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蛇男 /
Le Serpent /
The Snake /
The Serpent

Eric Barbier

2006 F 119 Min. 劇映画

出演者

Yvan Attal
(Vincent - プロの写真家)

Clovis Cornillac
(Plender - ヴァンサンの学校時代の友達)

Minna Haapkylä
(Hélêne - ヴァンサンの妻)

Pierre Richard (Cendras)

Simon Abkarian (Sam)

Olga Kurylenko
(Sofia - モデル)

Ge'rald Laroche (Becker)

Jean-Claude Bouillon (Max)

Veronika Varga (Catherine)

Pierre Marzin (Carbona)

見た時期:2007年8月

2007年ファンタ参加作品

要注意: ネタばれあり!

この俳優が出ると・・・という予想がつく時があります。イヴァン・アッタルなので、というショーダウンが待っています。

イヴァン・アッタルというのはフランスでは有名な俳優で、シャーロット・ゲンズブールというこれまた有名な女優と一緒にいる人です。(恐らく大都市の話でしょうが)フランスは結婚制度が崩壊したような状態の国で、何十年も一緒に暮らしていても籍を入れていない人が多く、この2人も結婚しているのかは分かりません。90年代から子供が2人います。このシャーロットという女性がまた有名で、名付け親がユル・ブリンナー、生みの親がエレン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールという人です。

アッタル氏はトム・クルーズの声を吹き替えたりするのですが、本人はもさっとしたおっさんタイプ。ヒーローの役からはほど遠いはずです。ところが彼を主演や重要な助演にすえた作品が何本も作られています。私が見た作品では前半や後半の前半までひどい目に遭ったり間の抜けた役どころが多く、最後にあっと言うというほどではありませんが、一応彼なりのハッピーエンドにこぎつけるという話が多かったです。ファンタも初登場ではありません。

Le Serpent の原作はテッド・ルイスの小説です。

アッタルは Le Serpent ではプロの写真家という役どころです。前半ハニー・トラップに引っかかってしまい、若い写真のモデルを殺したことにされてしまいます。ちょうど離婚協議中だったので、観客は奥方の弁護士が仕組んだ罠かという可能性も注意して見ていなければ行けません。

さて、正反対のように見える2人の結婚生活は終わりに近づいており、気になるのは子供の養育権。写真家ヴァンサンは子供を自分の方にと希望。奥方も同じ事を考えています。その上彼女は離婚後ミュンヘンだかどこかへ帰ってしまうつもり。そうなるとヴァンサンは娘と生き別れになりかねません。

ちょうどそんな頃に学校の友達だったジョセフと再会します。外人部隊にもいたというようなタイプの男で、ヴァンサンを見事に引っ掛けます。写真のモデルだという若い女性がやって来るのですが、撮影にかこつけてヴァンサンがセックスを迫り彼女を殺したということにされてしまいます。現実と話の差は観客には良く分かるように描かれています。

ずるずるとジョセフの罠に深入りしてしまうヴァンサンはこのまま行くとこれまでに築いた職業上の成功、子供、金など全てを失いかねません。ジョセフは奥方にも接近しており、奥方はすでに冷え切っていた関係にさらに凍るようなまなざしを向けます。と、落ちるところまでアッタルを落とすのが前半の役目。

後半は期待通り彼の巻き返しです。惨めな彼でも助けてくれる人もおり、ジョセフについて調べ始めます。そこで浮かんで来るのが子供の頃行っていた学校とジョセフの母親。結局学校時代にひどい目に遭ったジョセフがその恨みを晴らそうとして・・・のことだったのです。最後は離婚問題で争っている妻と娘までも彼の毒牙にかかりそうになり、そこをかろうじて助けたヴァンサンを奥方は見直す・・・というショーダウン。離婚は無期延期でしょう。

ドイツ人のファンタの観客の1人はテレビのレベルだと言っています。私もそう思います。他の人は脚本が練れていて、ファンタのハイライトだとのたまわっております。前回の彼の作品はもったいぶったシーンが多かったですが、それなりにゴージャスな雰囲気を味わうことができました。今回はちょっと規模が小さかったです。

ドイツで1番高額の謝礼を取るプロの写真家を身近に知っているのですが、それに比べるとヴァンサンのアトリエはちょっとこじんまりとしていました。彼が住んでいる自宅というのがまた、ベルリンでも良く見る高級住宅街の家と似ていますが、そういう家でもそれほど高くありません。失業中の私の目から見たら無論高いですが、一定の収入があると役人や会社の人でも住むことができるような家です。

推理物としては同じくこじんまりとした作りだったフランス映画 Contre-enquête の方が楽しかったです。私は元々はアッタルは好きではなかったのですが、最近いくらか見直しているところです。彼にぴったりの脚本が来ればおもしろい作品も作れるのではと思い、まだ期待をしています。フランスの映画界は推理物もなかなか行け、最近はアクション映画も見られるものが増えているので、今後を見守りたいと思います。

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