■paralel■
ZORO■
H         S
Y         A
P         N
E         J
R         I
■LOVE■
















■11■
記憶

 

サンジは体をなでるゾロの温かい手に涙がでそうになった。
・・・ゾロ。
もう、一緒にいられねえ。
しばらくだったけど、一緒にいられただけで良かった。
幸せだった。
ゾロといると、ツライことを忘れられたから。
温かい体。優しい手。
何も言わず抱きしめてくれた。
しばらくだったけど、ゾロの所でいられた。
きっと自分は、最後の瞬間まで、ゾロのことは忘れない。
もう、誰に抱かれても忘れない。
だから今だけ。
今だけはゾロを感じさせて。
明日になれば、オレは振り返らない。
道は別れて、それきりだ。
それでいいから。

「ゾロ・・・ゾロ・・・」
お別れだ。
オレたちの歩く道は細い細い糸のようなもの。
出会えたのが奇蹟。おそらくもう巡り会うことはねえ。
永遠に。
別れたく、ねえ。
だけど、オレはルフィの所に行く。
だから、お別れだ。

ゾロはしがみついてくるサンジの体に手をはわした。
動き出した歯車は止められない。
自分も歯車の一つ。
サンジもそうだ。

敵になるかもしれない。
どちらかが死ぬかもしれない。
毎日別れの言葉を言っていても、会える奴にはまた会える。
一度も別れの言葉を言っていなくても、ある日突然、別れはやってくる。

奇蹟なんて待っていたら、死ぬまで願いは叶わない。
過ぎた願いなど持たなければいい。
手に入らないものを手に入ると思うから後悔し、想いが残る。
最初から手に入らないものだと思うと、後悔することはない。

愛だの恋だのを軽蔑していた。
それまでの自分を捨ててまで誰かの愛に生きるやつ。
それは最大の隙。
その隙をつくと簡単にヒットできた。
愚かな行為。
そう思っていた。

ゾロはサンジの体を貫きながら思った。
彼等は後悔してはいなかったのだ。
愛ゆえに死んでも。
愛しさから離れることの方が苦痛なのだ。
自分が自分でなくなるような想い。
心は痛む。体の痛みとは明らかに違う。
離したくねえ。
この体を。この心を。

「ああっっっ」
サンジ、お前はオレのもんだろ。
もっと伝えたい。
もっと知りたい。
もっとサンジの中に入りたい。
ゾロは激しく精を放った。

サンジは自分の中にゾロを感じた。
飢えている。
オレは、ゾロに。
もっと、入れて。
体全部、ゾロでいっぱいにしてほしい。
皮膚という皮膚から、アナというアナから、ゾロを感じさせて欲しい。
快楽のあまり、とびそうになる意識をかろうじて保つ。
ゾロを見なきゃ。
だって、もう見れない。
勿体ないだろ。
オレを抱くゾロを覚えておくんだ。
ずっと、ずっと、忘れねえように。
オレの一番好きな唇。
オレの一番好きな髪。
オレの一番好きな体。
オレの一番好きな傷。
オレの一番好きな足。
そしてオレの中に入ってるゾロのそれ。
大切な、大切な記憶にするから。
今までの嫌な記憶じゃねえ。
一番幸せな記憶になるから。
オレの一番好きな男。
忘れねえ。
オレの全部で覚えておく。

どんなに離れても、辛い記憶が消えないように、この記憶も消えることはねえから。
 
 
 

■12■

■地下食料庫■
■厨房裏■