、お前もとことん腹を決めえ。のお」広能は武田に山守組のバッチを返す。「そっちの筋書き通りにいったのお。うまく大久保さんを引っ掛けてのお。こんなを信じ込んだわしが甘かったわい」「まあ、組があってのわしらじゃけえのお。こんなみたいなのは出てもらうわい」嘲笑う槙原。「ははは。ざまあみやがれ。勝負せんかい」「おう。こうなりゃ五寸じゃけえ、山守先頭にいつでも来いや。いつでも相手になっちゃるで」捨てゼリフを残し、事務所を出る広能
「仁義なき戦い・頂上編」
監督 深作欣二
助監督 土橋亨
脚本 笠原和夫
原作 飯干晃一
配役
広能昌三(広能組組長) 菅原文太
武田明(山守組若頭) 小林旭
槙原政吉(槙原組組長) 田中邦衛
岩井信一(明石組若衆) 梅宮辰夫
江田省一(山守組幹部 山城新伍
岡島友次(養西会会長) 小池朝雄
早川英雄(早川組組長) 室田日出男
山守義雄(山守組組長) 金子信雄
利香(山守組姐さん) 木村俊恵
打本昇(打本組組長) 加藤武
藤田正一(養西会若頭) 松方弘樹
竹本繁(広能組若衆) 黒沢年男
 

広島で、明石組系列の打本会と広能組、神和会系列の山守組と早川組が壮絶な抗争を展開していたちょうどその頃、警察は頂上作戦と呼ばれる暴力団壊滅運動を開始した。しかし広島抗争は一向に衰える気配を見せなかった。

広能組組長広能昌三(菅原文太)と打本会会長打本昇(加藤武)は、中立を保つ義西会会長岡島友次(小池朝雄)を、味方の陣営に引き込むことに成功する。多数派工作に奔走する広能であったが、広能組組員が槙原組組長槙原政吉(田中邦衛)の子分に射殺された事件をきっかけに、山守組組長山守義雄(金子信雄)襲撃を明石組幹部岩井信一(梅宮辰夫)らとともに企てるが、呉の長老大久保憲一(内田朝雄)の反対や、打本の密告により、広能は襲撃前に警察に逮捕されてしまう。さらに岡島も山守組のチンピラに射殺され、広能組及び打本会は劣勢にたたされる。

しかし、打本の及び腰に業を煮やした若者たちは、義西会若頭藤田正一(松方弘樹)を中心にして、広島ヤクザの大同団結を唱える山守組若頭武田明(小林旭)との全面対決を決意する。こうして広島市街地は、ヤクザの戦場と化し夥しい数の血が流れた。ついに警察は、暴力団幹部の一斉検挙を敢行。広島抗争は実りなき終焉を迎えたかに思われたが…。

「仁義なき戦い」の第4作目。今回は前作がバイオレンスシーンが少なかったためか、ふんだんにバイオレンスシーンが使われ、見ている方としては息をつく暇もないだろう。またラストシーンは映画史上に残る名シーンだといっても過言ではない。個人的には、竹本繁役の黒沢年男が最後に殺戮をやってのけたところが良かったと思う。


-----------------------------名言集---------------------------

広島の喧嘩いうたら、とるかとられるかで。いっぺん後ろに回ったら死ぬまで先頭をとれんのじゃけえ

言った人 菅原文太
言われた人 梅宮辰雄

広能は日本酒かっらって荒れ狂う。「河西はわしの身代わりに死んだんじゃけえ、わしが山守とったらんにゃいけんのじゃ」大久保は、やめやめ、と制止する。「わしんとこに入った情報によると警察が全員パクルいいよるぞ」「サツが怖くて喧嘩はできゃせんですよ」「山守や槙原は広島に逃げ込んどるんじゃけえ、こんなが呉をがっちり固めときゃ、向うは音をあげるわい」
岩井も大久保に同意する。「話をつける手口ものうなるで」「広島の喧嘩いうたら、とるかとられるかで。いっぺん後ろに回ったら死ぬまで先頭をとれんのじゃけえ」「わしゃ仁義の立たんことはすな、と言うとるんじゃ」「仁義も糞もあるかい。山守とってわしゃ死んじゃるわい」「ほな勝手にせい」上田は広能の加勢をする。「岩井さん。わしゃ兄貴の応援しますが、そっちのメンツと呉のもんの血をどっちに大事にするか、本家としての意見をはっきり聞かさしてつかあさいや」

枯れ木も山の賑わいじゃのお。このままじゃ枯れ木に山が食いつくされるわい

言った人 小林 旭
言われた人  子分

事務所に戻った武田を待っていたのは山守が回した伝票の山であった。「応援の連中の宿泊代やないか。料理代。芸者。酒。ひとの懐じゃ思うて、よう遊んどるのお。なんや、この18万は」「山守さんが旅の連中を連れているうどん屋のツケですけえ」「枯れ木も山の賑わいじゃのお。このままじゃ枯れ木に山が食いつくされるわい」山守は自分のキャバレーに幹部を集める。「槙原は呉に帰れんけえ、一致団結して広能を叩き潰さんかい」

「待ってつかあさい。広能の後ろには明石組がついていますけえ」江田は咆える。「明石組がついとるのは初めからわかっとることじゃないの」槙原は訴える。「ほうよ。そっちはこっちの安全地帯でヌクヌクしとられるが、こっちの立場になってみいや」激怒する武田。「誰がヌクヌクしとるんじゃ。おお。ほんならこの勘定払うてもらおうかい。そっちは一銭だって出したことありゃせんだろうが」金の話になると無言になる山守。



広島極道はイモかもしれんが、いっぺんも旅の風下に立ったことはないんで

言った人 小林 旭
言われた人 梅宮辰雄

山守逮捕を聞いた岩井はすぐさま広島に飛び、義政会の藤田と相談して陣営の立て直しをはかる。一方武田は広島ヤクザの大同団結を呼びかけ、明石組との対抗姿勢を明確にする。岩井と対決する武田。「わしらは親和会の看板断わっとるんじゃ。あんたも明石組に看板下ろしてくれんかい」「ちょっと待たんかい。わしゃ明石組のもんやで。わしのいるところに明石組のノレンをさげてどこが悪いんや」

「じゃったら、今すぐ義政会と手を切るいうて宣言してくれんかい」「ほお。なら死んだ岡島の落とし前はどうつけるんや」「今のそっちの言葉、本家の答えとして受け取ってええんか」「わしは明石組の岩井や」「ほおか。ほいじゃ言うといたるがの。広島極道はイモかもしれんが、いっぺんも旅の風下に立ったことはないんで。神戸のもんは猫一匹通せんけえ、おどれらよう覚えとれや」「よおし。おんどれらも吐いたツバ飲まんとけよ」


「仁義なき戦い・完結編」
監督 深作欣二
助監督 土橋亨
脚本 笠原和夫
原作 飯干晃一
配役
広能昌三(広能組組長) 菅原文太
武田明(山守組若頭) 小林旭
槙原政吉(槙原組組長) 田中邦衛
岩井信一(明石組若衆) 梅宮辰夫
江田省一(山守組幹部 山城新伍
岡島友次(養西会会長) 小池朝雄
早川英雄(早川組組長) 室田日出男
山守義雄(山守組組長) 金子信雄
利香(山守組姐さん) 木村俊恵
打本昇(打本組組長) 加藤武
藤田正一(養西会若頭) 松方弘樹
竹本繁(広能組若衆) 黒沢年男
 

警察の頂上作戦で幹部を一斉検挙された広島の暴力団は、政治結社天政会を結成した。初代会長には山守義雄(金子信雄)が就任し、広島は一見平穏無事に見えたが、抗争の炎はまだくすぶりつづけていた。天政会参与杉田佐吉(鈴木康弘)が、市岡組組長市岡輝吉(松方弘樹)の手の者によって射殺されたことによって広島は再び抗争の場と化すのであった。

天政会2代目会長に就任した武田明(小林旭)は、天政会の足場を固めるため3代目候補として、みずからの若者松村保(北大路欣也)を指名する。だが、武田が警察に引っ張られ松村が会長代行となると、これを不服とする副会長の大友勝利(宍戸錠)や幹事長早川英男(織本順吉)らが公然と反旗を翻した。天政会の切り崩しを画策する市岡は、この混乱に乗じ大友と兄弟盃を交わし、ここに市岡、大友、早川の反松村勢力が誕生し、抗争はますます過熱していく一方であった。

その頃、網走刑務所では出所を数ヶ月後に控えた広能組組長広能昌三(菅原文太)が広島抗争の手記をつづっていた。広能の出所が、広島にさらに血の雨を降らせることになると危惧する武田は、さまざまな手をうとうとするのだが…。

「仁義なき戦い」の第5作目。完結編と銘打ってあるとおり、シリーズ最終作。個人的にはシリーズの中で完結編が第1作の次に面白いと思う。特筆すべきは、市岡輝吉役の松方弘樹。千葉真一に勝るとも劣らない切れっぷりは見事!


-----------------------------名言集---------------------------

牛の糞にも段々があるんで
言った人 菅原文太
言われた人 梅宮辰雄

広能は日本酒かっらって荒れ狂う。「河西はわしの身代わりに死んだんじゃけえ、わしが山守とったらんにゃいけんのじゃ」大久保は、やめやめ、と制止する。「わしんとこに入った情報によると警察が全員パクルいいよるぞ」「サツが怖くて喧嘩はできゃせんですよ」「山守や槙原は広島に逃げ込んどるんじゃけえ、こんなが呉をがっちり固めときゃ、向うは音をあげるわい」
岩井も大久保に同意する。「話をつける手口ものうなるで」「広島の喧嘩いうたら、とるかとられるかで。いっぺん後ろに回ったら死ぬまで先頭をとれんのじゃけえ」「わしゃ仁義の立たんことはすな、と言うとるんじゃ」「仁義も糞もあるかい。山守とってわしゃ死んじゃるわい」「ほな勝手にせい」上田は広能の加勢をする。「岩井さん。わしゃ兄貴の応援しますが、そっちのメンツと呉のもんの血をどっちに大事にするか、本家としての意見をはっきり聞かさしてつかあさいや」

枯れ木も山の賑わいじゃのお。このままじゃ枯れ木に山が食いつくされるわい

言った人 小林 旭
言われた人  子分

事務所に戻った武田を待っていたのは山守が回した伝票の山であった。「応援の連中の宿泊代やないか。料理代。芸者。酒。ひとの懐じゃ思うて、よう遊んどるのお。なんや、この18万は」「山守さんが旅の連中を連れているうどん屋のツケですけえ」「枯れ木も山の賑わいじゃのお。このままじゃ枯れ木に山が食いつくされるわい」山守は自分のキャバレーに幹部を集める。「槙原は呉に帰れんけえ、一致団結して広能を叩き潰さんかい」

「待ってつかあさい。広能の後ろには明石組がついていますけえ」江田は咆える。「明石組がついとるのは初めからわかっとることじゃないの」槙原は訴える。「ほうよ。そっちはこっちの安全地帯でヌクヌクしとられるが、こっちの立場になってみいや」激怒する武田。「誰がヌクヌクしとるんじゃ。おお。ほんならこの勘定払うてもらおうかい。そっちは一銭だって出したことありゃせんだろうが」金の話になると無言になる山守。



広島極道はイモかもしれんが、いっぺんも旅の風下に立ったことはないんで

言った人 小林 旭
言われた人 梅宮辰雄

山守逮捕を聞いた岩井はすぐさま広島に飛び、義政会の藤田と相談して陣営の立て直しをはかる。一方武田は広島ヤクザの大同団結を呼びかけ、明石組との対抗姿勢を明確にする。岩井と対決する武田。「わしらは親和会の看板断わっとるんじゃ。あんたも明石組に看板下ろしてくれんかい」「ちょっと待たんかい。わしゃ明石組のもんやで。わしのいるところに明石組のノレンをさげてどこが悪いんや」

「じゃったら、今すぐ義政会と手を切るいうて宣言してくれんかい」「ほお。なら死んだ岡島の落とし前はどうつけるんや」「今のそっちの言葉、本家の答えとして受け取ってええんか」「わしは明石組の岩井や」「ほおか。ほいじゃ言うといたるがの。広島極道はイモかもしれんが、いっぺんも旅の風下に立ったことはないんで。神戸のもんは猫一匹通せんけえ、おどれらよう覚えとれや」「よおし。おんどれらも吐いたツバ飲まんとけよ」




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