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蕎麦湯ぶれいく

中禅寺湖南岸踏破・・・失敗!

2014年6月2日

 芦ノ湖を二日間かけて一周して以来、湖を歩いて一周するというプランに取りつかれてしまった。富士五湖のどれかというのもよさそうだが、真っ先に頭をよぎったのは日光の中禅寺湖。あそこは、北岸は国道は通っているが、確か並行して遊歩道があったはずだし、南岸はハイキングコースになっているというのは本で読んで知っていた。

 6月も8日前後から梅雨入り。しかもこれから夏に向かって暑くなる一方だ。歩く旅行は億劫になりそう。また、夏が過ぎると秋の長雨、台風シーズン、、そして紅葉の行楽シーズンと続くとあっちゃあ、むしろ新緑の今のシーズンが狙い目ではないかと思い始めて、「いつ行くの? 今でしょ」ということで、中禅寺湖一周ウォークをしてくることにした。

 東武特急スペーシアの始発は、浅草を7時30分に出る、けごん1号。東武日光線を利用する場合、いつもは浅草まで歩いたりしていたが、今回は現地でかなり歩くことになる。東京で疲れてしまっては意味が無い。ここは日比谷線で北千住まで行って、けごんに乗った方がよさそうだ。

 北千住に早めに着き、3階から1階の乗場にエスカレーターで移動する。乗場は前の方だと書いてあったので前の方へ行って、北千住7時42分のスペーシアけごん1号を待つ。と、スペーシアが目の前を通過してホームの先に停車してしまったではないか。慌てて追いかけたら、ようするに北千住のスペーシアの乗り口は通常ホームの先にあり、もうひとつ改札を抜ける必要があったのだ。知らないということは恐ろしいことで、もう少しで乗りはぐれてしまうところだった。

 車内の通路を通って、指定された車両の、指定された席まで移動。浅草から乗って来たと思われる乗客たちが、さっそく駅弁を広げている。私は日光到着まで我慢。せっかくの旅行だ。行った先の食べ物を食べたいではないか。

 私の座った、通路を挟んだ隣の席は、どうやら60代後半と思われる女性客のグループ。春日部で最後のひとりが乗り込んできて、向かい合わせにしたボックス席にして話に花が咲いている。その春日部から乗り込んできた人が広げたのが、持ち帰りの牛丼。いい匂いが辺りに漂い、堪らなくなる。うわー、牛丼食べた〜い。

 このグループは、そうとうベテランのハイカーたちらしい。3泊4日くらいで山を縦走して楽しんでいる。どうも私のような、山は1泊2日。歩くのは1日3時間程度。泊まるのは山小屋なんてもってのほか、温泉と、冷たいビールと、おいしい食事がないと、絶対に嫌という、超軟弱ハイカーとは雲泥の差だ。目の前にご褒美がぶら下がってなかったら、誰が山なんて歩くものか!

 9時18分東武日光駅着。売店に直行。弁当を選ぶ。ここの駅の売店は2系統あり、それぞれで売っている弁当が違う。中でも目を引いたのが、なきむしやま。駅弁と言うと最近は高額なものが多いが、これは520円。おそらく消費税が上がった4月より前までは500円だったに違いない。本当に日光には鳴虫山という山があるそうだ。けっこう険しい登山道だそうで、私には縁は無いかも。しかし、この弁当はいただこうということで、なきむしやまを購入。ついでにコーン茶のベットボトルも。

 9時38分の中禅寺温泉行の路線バスに乗り込む。当初考えていたのは、バスの中で、いろは坂を眺めながら弁当を食べようと思っていたのだが、乗ってみたら、なんとこのバスは飲食禁止だって。珍しくないかい? そういうの。

 中禅寺温泉バス停に着いたら机とベンチがあったので、そこで駅弁を広げる。天気もいいし、景色もいいし、空気もいいし、こっちの方がバスの中で食べるよりも良かったかもしれない。なきむしやまには、笹で包まれたおにぎりが3つ入っていた。ウメ、シャケ、たまり漬け。変に海苔で巻くよりも、こっちの方がきれいでいい。コンビニのパリッとした海苔ならいいが、ベチャベチャの海苔なら無い方がいい。それに、このおにぎりおいしいなぁ。おかずは魚ハンバーグ、野菜の煮物、レンコンのキンピラ。シンプルにしておいしい。これはアタリだった。

 さぁ、いよいよ歩くぞ。中禅寺湖東岸の中禅寺温泉から中禅寺湖南岸をグルッと回って、西岸の千手ヶ浜まで行くのだ。そこから低公害バスに乗って赤沼車庫。そして路線バスで、今宵の宿、中禅寺金谷ホテルというのが計画なのだが、実のところあまり時間は無い。午後になると、千手ヶ浜からの低公害バスの本数が減ってしまう。早めにホテルに着いて、温泉にも入って、のんびりしたい。中禅寺温泉→千手ヶ浜のコースタイムは4時間20分となっているが、トシも取った上に、軟弱ハイカーとあっては、とても4時間20分は無理だろう。とろどころで休憩も入れて、写真も撮ってということになると、どのくらい時間がかかるかわからない。しかもこうして現に弁当を食べて時間をロスしてしまった。気合を入れて歩かなければ。

 中禅寺立木観音を通過して、しばらく歩いて行くと、イタリア大使館別荘記念公園という立札が立っていて、車両通行止めになっていた。ここに至る前にフランス大使館というのもあり、そこは立ち入り禁止になっていたので、ここも入ってはいけないのだろうと、そのまま車道を歩き続けることにする。これがいけなかった。なんだか道は中禅寺湖を離れ、どんどんと高度を増し、山の中へと入っていく。「おかしいなぁ」と思ったが、「ままよ」とさらに進んでしまったのがいけなかった。景色はなにやら中禅寺湖方面に戻って行っているよう。「なんだ、こりゃ?」。これはおかしい。冷静になって考えてみる。どうもこれは山の中を車で越えていくための、とんでもない遠回りの道なのではないか。あとから調べたらこれは中禅寺湖スカイラインという道だった。ここまでもう1時間半来てしまった。無念だが引返すことにする。帰りは下り坂で1時間ほどで戻る。やはり、イタリア大使館記念公園を抜けて行かなくてはいけなかったんだ。

 これで2時間半をロス。とてもこれから南岸を歩き通すのは無理がある。計画を断念。中禅寺湖一周を今回は諦め、今夜はホテルで一泊して、明日、逆コースで南岸だけは踏破することにした。

 せっかくここまで来たのだから、中禅寺温泉バス停の先にある、華厳の滝を見に行くことにする。華厳の滝は、一昨年の秋にはとバスツアーで見に行って以来。あのときは曇っていてほとんど見えなかったのでリベンジだ。やはりオフシーズンらしくて観光客もまばら。しかし天気はよくて、一昨年来た時は上からは見えず、別料金を払ってエレベーターで下まで降りて、ようやくなんとか霞んだ華厳の滝を見ることができたというのに、今回は上からでもバッチリ。やはり豪快だわ。華厳の滝、ニジマスも登ったりするのかなぁ。落差97m。私みたいな軟弱ハイカーには絶対に無理。

 元気を取り戻して、中禅寺金谷ホテルまで、中禅寺湖北岸を歩く。ここを歩いたことがあるのは、これこれ20年近く前。夏に中禅寺湖で3泊したことがあって、ここを歩いたのだった。20年近く前に来たときに歩いた遊歩道はもっと狭かったという記憶があるのだが、思いのほか道幅が広い自然道だ。目の前を猿がよぎったりする。

 「このあたりかな?」と思われるところで自動車道に出てみると、ズバリ、見慣れた中禅寺金谷ホテルの前の道に出ることができた。長いエントランスの自動車道を登ってロビーに入る。カードに記帳を済ませ、部屋に案内された。部屋は極めてシンプルな作り。余計なものは一切ないが、ここの椅子は座り心地がよくて気に入った。

 宿泊客専用のティーラウンジがあるというので行ってみる。コーヒーと紅茶がセルフで飲めるようになっていて、とても落ち着いた感じ。また、このホテルは国道沿いでありながら、木々で国道と隔てられていて、車の音が聞こえない。こんなところにひと夏避暑に来られたら、どんなにいいだろう。

 一旦部屋に戻り、温泉に。日本はどんな由緒ありそうなリソートホテルでも共同浴場の温泉があるからうれしい。青緑色の温泉。微かに硫黄の匂いがする。平日だから、やはり宿泊客もそれほど多くないらしく空いていた。このところ体重が増えてきていたのだが、先日の健康診断で少し下がり、今日もまた少し下がった。まぁ、そろそろ少し下がった方がいいくらいのところまできていたから、これでいいのかもな。

 18時夕食。ホテル内レストランでのディナー。ハウスワインをボトルで貰う。
前菜が鴨胸肉と梨ノーのテリーヌ、フォアグラのコンティ、ごぼうのソース。
タピオカ入りコンソメ・スープ。
ホタテの貝柱と車海老のソティ、バルサミコ酢ソース。
口直しのシャーベット。
黒毛和牛フィレ肉のステーキ、トリュフ・ソース、ポン・ヌフ添え。
黒胡麻サラダ。
デザート。

 中禅寺金谷ホテルに泊まろうと思ったのは、以前、中禅寺湖に来た時にランチに立ち寄り、その料理がおいしかったのと、ホテルの静かなたたずまいが気に入ってしまったからのこと。この夕食もまったく期待を裏切らなかった。

 寝る前に、もう一風呂。露天風呂で星がきれいな夜空を見上げ、今日の疲れを取る。明日は結構また歩くことになりそうだ。

6月5日記























静かなお喋り 6月2日

静かなお喋り

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