奪還者(The Rover) 2015年8月10日 ヒューマントラストシネマ渋谷 去年のベルリン・ファンタのオープニング作品。ベルリンさんも観たそうです。 オーストラリアの映画で、設定が『マッドマックス』と似ているので、それと対比した感想が目に付く。しかし『マッドマックス』はあくまで娯楽作だし、それなりに金もかかっている。『奪還者』は低予算映画だというハンデもあるが、なんとも素直に楽しめない。ラストだって、あれをよかったという人もいるんだろうが、私には嫌な感じしかしなかった。 主人公の車がならず者たちに盗まれるのがオープニングで、その車を追っかけるというのが、この映画のストーリー。その車を盗まれるシーン、主人公がいる酒場みたいなところで中国の歌謡曲が流れている。それがなかなかいい。なんかアンニュイな感じがするし。ほかにもこの映画の中では中国語が飛び交ったりする。オーストラリアって昔から中国人移民が多いって聞くから、そんなに不思議はないんだろうなぁ。 それでまあ、追跡が始まるんだけど、一番面白いのはここのところで、そのあとあまりカーチエイスのシーンが見られなくなってしまうのが難点。まあ私はカーチェイスにもともとあまり興奮しないタチなのでどうでもいいのだけど、それが目的で観に来た人は、ちょっと物足りなく感じるかも。 このならず者のなかに兄弟がいて、その弟を救ったことから敵のアジトへ案内してもらって乗り込むわけだけれど、怪我をしている弟を医者の所に連れて行くと、その医者がたくさんの犬を檻に入れて飼っている。それがみんな弱っている感じなのが可哀そう。いくから棄てられた犬といっても、そんな飼い方はないんじゃないかと気が重くなってしまう。 それでアジトを襲うわけだけれど、よく考えれば車だけ取り返せばいいのに、夜明けを待って、寝込みを襲う。それに続くシーンはもう観ていて辛くて。 なんかねぇ、スカッとしないの。最後まで観てカタルシスが得られないアクション映画って何? クエンティン・タランティーノが褒めているそうだけど、どうなんだろう。デイヴィッド・ミショット監督は、このひとつ前に撮った『アニマル・キングダム』がやけに評判がいいので、そちらを観てから判断したい。 8月11日記 静かなお喋り 8月10日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |