■13■
蹂躙
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「なー、サンジ。結局、クロ殺したのってギンだろ?」
セックスの途中で急に話し掛けられて、サンジは体を強ばらせた。
ルフィはサンジの手足を拘束してさっきから体をすきにいじっていた。
「おもしれえの。今、体がイエスっていったぞ。ココで分かるじゃん」
そう言うと、繋がった部分を強く突き上げた。
「あっっっ」
サンジは耐え切れず声を上げた。
既に何度か放たれたものが中から飛び散った。
「ちょっと強情だったから、ジャンゴにやらせて喋らせたから。嘘ついたって駄目だぞ」
ルフィは驚きに目を見はるサンジの目の前にディスクをひらひらさせた。
「あいつ、いっぱい持ってたぞ。お前がシてるとこ」
ルフィはサンジから自分のモノを抜くと代わりに黒光りするディルドウを捩りこんだ。
「うぁぁぁっっ」
悲鳴をあげるサンジの口に自分のモノを銜えさせる。
「最近、お前、やる気ないね。久しぶりに昔の気分になれば?」
玩具のスイッチを入れ、サンジの弾ける体を押さえつけ、喉の奥まで犯す。
逃げようとして淫らに動く腰や体を視姦する。
ルフィはサンジを気に入っていた。
メシは上手いし。
抱きごこちもいい。
でもサンジは違う誰かを見て、その体を誰にでも好きなようにさせていた。
オレ甘やかしすぎていた?
シャンクスにだけは手出させないようにしないと。
アイツ、オレの好きなもん、必ずつまみ食いするから。
ルフィはサンジの口に銜えさせたまま立ち上がり、サンジを膝で立たせると勢いをつけて更に喉を犯す。
足を開く形で拘束されているサンジは不安定な体勢で懸命にルフィに奉仕していた。
つきあげにあとずさる体が不意に滑り、サンジは床に尻餅をついた。
「んぁぁあああ」
自らの体の重みごとディルドウが更に奥に突き刺さり、サンジはあまりの衝撃に射精した。
快楽と屈辱のなか、意識を飛ばす。
「・・・のガキ、垂れ流しじゃねえか」
「連れていけ。クロッカス先生んとこだとさ」
薄暗い娼館の外れ。
年老いた医者の所に、いつもの患者が運ばれてきた。
「サンジか」
クロッカスは眉をひそめた。
いつものことだ。
売れっ子なのだが、反抗的で客はたいてい無理をさせる。
無理をしたら高額になる。サンジは客が「無理なことをさせたくなる」子供だった。
数多い男娼の中で上ランクの子供。
傷が残らないようにケアして、治ったら客をとらす。
使い捨ての子供にはそれすら無い。
クロッカスは消毒をすると薬をつけた。
「どうだ?」
この娼館を仕切っているクロが様子を見にやってきた。
サンジについているのは上客だ。
「今度、いつ使えそうだ?」
従順なだけの子供にはない魅力がサンジにはあった。
そして幾度汚されても汚れが残らない。
不思議な子供だった。
なのに無意識で男を誘う。
「熱もあるから、一週間休ませろ」
クロは面白くなさそうな顔をして出ていった。
あの客は待たせないと。だが、これでまた値が上がる。
クロッカスは目覚めた子供に色々な話をしてやった。
真剣な瞳。
何ごとも聞き漏らさないという強い意志の現れ。
負けて、死んだり狂っていく数多くの子供たち。
サンジは違っていた。
本気で、ここから出るつもりだし、本気で復讐のために生きていた。
利用できるものは全て利用していた。
武器は体しかない。
クロにすら媚び、殺しの方法を学んでいた。
「なんで、ここにいるの?」
幾度も問われた言葉。
「わしは駄目なことをしたからじゃ」
娼館の子供を見殺しにした若い頃の自分。
自分の息子も娼館にいたこと。
それから死んでしまったこと。
サンジは大きな目を見開いて全てを聞いた。
・・・この子は違う。
ここで終わったりはしない。
ここで終わる、わしとは違う。
みんな精神が死んだような子供たち。
だが殺せない精神もあるのだ。
この子にはわしが知っていることは全て教えよう。
いや、教えられているのはわしの方かもしれない。
あきらめてはいけないことを。
人として扱われなくても。
どれほど蔑まれても。
蹂躙されても。
だれよりも高貴な心を持った子供。
この子を壊してはならない。
この心を壊してはならない。
掃きだめにも光が宿ることを忘れてはならない。
ゼフ、あんたの残した子供は強い。
たった一人で暗闇を走っている。
どんなに体は真っ黒でも瞳が光っている。
「復讐」というたった一つの願いを支えにして。
なんと悲しくて美しい子供。
この子が安らかに眠れる日が来ることを祈ろう。
汚れた子供が幸せになれることを祈ろう。
サンジはゆっくりと目を開いた。
クロッカス先生・・・。
忘れていた記憶。
あの優しかった医者はある日、この世の中から消えてしまった。
後からギンに知らされた。
逃げようとした男娼に手を貸したのだと。
どうして・・・。
何故、生きて欲しい人ばかり、いなくなる。
「気づいたか? サンジ、ゴメン!!!」
目の前にルフィがいた。
それと知らない男。
「あ、コイツ、医者のチョッパーてんだ。見かけと違っておどおど君だけど」
サンジはぼんやりとでかい男を見た。
確かに・・・おどおどしてる?
オレはコイツをクロッカス先生と勘違いしたのか?
「ちょっと熱あるから、しばらくH禁止」
「えええええ、ま、いっか。早く治れよ、サンジ」
ルフィはそう言うと出ていった。
チョッパーはサンジをちらっと見て、目を反らした。
微熱の原因は恐らく心因性。
けれど、ルフィにはその通り言えなかった。
サンジには分かった。
自分のからだが大したことないのは分かる。
ルフィから遠ざけてくれたのだ。
ルフィが嫌いなわけじゃねえ。
だけど、沸き出してくる過去の記憶。
それがオレにはきつい。
過去にしたことは全部自分のことだ。
どんな記憶でも。
オレは何を思い出せばよいのか。
何を忘れればよいのか。
選べたらいいのに。
選べないから、苦しむ。
だがもうそれにも慣れてしまった。
もうこの苦痛も自分の一部だから。