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生魚のマリネーとスモーク (塩で処理する魚) 2003年9月1日 生で魚を食べると言えば、なんだか日本人の専売みたいな感じがしますが、しかし、生で、肉をも食らうのが西洋人でもあります。タルタル・ステーキしかり。生ハムしかり。いわんや魚をや。・・・塩に漬ければ、肉はもうただの生肉ではありません。今回はちょっとそのあたりを研究してみたいと思います。 生で魚を食べると言えばなんだか日本人の専売みたいな感じがしますが、しかし、フランスを旅して、生で食べるサーモンのマリネーや燻製。生ガキのおいしさに大感動した人は少なくないはずです。今回はちょっとそのあたりを研究してみたいと思います。 ソーモン・マリネーと言えば、ジャック・ラムロワーズ氏が、著書<La Cuisine Fraîcheur>の中で<生鮭のマリネー、アネット(ディル)風味>というのを紹介していますが、その立場は実に明快なものだと思います。
作り方 小骨を抜いた1,5キロのサケのフィレを1キロの塩で6時間漬ける。掃除したディルの茎などもまぶしておく。 塩抜き30分。水気をとって薄切りし、エクストラ・バージン・オリーヴ・オイルを塗る。ディルを散らし、コショウをひと挽きしてできあがり。 簡単な料理です。マリオの店でも似たような料理が作られています。<安曇野ニジマスのマリネー>。ここでは長野県産のサケ化した大ニジマスを使います.。 作り方 ニジマスのフィレ1本(900c程度)。これに塩と5分の1量の赤砂糖を混ぜたものをまぶしつけ、さっと払って2時間ほど深皿の中でそのままにして塩漬けします。 漬かったらザッと塩を流して水気をふき取り、ネット上に置いて冷蔵庫。そうすると、表面にごく薄い乾燥皮膜ができて保存性が高まります。薄膜ができたら乾燥防止用の特殊包装材、<レッド・キーパー>で包みます。 この塩漬けは、短時間で味がなじみますから、漬けたその日からおいしく食べられます。また、サケマスの仲間は肉質の劣化が少なく保存性が高いので、作ればしばらくはこれが楽しめます。 仕上げ 厚さ1〜2ミリ程度の薄切りにして皿に広げて並べ、コショウを挽き、エクストラ・バージン・オリーヴ・オイルをたらしかける。その上にレモン、トマト、キュウリの角切りを散らし、レモン汁をたらしてディルを中心にした数種のお好みフレッシュ・ハーブを散らします。 とまあこんな具合。三つ星ラムロワーズは単純明快に解決していますが、日本のラ・ヴィルフランシュはすこし複雑な様子。これはやはり、ちょっと考えさせられる事柄ですね。 さて、塩に漬ければ、肉はもうただの生肉ではありません。メニューにのるものは無論制限されますが、マリオでは、川魚だけでなく、海の魚も同様の方法で調理します。鯛。チヌ。寒ボラ。イサキ。マグロ。メカジキ。アジ。その他なんでも。 カツオだってOK。サバがおいしいんだからこの仲間がまずいわけもなく、肉質の柔らかい魚では薄切りの必要もありません。また、身がしっかりした魚なら細く切ってあえるのも決して悪くない演出です。 ところで、このように塩をした魚は燻製の材料でもあります。今度はその燻製について簡単にお話ししましょう。 上記のような大型のニジマスだと30分。普通サイズの魚なら数分から15分程度に時間を短くして塩漬けを行い、塩を流して水分をふき取り。ネットにおいて冷蔵庫で休ませ、翌日、または翌々日に燻製にします。 30センチのフライパンや中華鍋などを用いた簡易燻製だと、頃合いの鯛2匹分、フィレ4枚で サクラ・チップの量は3c程度。過熱は発煙開始から7分ほどです。鶏肉の燻製も同様のやり方で作れます。
この料理は、軽いスモークで材料の風味を生かすのがポイント。 ガス火による温度と煙量の微妙なコントロール。そして調理時間の調整が、この料理を作る上での<腕の見せどころ>であり、また楽しさだろうと思います。 ちなみに、皮ごと食べるものか、ニジマスなどのように皮を除いて食べるものかも、加減を考える上では重要です。 冷燻の場合は、生食を前提としますから塩漬け時間の短縮は行いません。当たり前のことですが、もととなるこの塩漬け、どちらもそのまま乾燥させれば塩のきいた干物です。 マリネーにしても薫製にしても、この種の料理は考えるよりは実験したほうがましな、安全度の高い料理です。身近なもので是非お試しください。 2003年9月1日マリオ |
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