■15■
指令
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屋敷に車が数台乗り入れ、慌ただしい気配がひろがる。
「うわああああああ」
怒号と泣き声が響き渡る。
ルフィが飛び出していき、サンジもあわてて服を着ると、後を追う。
「おやじーーーー!!!」
「ヤソップ!!!!」
泣きながらウソップが遺体にとりすがっていた。
サンジは茫然とその様子を見ていた。
・・・幹部がヒットされた。
こうなるともう、後は、トップが狙いとなる。
シャンクスとベンも駆けつけ、ヤソップのなきがらを抱きしめていた。
きびしい表情をしたシャンクスは殆ど服を身に着けていないルフィを殴り付けた。
「・・・いてえ」
「ヤソップの死にその恰好は何だ」
「・・・すまねえ」
素直にあやまるルフィ。
シャンクスは少し離れて立つサンジにちらと目をとめる。
冷たい瞳。
サンジはシャンクスを見た。
目があう。
オレを使え。
オレを使ってミホークを殺れ。
ルフィにとってオレは邪魔だろ?
翌日。
サンジはシャンクスから呼び出しをうけた。
シャンクスからの呼び出しが来た時、組む相手がいるとは思わなかった。
部屋に入った時、サンジはゾロの姿を見て驚いた。
シャンクスは厳かに言った。
「ターゲットはミホーク。ただし、成功確率は低い」
サンジは一もニもなく承諾した。
ゾロは既に承諾していたのだろう。
二人は共に行動するように命じられた。
ついに、来た。
目の前に標的が。
サンジは震える思いだった。
話を聞いた時から、自分が生き延びようと考えたらできない仕事だ。
オレはこの時を待っていた。
でも、ゾロは?
二人が部屋から出た後、ベンがシャンクスに言った。
「やっぱり、あんたは恐い人だ」
シャンクスはかすかに微笑んだ。
暗い微笑みを。
ルフィはサンジに溺れ過ぎている。
サンジは最初からルフィを見てはいないというのに。
初めから、ミホーク。もしくはゾロ。
あのサンジが金もとらずに同棲していたのだ。それをルフィが奪った。
ただの気に入りにしては度を越している。
ゾロもサンジも能力がある。二人で組ますには申し分がない。
死して、ヒットできるものでなければならない。
100%の死を覚悟できなければこの仕事は出来ない。
サンジは最初から、死ぬ気だ。
ルフィには何故それが分からない。
そして、ゾロ。お前はバカじゃない。
彼は知っているだろう。
このヒットがどういう意味を持つものか。
殺人機械として育ってきた男。
お前にしかできない仕事を。