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客席放浪記

両極端の会

2018年5月1日
紀伊國屋ホール

 白鳥から柳家三三に出された宿題は「おれ以外の新作を誰かに稽古つけてもらってきて」。
 白鳥以外の新作派となると喬太郎あたりの噺かな〜と思っていたら、出囃子が『鞠と殿様』。へえ〜、林家彦いちか〜。となると『熱血怪談部』あたりかなと思っていたら『掛け声指南』が始まった。そうか、この噺があったか!
 タイ人のボクサーがセコンドに回り、掛け声をかける練習をするものの、言葉の壁でうまくできない。新宿の街に出ていろいろなことを見聞きしたり経験を積んだレしてジムに戻って来たとき、彼はうまい掛け声がかけられるようになっている。
 街での様々なことが伏線になっていて、それが一気に回収されるという作り方は白鳥の落語に共通したものであり、ははあ、三三はそういう作りの落語が好きなんだなと思った。凄いのは彦いちになかったものも入れていて、末廣亭でのあのこと(諸般の事情で詳しく書けない)を入れたのは凄い。これぞ怖いものなしの白鳥落語の影響か。

 三三から三遊亭白鳥への宿題は「架空の生き物が活躍する噺で」。
 白鳥のホヘムページで「久しぶりにあれかな?」という謎の言葉が載っていたが、始まったのは『らくだ』。白鳥が普通に古典を始めたものだから客席の笑いが収まらない。「落ち着てください。この先長いんだから」と客席をなだめて始まったのは、2014年3月の『ヨチヨチSWAN』で一度だけかけて、「もう2度とかけることはないだろう」と言っていた『死霊のらくだ』
 生前、らくだに散々酷い目に遭っていた屑屋さんが、酔った勢いで、ボコボコにしてやらなければ気が収まらないと、悪魔の書に書かれた呪文で悪魔を呼び出し・・・というとんでもない噺に変化する。悪魔を呼び出すには呪文以外にふたつの道具が必要で、それを噺の前半に仕込んでおくという構成がうまい。
 ついに『死霊のらくだ』復活か!?

5月2日記

静かなお喋り 5月1日

静かなお喋り

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