直線上に配置

客席放浪記

第22回ヨチヨチSWAN

2016年8月28日
お江戸日本橋亭

 白鳥の挨拶から始まったヨチヨチSWAN、ますは白鳥の弟子の高座から。あおもりは前座、ぐんまはまだ見習いということもあって、噺ではなく漫談。
 三遊亭あおもりは、学校の野球部時代の思い出話と、山手線の車内で小声で落語の稽古をしていたら、乗り合わせた女性から、霊が見えると言われた話。
 三遊亭ぐんまは、自分の姉の粗忽ぶりと、ポンちゃん人形を背負って歩いていたときの悲劇。
 どうも白鳥から、オチを付けるようにと言われているらしく、かなり話を作っているなという印象。いいのいいの、それが創作の第一歩だろうから。白鳥だって二ツ目のころはマクラの漫談の方が面白かったもんなぁ。

 三遊亭白鳥一席目、ついに『落語の仮面 第6話あや姫伝説』のネタおろし。鈴本演芸場の、落語の仮面祭りで第一期シリーズに終止符を打ち、いよいよ第二期に突入したことになる。
 第5話では、立川アユミの話が中心だったが、またハナの話に戻る。落語など誰も知らない田舎の老人たちの前で落語を演るという修業に出ていた三遊亭ハナちゃん。その様子は第5話でも少し語られていたが、今回はその続きになった。どちらかというと、第4話からの続きといった感じ。田舎の大きな、しだれ桜に纏わるある伝説をめぐって、ハナはタイムスリップして不思議な体験の旅に出る。
 あまりに飛躍した展開にびっくりだが、どうやら白鳥のなかでは第二期の展開にある構想があるように感じられた。おそらくこれがあの『夢幻桜』と言われる噺に、どこかで結びつきそうだし、権蔵の正体もきっと、このあと明らかになると思われる。
 「自分でも、この先どうなるか考えていません」と言う白鳥だが、きっとなんとなく先のことは考えていそうだ。
 今回は、落語対決も、白鳥なりの落語論も出てこなかったのが残念だが、こんな噺の展開もまた面白い。

 二席目は『奥山病院奇譚』。白鳥が「滅多に演らない噺」と言う割には、最近どこかで聴いたよなぁと思ったら、二年前に三遊亭粋歌で聴いていた。「20年前に作ったときには無理があったが、自動運転の車も登場したし、時代がようやく追いついた」と言う白鳥の言葉が面白い。この噺からしたら、タコがトラックを運転しちゃう『ファインディング・ドリー』の方が、よっぽど無理あるよなぁ。

8月29日記

静かなお喋り 8月28日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置