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ダウン / Down

Dick Maas

2001 USA/NL 110 Min. 劇映画

出演者

James Marshall
(Mark Newman - エレベーターのメンテナンス技師)

Eric Thal
(Jeffrey - マークの同僚)

Helene Wilson
(Geena - マークのガールフレンド)

Naomi Watts
(Jennifer Evans - マークに付きまとうタブロイドの新聞記者)

Edward Herrmann
(Milligan - 管理人)

Merel den Hengst
(Mary Jane - 人形を持った少女、あわや犠牲者)

David Gwillim
(Faith - 盲目の男性、犠牲者)

Wilke Durand
(Kowalski - 以前死んだエレベーター技術者の未亡人)

Ron Perlman
(Mitchell - エレベーター会社の重役)

Dan Hedaya
(McBain - 刑事)

Michael Ironside
(Gunter Steinberg - 新型チップの開発者)

Michael J. Reynolds
(大統領)

Serge-Henri Valcke
(ドアマン)

見た時期:2005年8月

2001年 ファンタ参加作品

要注意: ネタばれあり!

最近ドイツのPC雑誌は付録付きで、犯罪、ホラー、SFなどのDVDをつけて来ます。雑誌本来の価格に映画1本つけた値段としては納得が行き(ロードショーの入場料より安い)、時々買います。うれしいことにファンタに出るようなジャンルの作品がほとんど。見過ごした作品や、家に自分の物として取っておきたい作品が出ると買っています。欠点はと言えば言語が1つだけで、スペシャルのおまけがついていないこと。その映画をドイツ語で見ることだけできます。井上さんに送りたいような作品も来ることがあるのですが、いかんせん、ドイツ語だけではねえ。 以前映画雑誌が似たような企画を立て、最初の2、3冊を出したところで、ライバルの会社から告訴され、企画中止だけでなく、雑誌廃刊に追い込まれてしまったことがありました。映画ファンの私はひどく落胆したのですが、それがPC雑誌という別なジャンルで実現。こちらは映画に釣られて買うので、雑誌はあまり身を入れて読んでいませんが。

ダウンはリメイクで、私はオリジナルの方も見ています。監督は両作品とも同じ人で、ディック・マースというオランダ人。この監督の作品はオリジナルの悪魔の密室アムステルダム無情では主演に Huub Stapel を起用しています。両方見ましたが Huub Stapel でうまく行っています。その他に小さな目撃者も見ましたが、これは少年、若者向きのスリラー。Huub Stapel を使ったスリラーは手法が確立していて、この路線でずっと行けばいいのにと思いました。アムステルダムの町を上手に使い、雰囲気が恐さを倍増。両方とも80年代の作品ですが、ファンタのファンにもアピールするタイプの作品です。

ダウン悪魔の密室のレベルを期待していると裏切られます。舞台をニューヨークに移し、例の大事件の前に撮影された作品なので、町の景色には現在は崩壊した例のビルも映っています。事件直後から例のビルを思い出させるシーンは映画界から追放になったり、編集のやり直しが行われたりしましたが、ダウンはその波をかいくぐって出されたようです。近代的なミレニアム・ビルのエレベーターが謀反を起こしたという設定で進む話で、あらすじはオリジナルとさほど変わっていません。ただ、オランダ版より大金が使えているはずなのに安っぽくなっています。

前半まず観客にどんな事件が起きているのか納得させるためにいくつかの事故が出て来ますが、そこからすでに下品になっています。狂言回しをつとめるのはエレベーターの修理を言い付かった技師マークとタブロイド誌のレポーターのジェニファー。この2人が系統だって事の真相をつきとめてくれないと、観客には一体何が起こっているのか理解できない仕掛けになっています。

オリジナル版を見てユニークだなあと思ったのは、エレベーターのような金属でできた物に生物的な要素を加え、建設された場所から1歩も動かない機械があたかも意志を持って人を殺しているような筋運び。与太話ですからどんな屁理屈をつけるかと思ったら、それなりにうまく辻褄が合っていました。話のばかばかしさをカバーしていたのが俳優と撮影。で、大人が「何が起きているんだ?」と思いながら見ていることができます。これがホラー映画だと分かったのは見終わって何かの記事を見てからで、私はどのジャンルに入れたら良いのか暫く迷っていました。

後でホラーだと言われて納得したのは、「ああ、だめ、それより前に進んだら危ない!」とか「乗るな、危ないぞ!」と叫びたくなるシーンが続くからです。見ているうちにスクリームを見た時と同じ乗りになって来ます。

その点はリメイクの方も似ていないことはありません。初めてダウンだけを見た人には十分なのかも知れません。しかし私はダウンは薄っぺらになってしまったような印象を受けました。話を大きくし過ぎて、画面を明るくし過ぎたのかも知れません。

「リメイクをして前より良かった作品は?」と聞かれても思い当たりません。同じ監督が国を変えてリメイクしてもこの作品はパッとしませんでした。欧州の作品を別な欧州の監督がリメイクしてもだめでした。それなのになぜリメイクをするのかは先世紀最大の謎でしたが、今世紀にも引き継がれてしまいました。

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