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ロボット・ドリームズの舞台裏

Robot Dreams / Mi Amigo Robot / Mon ami robot / Meu Amigo Robo / Robot Dreams - Amigos Improvaveis / Il mio amico robot / 汪汪夢裡人 / 再見機器人 / ロボット・ドリームズ
Pablo Berger
原作:Sara Varon

Spanien/F 2023 103 Min. アニメ

声優

氏名不詳、
言語による会話無し、犬のため息などを担当

見た時期:2023年9月

2023年ファンタ参加作品

10月頃からドイツでロボット・ドリームズのDVDが入手できると聞いて、注文していました。ボーナス・ビデオが付いており、会社もオフの日が続いている時だったので、つい、見てしまいました。

本編については前回色々書きましたから、今日はボーナス・ビデオについて書きます。

★ 監督がベルリンにいた

監督の母国語はスペイン語ですが、インタビューなどでは英語も話します。監督のアクセントのある英語は理解し易いです。ビデオにはドイツ語の字幕も付いていましたので、分からない時はそちらを読むという手もあります。

監督はベルリンの映画図書館のような場所にいて、物凄まじい数(29000本以上あるそうです)のデジタル化された映画に囲まれていました。そこでカメラに向かって話しかけています。私は大学時代恐ろしい数の映画のビデオを借りられる西ベルリンの店を知っていました。そこをはるかに上回っています。

前回も書きましたが、この監督は制作本数は少な目。大学で映画学の先生をしていた人なので、学者っぽい話し方です。ドイツのロボット・ドリームズの配給会社が監督に好きな作品を少し選べと言ったようです。話を聞いていると博学なのが分かります。彼が最初に選んだのはドイツの無声映画、そのあとチャップリン、その後はアニメを何本か。千と千尋の神隠しも入っています。この作品から影響されながらロボット・ドリームズを作ったそうです。スペインの監督の作品も。どうやら悲喜劇が好きなようです。さらにジーン・ケリーの雨に唄えば。どうやら音楽とダンスに関心がある様子で、ロボットが夢を見るシーンにヒントを与えたようです。

★ ロボット・ドリームズについてのインタビュー

監督のサラ・ヴァーロンのグラフィック・ノヴェルとの出会いは2010年。数年間他のことをやり、2018年に改めて見直したそうです。自分の人生に色々な出来事があり、失った人々のことを想って悲しい時、慰めになったようです。

★ 音楽について

ニューヨークを表わす音が欲しかったそうです。ジャズにしようということになり、日本人の奥さんが探し始めました。そんな時スヌーピーのことが頭に浮かんだようです(スヌーピーのアニメのバックに流れる曲は有名なジャズ・コンボが演奏している)。チック・コリア、ゲーリー・バートンなども頭に浮かび、夫人のハラミ・ヨウコ氏が80年代のジャズを探し始めます。スタジオでアニメを大きく映し出しながらジャズの演奏家が演奏し、録音。カワイのグランドピアノ、トランペット、トロンボーン、テューバ、テノール・サックス、ドラム、ビブラフォン、アコーディオン、ウクレレ、タップダンスの足音、歌・・・。

いかにもスペインというカラーはゼロ。この後スタッフがどういう所にエネルギーを注いで素晴らしい作品に仕上げたかが語られます。

★ ロケーション

1980年代のニューヨーク、セントラル・パークの南側。80年代に既に建っていた建物と、まだ無かった建物を厳密に区別。ここで大活躍の夫人は当時のニューヨークを正確に表現するためにエネルギーを使っています。オスカーにノミネートされるほどの力強い作品にするために。

原作者ヴァーロンもインタビューに登場。ニューヨーク生活が長いヴァーロンは、ベルガー監督以下スタッフが正しく表現していることを確認。ベルガー夫妻もニューヨークに10年住んでいたことがあります。

外観だけでなく、町の騒音も当時のように工夫をしています。車のタイプも当時の物。昔のフォルクスワーゲンも出て来ます。当時絶対に無かったのがロボットを売る商店。

★ ベルリンの映画を作って

2人がニューヨークを好きなのと同じぐらい私は自分が住んでいる場所が気に入っています。毎日歩いている通り、並木、ガス灯、バス停、地下鉄の駅、早朝勤務の時はまだ閉まっている店、地下鉄の交通局のショーウィンドウに飾ってある線路交付のプラスティックの人形、小さな公園・・・誰かベルリンを舞台にして似たような映画作ってくれないかなあ。80年代のベルリンだと西と東で大分様子が違うので、無理かな。

でもニューヨークにもある Woorworth という店はベルリンにもあるよ。古い地下鉄の駅も今もあるよ。建物はニューヨーク程大きくは変わってないよ。古いスタイルの商店は今もあるよ。古いアパートも今もあるよ・・・。

WTCビルは1966年から工事が始まり、1973年に完成。なので80年代にはまだ建っていました。そのシーンが何度も出て来ます。当時のニューヨークを知っている人はこの作品を見て懐かしく感じるでしょうね。あのビルに飛行機を突っ込ませたのは誰か・・・ときっとベルガー夫妻は怒っているのでしょうね。

★ ベルリンの映画館は親切だ

前回も書きましたが、2023年にファンタで見た後、ベルリンで公開された時に2度続けて映画館で見ました。2回分の料金よりDVDの方が安かったですが、2度行ったおかげで、宣伝用のパンフレット、ハガキ、バッジ、大きなパネルを映画館の人がプレゼントしてくれました。

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