テレビのページ

ヒューマン・ターゲット /
Human Target /
Escudo humano /
Human Target: O Defensor /
фХБЮЪ ЛХЬЕМЭ

Steve Boyum, Paul A. Edwards, Peter Lauer, Kevin Hooks, Bryan Spicer

2010-2011 USA @ 60 Min. 劇映画

出演者

Mark Valley
(Christopher Chance - 元殺し屋、ジュベールの弟子、本名不詳)

Chi McBride
(Laverne Winston - 元警官)

Jackie Earle Haley
(Guerrero - 元ジュベールの一味、電気、火薬関係のスペシャリスト、本名不詳)

Indira Varma
(Ilsa Pucci - 事件に巻き込まれて未亡人になった女性、現在出資者)

Janet Montgomery
(Ames - すり)

Lennie James
(Baptiste - 殺し屋、ジュベールの弟子)

Leonor Varela
(Maria Gallego - 二代目チャンスの元ガールフレンド)

Lee Majors
(Christopher Chance - 死んだ依頼人、初代チャンス)

Armand Assante
(Joubert/The Old Man - 殺し屋の元締め、弟子を何人か育てている、二代目チャンスの父親代わり)

見た時期:2011年4月から

後記: 誉めた直後にアメリカでシーズン中にこの作品がキャンセルになってしまいました。それに合わせてドイツでテレビ放送していた局がキャンセル。そのため、インターネットにも乗せなくなってしまいました。

たまたまドイツで1番有名な映画雑誌の5月号のDVDの欄を見ていたら、そこにテレビ・シリーズの記事が載っていて、評価はかなり高かったです。100点中90点程度の点数でした。それなのにアメリカでシーズンの途中で中止になったのは視聴率が低くなったからだそうです。厳しい世界です。

一縷の望みは、映画雑誌の記事がDVDの欄だったこと。つまりドイツ国内で私がまだ見ていない第1シリーズが買えるかも知れない点。普通の店では見つからないと思うので忍耐力が試されますが。

★ ただで見られるテレビ・シリーズ

時々インターネットで見られる無料のテレビ番組があります。1本が見れる時間は1週間限り。子供に見せては行けない規定もあるらしく、午後の遅い時間に解禁になる作品もあります。また、テレビ放映後にインターネットに出るので、その条件にも合わせて見られる時間が決められています。テレビ・ドラマを連続でやっていることもあります。ちょうど目に付いたのが Human Target。あまり固執していないので詳しくは分かりませんが、同じようなインターネットの枠で劇映画も見られるようです。

★ テレビとは思えない良質さ・・・にも関わらずキャンセル

この枠に出る番組はあまりおもしろくないという傾向があるのですが、たまに例外的なのがあります。Human Target はドイツで知られている英語系の他のテレビ・ドラマに比べキャスト、セット、アクション、セット、撮影などが比較的質の良い劇映画と十分勝負できるだけのレベルで、脚本もおもしろくできています(と書いた矢先、初めて駄作に出会いました(笑))。ご覧のように複数の監督が演出を担当しており、ばらつきがあってもおかしくないのですが、ありません(と書いたまさに昨日、最初のばらつきに出会いました。クリスマスを絡ませた家族襲撃事件です(笑、笑))。ま、ばらつき率が低いのは確かで、60分とは思えない充実した内容です。

興味が湧いたのでちょっと調べて見たら、原作は DS コミックで、1972年に出ています。テレビ・ドラマには2度なっており、最初は1992年。出演者は知らない人ばかりで、私の知らない間に始まり、終わっています。7話作られ、その後はキャンセルになっています。

2010年版は改めて同じ漫画から作られており、こちらの俳優もこれまで知らない人が殆ど。リー・メジャーズが第1シリーズにチラッと顔を出したようです。漫画のキャラクターをベースにしていますが、エピソードは新しく書かれた様子です。今度は1992年よりは運が良かったらしく、2シリーズ25本が撮られています。私が見たのは2シリーズ目で、新しく女性2人がメンバーに加わったようです。その前を全然知らなかったので、新しくと言われても、そんなものかと受け入れるだけ。

いずれにしろ、私が見ていない第1シリーズはそれなりの成功を収めたらしく、第2シリーズのゴー・サインが出たわけです。2シリーズ目だけを見ても、その辺の下手なテレビ・ドラマに比べゴージャスな感じですぐ魅了されました。ところがインターネットを見てみると、第2シリーズで打ち切りだそうです。何でやねん。有名な映画関係のサイトでは10点満点中7点以上を取っているので(世界的に有名なサイトでは8点を越えています)、中止する理由は分かりません。ドイツでは少なくとも第2シリーズの終わりまで見られそうなのであと数ヶ月ありますが、後が続かないのは残念です。

★ ストーリーの枠: 登場人物

☆ 第1シリーズ

話は1回完結型で、毎回違う事件を追います。なので1つ1つには触れません。主人公はクリストファー・チャンスといい、本名ではありません。殺し屋稼業をしていたので、本名は知られない方がいいのです。ジュベールという男に拾われ、親代わりに面倒を見てもらっているうちに殺し屋としての技術を身につけ、訓練を受け、世界一の殺し屋に育っています。恰幅も良く、ハンサムで闇の世界とは言え、大成功していました。ジュベールはその他にも何人か才能のある殺し屋を育てています。

ところがある出来事がきっかけでジュベールの正式な世継ぎになれるというのに、殺し屋稼業を捨て、チャンスはジュベールの元を去ります。なので警察からもジュベールの一味からも追いかけられる身に。そんな中、知り合いの元刑事と一緒に殺し屋ではなく、殺し屋から客の命を護るプロのボディー・ガードに転職します。どこかの地下室に探偵社のような会社も設立。

・・・というのが話の前提ですが、この部分が第1シリーズで具体的に描かれたのか、第1シリーズでも背景のストーリーとして語られるだけだったのかは分かりません。

☆ 第2シリーズ

私が見た第2シリーズのエピソードでは富豪の夫人がチャンスに助けられるところから始まりました。夫は殺されてしまい、大きな企業を相続。甘やかされた奥様から、未亡人になったばかりでも元気満々、その上意外と商才があり、何とかやって行けることになり、有り余るお金をチャンスたちの会社に投資することに決め、口は出さない匿名組合のパートナーになります。匿名組合というのは欧州にある商法に基づいた契約の1つで、お金は出資し、利益を得ますが、経営に口は出さない人です。とは言ってもこの女性、事務所に顔を出すたびに頭から湯気を出してカッカと怒ります。そう言えば彼女は会社にお金を出す条件として、ピカピカの事務所を作ってしまいます。チャンスたちはうらぶれた地下室の事務所の方が居心地が良かったらしく、一悶着。所々にお茶目なユーモアが含まれています。

チャンスたちは闇の社会と関わりがあり、時には警察と摩擦も起こし、その解決法が実に乱暴というか直接的なので、ハイ・ソサエティーの奥様には到底受け入れられない規模にトラブルがエスカレートしてしまうことがあります。その時の彼女のうろたえぶり、怒りっぷりが愉快です。

男性軍の描かれ方も他のテレビ・シリーズに比べ劇映画風で、ちょっと制作費の高い映画を見たような気分になりますが、この出資者の女性のキャラクターも普通のテレビ・ドラマには見られないおもしろい人物に出来上がっています。大金持ちということですが、本当に大金持ちに見えますし(アリス・クリードの失踪とは雲泥の差)、ちょっと甘やかされていて、好奇心の強い女性で、その好奇心のおかげでとんでもない目にも遭い、それでも次の週には一回り成長して、腹が据わって来るという描かれ方です。個人的にこういう女性を目の前にしたら、鼻持ちならず嫌いになると思いますが、劇映画で他の登場人物を引っ掻き回す役で、ドラマを楽しくしてくれます。

男性の登場人物には1人、元々は1回切り出演のはずが気に入られて残った人がいます。初回はそれほどいいと思わなかったのですが、2回めからはわりとうまくティームに溶け込んでいます。チャンスと同じ稼業の人物で、電気関係や化学の専門家。スパイ大作戦のようにレギュラーメンバーには特技があります。また、堅固なティーム・ワークとは言い切れず、誰が誰を信頼するか、裏切るかもしれない、人間的な弱みがあるかも知れないという疑念もあり、なかなか気を許せないところがおもしろいです。また殆ど誰も自分の身元を明かしていないので、それぞれの人物が家族持ちかも分からず、毎週どんな背景が飛び出すか分かりません。

怪しげな人物が多い中、本名が分かっているのが元刑事のウィンストン。署内で揉め事があり、不名誉な退職をし、現在はチャンスの共同経営者に納まっています。上にも書いたように、小さな地下室のような事務所で、依頼人を見つけて来てあれこれ仕切り、手配をする人物ですが、不名誉な退職に関しては警察の元同僚に恨みを抱いています。これは第2シリーズの間にけりがつきます。この役、劇場映画ならウィング・レームズがやりそうなキャラクターになっています。

チャンスを演じているマーク・ヴァレイはこの番組で初めて見ましたが、テレビ畑で順調にキャリアを進めている人物です。テレビ専門の俳優は質がやや落ちることもありますが、ヴァレイは主演に相応しい押し出し。それこそダニエル・クレイグに代わりジェームズ・ボンドが務まりそうな感じです。ウエスト・ポイント陸軍士官学校出身で参戦経験もあるので、チャンスの役にはぴったり合います・・・と言いたいところですが、なぜか科学科数学部門とエンジニア部門卒業。いずれにしろ卒業後ベルリンで勤務しています。なのでドイツ語には堪能です。ベルリン勤務というと恐らく私が通っていた大学の近くにいたのでしょう。軍に勤務している間にベルリンでスカウトされ、ジョン・シュレジンガーの作品でデビューしています。

1人ちょっと弱いかなと思えるのがスリのエイムズ役のジャネット・モンゴメリー。ライ・トゥ・ミー 嘘は真実を語る程度のテレビ・ドラマですと十分ですが Human Target には達者な人が並ぶので、やや実力不足に見えます。第2シリーズは全体的に女性陣が加わったために第1シリーズより質が落ちたと言われており、その原因が彼女なのかも知れません。とは言っても、他が良過ぎるため並の実力だと低く見えてしまという話だと思います。私は十分満足している第2シリーズ。ということは第1シリーズはもっと強力なんだ・・・どこかで DVD 探して見たいな・・・と思っている昨今であります。

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