NATION Without Remorse (1995)

Johnny Ohlin - guitar, backing vocals
Anders Wallberg - drums, backing vocals
Nobby - bass, backing vocals
Isaac Isaacson - vocals
Kalle Carlsson - keyboards


 

(2013/07/20)
 ジョニー・ウーリン___。 

 世界中に無数に存在したYngwieフォロワー、いわゆる"ネオクラシカル系ギタリスト"擁するバンド群の潮流に有って、
 よくある所の"聴ける"という類に留まるものでなく、本当にフェイヴァリットな作品として心に残るもの。
 彼はかつてNATIONという"ブランド"でそんな楽曲達を紡いでいたと思う。

 輸入盤店にディスプレイされていた1stを手に取ったのは大学生の頃。
 独特の哀愁に満ちたサウンドが詰まっていたその"深い趣"を、
 真に味わえたのは正直その数年後だったように思う。

 彼らの全作品(フルアルバム2枚)においてこの2ndに収められた2曲、
 "See Them Fall"と"Nation" ___発表当時ジョニー・ウーリン自ら「我々の音楽としては
 ちょっとオールド・タイプな曲」と評していたこの2つの楽曲が、まさに自分にとっての感動の極大点。

 一曲の中に詰め込まれた構築美の"やりすぎ感"、間奏Gの展開〜1stソロ、2ndソロと
 「いったいどこまで弾くんだよ」というたたみかけ具合が美しくてエキサイティングで
 ここまでやってんのに破綻せず素晴らしくスタイリッシュ。

 楽曲の細かい構成やソロの組み立て方など"専門的なこと"は分からないし、
 どこまで"先輩風"なのかも自分には分析しきれない。しかし、
 リアルタイム時から今に至るまで褪せなくフェイヴァリットであり続けているという事実が、
 単に"聴ける"という程度のフォロワーの類でないことを完全に証明している。

 ここで魅せる彼のアイデンティティは、
 その後彼が関わっているDIONYSUSの作品の中には、見つけられない。


  track list

 01. See Them Fall
 02. You'll See
 03. Live In A Lie
 04. Nation
 05. Just Before
 06. Love Will Return
 07. Without Remorse
 08. Goin'Insane
 09. Waterloo
 10. Dont Need To come




   
  ASIA Aria (1995)

Geoffrey Downes - Keyboards, Vocals
John Payne - Bass, Lead vocals
Al Pitrelli - Guitar
Mike Sturgis - Drums


 

(2013/08/06)
 「初期3枚こそがリアル・エイジア」或いは、
 「ここへ来て黄金期のサウンドにいかばかりか迫る」などという見方はまったく問題じゃない。

 "ARIA"と出会ってそのスケール感、湿っぽい英国的叙情感に浸り親しんだ学生時代がある。
 とにかくお気に入りだったこの盤の中に、自分の不透明で流動的、
 不安定で繊細多感だった青っちょろい日々とリンクした「音楽的想い出」がある。

 その分だけ一際特別で、それはおそらく「リアルタイムだったからフェイヴァリット」って事かも知れないし、
 そういうことだから、"3分間のプログレの大家"から頂く感動と比較したり
 同じ軸ではかられた優劣を語るものの一切に対して、何も感じない。


 ジャケットにおいても、1stから連なる幻想世界、必ず"A"でサンドされるタイトル・スペル、
 ハイ・センスなロゴデザインの統一感に「洗練された継続の美学」を強烈に感じていたし、

 何より楽曲において、これはこれの、所謂自分にとっての"動かん価値"で、
 よく言われる「これが新人バンドなら優に合格点」と来る評も、まったくそぐわないことだった。


 「自分にとってそういう作品ってあるでしょ?」の代表例だったと思う。


  track list

 01. Anytime
 02. Are You Big Enough?
 03. Desire
 04. Summer
 05. Sad Situation
 06. Don't Cut The Wire (Brother)
 07. Feels Like Love
 08. Remembrance Day
 09. Enough's Enough
 10. Military Man
 11. Aria





   
  2HOT4U Unlock Your Mind (1995)

Olaf Baumann - vocals, guitar
Jocken Haller - vocals, keyboards
Jurgen Stauch - bass
Andreas Burwig - keyboards
Peter Krumruck - drums


 

(2013/10/03)
 何故か手に取った瞬間「買わなきゃならない」と思ってしまう、いわゆる"ジャケ買い"が
 かなりの高確率でお気に入りの作品となるのは、自分にとって一つの神秘?なのだが、
 何をしてこのジャケが自分の"ツボ"なのかを言葉をもって伝えるのは少々難儀(笑)。

 独産"ポンプ・ロック"の2ndであるこのアルバム、ライナーノーツに目を通すこと以外に
 彼らの活動に関する確固たる情報がほとんど得られなかったということも余計に神秘さを煽るんだが、
 当時ゼロ・コーポレーションから出されたこの盤を愛聴しながら「俺ぐらいしか知らんだろう」
 っていう、なんだか"自分だけの世界"に浸れたような、暖かな陽が差し込むあの自部屋の風景が浮かんで強く郷愁をそそる。

 音楽の中身は、繊細にとらえられたギターのディストーションサウンド、
 メインパートにアクセントにとゴージャスに挿入されるキーボードの旋律、
 してなんと言ってもOlaf BaumannとJocken Hallerの二人による余りに素敵な"プログレ・ボイス"・ボーカル。
 それらが透明度の高い音像の中に大きく立体感を伴う形で配置される。

 音数は多くなく、重厚なイメージもない。それ故か一つ一つのパーツの存在感が、一際だった。
 ギターワークの随所に垣間見えるTOTOの影響も総じてプラスの印象、ソリッドなシンセ音が成すの旋律と共に
 緊張感あるイントロを演出したと思えば、演奏頻度やテンポを抑えほのぼの感を全開させる楽曲もあり..。
 更に今作の大きな特徴の一つと言えるラスト2つのトラックでは、
 同じタイトル曲の別バージョンが組曲のように ――ピアノのアコースティック・ヴァージョンから
 クロスフェード気味にフルバンド・ヴァージョンへ流れる―― 配置されている。
 新鮮だがこの抜群に後味の良い美学を持って、強烈な切なさをも伴いながらアルバムは幕を閉じる。

 その後の2HOT4Uの情報に出会ったことがない。でもどっかで「ネットや紙面上で彼らの情報に出会ってしまいませんように..」と
 思っちゃうのは、このまま彼らが自分にとって神秘的で居続けて欲しいからなんだろう。
 それは余りに懐かしく遠い"あの部屋の風景"をそのままにしておきたい事と、きっと無関係じゃない_____。


  track list

 01. Advice
 02. A Candle For Our Paradise
 03. The Secrets Of Fortune
 04. Listen Closely
 05. Silent Emotion
 06. Force Of Former Times
 07. Jealousy Line
 08. The Race Is My Life
 09. There You Go
 10. Precious Sequence
 11. Precious Butterfly
 12. Heart Of A Woman (Piano Version)
 13. Heart Of A Woman




   
  PINK CREAM 69 Sonic Dynamite (2000)

DENNIS WARD - BASS
DAVID READMAN - VOCALS
ALFRED KOFFLER - GUITARS
KOSTA ZAFIRIOU - DRUMS


 

(2000/08/13)
 ドイツのメロディアスHRバンド、PINK CREAM 69 の 8th。
 基本的に僕は、ANDI DERIS(Vo)が抜けてからの彼らにはまったく興味がなかったのだが、
 たまたま見かけた、あるそれ系サイトの中のレビューにおいて比較的良い評価がされていたのと、
 店頭で見たときに、ジャケにあの”色彩感覚”と1st時の”エロティック加減”が戻っていたのを確認し、
 単純にあのときの音楽性に戻ったものと前向きに判断したため、購入意欲が湧いた次第。

 確かに、とてもメロディアスで元気がよくて、後任のDEVID READMAN(Vo)の歌唱もとてもいい感じ(個性においては前任の方が).。
 初期における、日本人ウケしそうな独特の憂いを持ったANDI特有のメロディ・センスはもうそこにはないが、
 メロディックなハードロック作品群中においては、かなりの高水準にあると思う。
 類い希なるメロディ・センスを持ったANDIが抜けたことで、”PINK CREAM 69だけが持つ色”は遙かに後退したように思うが、
 良質なメロディアスHRを求める人には、満足のゆく作品ではないだろうか。
 僕のようにANDIが抜けてから聞いていない人は、聴いてみては?


  track list

 01. Passage To Hope
 02. Seas Of Madness
 03. Followed By The Moon
 04. Sonic Dynamite
 05. The Spirit
 06. Speed Of Light
 07. Waiting For The Dawn
 08. Let The Thunder Reside
 09. Lost In Illusions
 10. Face Of An Angel
 11. Shattered Prophecy
 12. Spread Your Wings




   
  MASQUERADE Masquerade (1992)

THOMAS ERIC - GUITAR
TONY YOANSON - VOCAL
MARCO TAPANI - DRUMS
HENRIK LUNDBERG - BASS


 

(2017/03/09 加筆)
 スウェーデンのメタルバンドである彼らは、このアルバムでデビューした当時、
 ハイ・トーンヴォーカル(TONY YOANSON)を擁する非常にメロディックなサウンドから、
 TNTの影響下にあるバンドと評されていた。確かにそれらしい雰囲気は十分にあったが、
 自分としてはこのアルバムが、単なる”類型”ではなく、しっかりとしたオリジナリティを内包していると感じていた。
 まず、一曲一曲が非常に魅力的ではつらつとしていて、美しい。
 THOMAS ERIC(g)の非常にテクニカルなプレイも、楽曲に説得力を与えている。
 中でも自分は、Dのポップセンスに強く魅せられ、これは自ら運営しているラジオ番組の中でも、長年愛用しとりました。
 同様に番組で使用していた@はアルバムのオープニングにふさわしい快活なラヴ・ソング、
 そこから2トラック目以降の流れもとても良く、透明感と少々の哀愁をも含む、
 メロディアス且つ適度にキャッチーな楽曲が並ぶ、魅力満載のアルバム。

 当時、ゼロ・コーポレーションから発売され、下宿時代部屋でよく聴いていたこの盤は
 僕にとって数ある青春のサウンド・トラックの中の大切な一枚。

 彼らは次のアルバムで、よりヘヴィな方向へサウンドを転換させていったが、
 安直に当時の時流に乗るわけではない、彼らの持つ個性がしっかりと息づいている作品だった。
 その作品の中でvoのTONY YOANSONは、パワー・メタル系シンガーにも通ずる力強い歌唱を披露している。


  track list

 01. Gimme All Your Love
 02. Four Letter Words
 03. Our Time Has Come
 04. Sudden Love Affair
 05. Ride With the Wind
 06. Dawning of the Day
 07. Le Baugdeux de Triomphe
 08. Wild Child
 09. Dancin' on the Edge
 10. Liaison
 11. Justice
 12. All Night All Day
 13. Give it a Shot
 14. Lonely World




   





















カウンター
  SIXRIDE Sixride (2004)

下山 武徳 - Vocals
竹内 聡 - Bass,piano,keyboards and wood bass
磯田 良雄 - Drums
青柳 慎太郎 - Guitars
荒瀬 崇光 - Guitar


 

(2009/12/18)
 札幌発のHMバンド、SABER TIGER分裂後、下山武徳(vo)が中心となって結成された、SIX RIDEの通算2作目。
 基本的にはハード・ロック主体の楽曲が並ぶが、そこに乗るのは、メロディアス、時として歌謡風にも振れる、哀愁たっぷりの”歌唱”だ。
 下山の持ち味である”ソウルフルな絶叫”の場面では、怒濤のエナジーが存分に放出され、アルバムの中の一つのハイライトを形作っている。
 詩の内容は、内省的な自己分析、過去の回想、忌むべきものへの怒りと言った、どちらかと言えば後ろ向きな言葉が並んでいくが、
 己の内に、未来へ向かって力強く進んでいこうとする新たなパワーが生まれていく様子が伺える、
 いわば前向きな希望を掲げ得る締めくくりで、後味もほんに良し。
 ここであえて記したいのは、普段洋モノのロックばかり聴いている自分にとって、
 この”たまに聴く”母国語の歌詞がこんなにもハートに響いてくるものか、という驚き。
 これは、下山武徳という類い希なヴォーカリストの持つ、圧倒的歌唱力の説得力によるものが非常に大きいと思われるが、
 バンドの演奏テクニックに加えて、まず何より純粋に一曲一曲の質が非常に高い、と言う事実には絶対に触れておかなきゃならない。

 自分としては、なかでも@Cが強く心を打つが、特にCで、下山の絶唱の後哀愁の間奏Gソロに突入していくこの流れがまさに、激情の極み。
 人間には、この様なとてつもない憂いの波動を生み出す力がある。

 返すがえすもこういった高品質な音楽が話題の片隅に追いやられているというのが、
 事実、現在の音楽シーンの有様。。


  track list

 01. マグダラ
 02. 三千世界
 03. 蒼い刻
 04. 蜃気楼の彼方
 05. Black Native World
 06. Float Flower
 07. 月影
 08. F-Angel
 09. Row Out
 10. 切り裂けば黒い泥が流れる者へ
 11. On The Wind