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チル CHILL /
Wendigo

Larry Fessenden

2001 USA 91Min. 劇映画

出演者

Patricia Clarkson
(Kim - 母親)

Jake Weber
(George - 父親)

Erik Per Sullivan
(Miles - 息子)

John Speredakos
(Otis - 地元の狩人)

Christopher Wynkoop
(地元の保安官)

見た時期:2002年8月、ファンタ

2002年 ファンタ参加作品

ファンタ仲間は私を含め皆怒っていました。子役に救われたというみっともない作品。

シックス・センスでは「天才少年現わる」とかで大人の出演者がみな食われてしまったということになっています。私はこの意見に荷担していない少数派で、オスメント少年の才能を云々するのなら、AI を見て震えあがった方がいいと考えているのですが、時たま大人のアラを隠してくれる有能な子役が出て来るようです。

親子で休暇旅行中、親が地元の狩人とトラブルを起こし、そのためとんでもない目に遭うというのが大まかな筋。韓国の作品 Say yes とも似て、不測の事態が起きた時の対処の仕方が悪く、それが恐怖を生んでいます。必ずしも監督が意図して出した恐怖ではないと思われますが。母親は息子に「大丈夫よ、もうすぐ全てが良くなるから」と言い続けます。状況はどんどん悪くなっていたり、全くいい方に進んでいないので、観客は次第にいらついて来ます。アメリカ映画を見ていると、そういう風に願望を自分に言い聞かせているシーンが多いです。役では母親はインテリの都会人のようになっているのですが、アウトフィットだけです。優しい父親も状況を収めることができない点は母親とあまり変わらず、事は悪い方へ悪い方へと動いて行きます。無口な息子はそういう両親と対照的で、じっと状況を見ています。オカルト映画なので、ここにインディアンの亡霊が登場。現実的な部分から逸脱してしまいますが、それでも物静かな息子の方がインテリのはずの両親よりしっかりして見えます。その「いいかげんにしてくれ」と言いたくなるような母親の態度は終わり近く病院のシーンでブラック・ユーモアとも取れる締めくくりをむかえます。画面は普段見慣れているハリウッド映画と違い、山の多い地方。雪が見え、なかなかいいです。

演技はと言うと、見ていてこちらの居心地が悪くなるような演技をするクラークソン、あまり個性がなく、契約通り仕事をこなしているようなウェーバーに対して、オスメント少年よりずっと自然な演技を見せるエリック・ペール・サリバンは将来性充分。最近見た子役、サインに出ていたローリー・カルキンよりいいです。カルキン同様あまり喋らない役ですので、表情が非常に重要です。この作品は絶賛されたとかで、見ていて「どこが良かったの・・・」と首を傾げていたのですが、サリバン少年を誉めたのなら納得が行きます。

後記: 2人の俳優はその後意外な展開。クラークソンは作品に恵まれたらしく、ゴールデン・グローブノミネート。続いてオスカーにもノミネート。陰気な坊やは、次の運命の女でわりと明るい子供を演じていました。共演はリチャード・ギア。出世しています。

後の深読み: 無理して解釈。もしクラークソンたち大人組が大人、インテリ層の馬鹿さ加減を表現するつもりで制作したのなら大成功。

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