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Impulsos /
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Impulses

Miguel Alcantud

2002 Spanien 105 Min. 劇映画

出演者

Daniel Freire
(Jaime - 小学校の教師)

Ana Risueno
(Sara - ジャズ・コンボのバイオリン奏者)

Walter Moreno (Mario)

Paloma Berganza
(ジャズ・コンボのヴォーカリスト)

Horacio Icasto
(ジャズ・コンボのピアニスト)

見た時期:2002年8月、ファンタ

2002年 ファンタ参加作品

要注意: ネタばれあり!

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スペイン語系の作品の中ではストーリー、演技などは弱い方です。代わりに美しい画面、素敵な音楽など別なメリットのある作品で、現代的なスリラーとしてきちんと納まっています。

二枚目で自分でも自分をカッコイイと思っている男、ハイメ。職業は小学校の教師。それなりに子供たちとも上手くやっているのですが、人生は満たされていません。で、暇つぶしに殺人をやっています。動機はアメリカン・サイコと似ていますが、ハイメは大金持ちのヤッピーでもなく、コカイン中毒でもなく、ごく普通の生活を送っている男です。頭は良くて、犯行がばれたことはこれまでありませでした。本人が動揺するということもありませんので、失敗して足がついたこともありません。

クラブでジャズ・バイオリンを弾く女性、サラ。バンドの練習には遅れて来る、恋人とは何か問題があった様子。現在は明らかに不幸な人生を送っています。彼女はある日偶然地下鉄の駅でハイメが目の前の人をホームから突き落とし、入って来る地下鉄に轢かれて死亡させるところを見てしまいます。ハイメも自分が見られたことに気付きます。

急いでその場を去るハイメ。タクシーに乗り込む教師の膝の上にサラは自分の携帯電話を投げ込みます。この電話を通じて2人の間には繋がりができます。当然金を要求して来るものと思っていたハイメに対して、サラは全く違う事を要求します。人間関係。とは言ってもそれはセックスでもなく、すぐに会って欲しいというのでもありません。携帯を通してハイメの首に細い紐を巻きつけたような形で2人の間には会話が続きます。ハイメの行動をサラは常に把握しておきたがります。

サラには恋人がいました。憧れの人で、その人はサラの目には完璧に見えます。彼女は自分のアイデンティティーの全てをこの男性と一致させて存在していました。2人が一緒に風呂に入り、剃刀の刃をそれぞれ自分の腕に突き立てるところが映ります。2人で心中を図っているところのようですが、サラは現在も生きています。これがサラの願望なのか、過去の出来事なのかは始め分かりません。ただ、今はその男性と一緒ではないようです。そしてハイメに出会うまで空っぽの人生を送っていたようです。

サラの人生は、ハイメの登場でまた楽しくなって来ます。ハイメの目の前にアパートを借り、監視。ハイメについては何でも知っておきたい様子。初めてのデートの約束をしても、カフェに現われず、近くでハイメを見守っているなどといった行動を取ります。こういう形で彼女はまた生き甲斐を得たようです。ハイメの方は一応立場としては脅されている側ではありますが、状況はそれなりに把握していて、1度は面倒になって携帯をごみ箱に捨ててしまいます。サラなんかいたっていなくたって関係無いといった様子。サラどころか他の女性が必要かも分かりません。ゲイというわけでもありません。自分が世界で1番と思っているのでしょう。電話を捨てられてもサラはしっかり代わりの機械を送りつけます。しかしハイメは彼女との関係にサラ自身ほど魅了されておらず、徐々に彼女の正体を探り始めます。

現代の退屈している人間、ナルシスト(自分1人を惚れ抜いている人)、自分というものが無い人。こういう人間関係は、物質的には充足していて、精神の方は貧困のどん底にいる人たちの間でだけ成立するもの。それをこの作品はスリラーという形で描いています。深く突っ込んでおらず、おしゃれなスリラーという感じです。ちなみにサウンドが非常に良く、クラブのライブを聞いているような気分になります。歌手の女性も美声。問題なのはサラを演じているアナ・リスエニョのバイオリンの弾き方。音楽は苦手な方のようです。

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