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訳はどうするか

考えた時期:2003年1月

続き

友達が珍しい音楽を送ってくれました。「王様」「女王様」というタイトルで、有名なロックを日本語で歌っているものです。演奏はオリジナルにかなり似せてあり、歌詞は全部直訳の日本語。これが実に分かりやすく、これを機に、私が持っていた全米、全英の偉大なロック・グループに抱いていた幻想は吹き飛んでしまいました。なあんだ、あんな(バカな)事を歌っていたのか・・・。

「母さん、俺殺っちゃった・・・」「火の粉がパチパチ」・・・英語で聞くとなぜか意味がちゃんと分かっていても偉い、高級な事を言われているような気がする・・・、行けませんね戦後の英語教育の副作用です。神への愛を地上の愛にしたソウルは偉い、 英語のロックを近づきやすい物にした王様は偉い・・・、ロックの王様は裸の王様だった・・・。

日本では以前、超有名な歌手がアメリカのグループの有名な曲を日本語で歌ったりしていましたが、大胆にも歌詞をガラっと改竄してしまい、少年少女にも親しめる18歳未満問題なしという曲に変えていました。オリジナルは意味あいの違う曲でしたが・・・。そういうのもおもしろいなあと思って見ていましたが、「女王様」「王様」は元の曲から1歩も道をはずさず、正々堂々と作詞家が書いたストーリーをそのまま日本語にして語っています。

日本にもドイツと同じ頃英語でないとポップスはだめという絶望的な気分から、国産のポップスを作ろうと動いた人たちがいたようです。この辺は井上さんが書いています。(ドイツ語の方はこちら

ビートルズを日本語で歌おうとした女性がいたらしいのですが、私は歌というのはその曲を作った人の言語で歌うのが1番いいなどと考えていたので、ひたすら避けて歩いていました。代わりに河内弁でロックをやり出した若者がいたので応援していたのですが、どういうわけかこの人、ドラッグ騒ぎに巻き込まれた後、メジャーの歌手と結婚してしまい、自分もメジャーのマスコミに登場するようになってしまい、それ以来私は彼の音楽とは縁がなくなってしまいました。しかし河内弁をロックにというのはインパクトがあって良かったです。

話はズレてしまいますが、トルコはどうか。まずトルコ人は音楽が好きな国民です。これはイスラム教の国一般に言えるのかも知れません。アラーの神はモスク(お寺)内の音楽活動には賛成していませんが、イスラム教の人たちはかなり音楽に親しんでいるようで、その辺のおじさんがちょっとメロディーを口ずさむと、かなり行けます。私は黒人、ブラジル人、アラビア人、トルコ人には音痴はいないのではないかという偏見を持っていました。先日生まれて初めて黒人の女性が音をはずすのを見て、私がが考えていた事は偏見だというのを悟った次第。

さて、トルコというのは八代亜紀とか五木ひろしのような歌手だったらすんなり受ける国です。歌謡曲が受けるというのではありません。美空ひばり、都はるみ、石川さゆりではだめ。トルコの女性歌手の大半は八代亜紀のような歌い方をします。確認は取っていませんが、五木ひろしは実際にトルコでショーをやって受けたという話を聞いたことがあります。

この2人のような歌い方がトルコ人の伝統、好みに合うのです。しかし伝統を重んじるトルコ人といえど若者はやはりディスコへ行ったり、ポップスを好んだりします。青年が目を向けるのはやはり女のコ。ナンパしたいんですなあ。そこへ登場したのがタルカン。日本でもちょっとだけ知られています。トルコやベルリンでは大スター。

彼がちょっと前にシマリクという曲を大ヒットさせました。これは全部トルコ語ですが、上手くメロディーに乗ったアップテンポのポップスです。その後女性歌手が英語で歌い英国のベストテン入りしましたが、そちらはちょっと間が抜けていて、インパクトがありません。

トルコが出たついでに、もう20年近く前の話になりますが、やはり八代亜紀のような声を出すポップスの女性シンガーがグロリア・ゲイナーの I will survive をトルコ語で歌っていました。あれ結構上手くメロディーに乗っていたなあ、と記憶しています。トルコ語はまだ分からないので、翻訳して歌っていたのか、別な歌詞をつけたのかは分かりません。その当時彼女が大ヒットさせたペトロールという曲もアップテンポのポップスで、オリエンタル色よりポップスの色合いが強かったです。

そういうアメリカっぽい曲のほかにトルコにはアラベスクと呼ばれる種類の音楽があります。それを聞いているとどことなく、日本の歌謡曲の乗り、スピリットが感じられます。この辺に五木ひろしが受けた理由が隠れているのでしょう。

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