■paralel■
ZORO■
H         S
Y         A
P         N
E         J
R         I
■LOVE■


















■12■
変容

 
 

「ああ・・・それでアンタがここにいるわけね」
ジャンゴは武器を片づけながらサンジを見た。
いつもはフリーの客として何かと便宜をはかっていた。
ルフィの一味になっても慣れたジャンゴの武器を欲しがったので、ここまで出向いて来たわけだ。
ジャンゴは色々なところに出入りしている。
しかし、まさかルフィがそこに居るとは思わなかった。
ルフィは気紛れで神出鬼没。
いくら自分のところが取り引きしているといっても、今まで一度も武器の取り引きに顔を出したことはなかった。
「なーーー、これ撃ちやすいのか?撃ってもいい?」
「てめえは駄目だ!!!!」
ルフィとサンジの会話にジャンゴは呆れていた。
ルフィは銃は使えないというのは聞いていたが、まるっきりの素人だ。
たかだか殺し屋の銃の注文についてくるとは・・・聞きしにまさる奇行ぶり。
こうしていると、いつも張り詰めてピリピリしていたサンジも印象が違う。
客や仕事の斡旋をしたこともあるのだ。
「あー、お前。もうコイツの世話しなくていいから。オレのもんになったから」
「ルフィ!!!」
顔を赤らめて叫ぶサンジ。
ガキみてえだ。全然印象が違う。
サンジはいつも思いつめたような顔をしてギリギリの所で生きていた。
切れそうで、切れない糸。
触れれば火花が飛びそうな雰囲気。闇に咲く花。
それがまるで別人のようだ。
これもルフィの力か。カリスマ性があると聞いてはいたが。
まあ、この雰囲気で想像はつく。完全にデキてるってことか。
サンジは悪くない客だった。
だから、もう武器しか買わないとなると売り上げ減だ。
「ルフィさん、ワンツージャンゴを見せてやろうか?」
「見たい、見たい、見たい!!!」
別の特技を生かし、新たなる商売をPRするジャンゴの思惑通りの反応をルフィが示す。

サンジは溜息をついて、部屋の隅にある椅子に腰掛けた。
はしゃぐルフィをぼんやりと見る。
しばらくはあれで喜んでいるだろう。

今日はゾロがアーロンをヒットする日だ。
ルフィがそう言った。
「サンジはオレのもんになったから、ゾロとはもう会うな」
結局、ギンとも会って無い。
カタはつけた、と言っていたが、どんなカタなのか。

日々ルフィの顔色を伺い、生きている。
一度料理をしてやると、ルフィは凄く喜び、時々食事を作っている。
それから夜の相手。
自分はルフィの新しい玩具らしい。
刺激を欲しがるルフィの好きなようにされている。

ゾロは、今もどこかで息を殺してアーロンを待っているのだろうか。
サンジは静かに目を閉じた。
瞳の奥にはゾロの姿がある。
サンジはゾロの成功を願った。
そして、幾度となく思い描いたミホークの死を想像する。
安らぎなどいらねえ。
早くアイツを狙いてえ。
時は近づきつつある。
確信。
オレは待つ。
ケモノのように息を殺して待つ。
その時まで、待ちつづける。
もうすくだ。
もうすぐ、機が熟する。
 
 

■13■

■地下食料庫■
■厨房裏■