■paralel■
ZORO■
H         S
Y         A
P         N
E         J
R         I
■LOVE■













■7■
裏切

サンジは雑踏を見下ろして立っていた。
時計は9時を回っている。
眼下にはクリークの経営するレストランが見える。
勿論厳重に警備されている。
チャンスは僅か。
唯一の死角であるこの場所から撃つしか方法がない。

おせえな。
サンジはタバコも吸えず、いらいらしていた。
もう一時間だ。
ギンがその死角にクリークを連れてくるはずなのだ。
あの野郎、もしや気が変わったとか。
ギンのヒットの依頼を受けてから、サンジはギンに頻繁に抱かれていた。
いつかはこうなるだろうと思っていた。
ガキの頃から自分を見ていたギン。
オレを哀れみつつ、欲情していたギン。
お前はオレを殺さねえだろ。
クロをヒットしたのはお前。
殺させたのはオレだけど。

お前も同じだ。
体だけ欲しがる奴らとどこが違うんだ。

人の気配がして振りかえると緑頭の見覚えのある男が立っていた。

「てめえ・・・」
 
 

ゾロは自分を見て驚くサンジを不思議な気分で見た。
ああ、ここにいたのか。
探していた人間を見つけたような気分。
バカな、オレは誰も探してなんていねえのに。

黙って目で目的地を見る。
もうそれだけで、二人の目的は同じだと分かった。

あとは無言。
少し離れたところで、気配を殺して待つ。
建物の中からはにぎやかな音楽や話声が聞こえる。

二人は何も喋らなかったがお互いの存在をぴりぴりと感じた。
待っていると時間の流れが変わる。
速いような遅いような奇妙な感覚。
二人は待ちつづけた。

やがて、ギンの姿が見え、クリークの姿が見えた。
ゾロとサンジは銃を構え、同時にヒットした。

悲鳴と怒鳴り声が聞こえる。

二人は素早く走り出した。

サンジは走りながらゾロを見た。
何だ、コイツ、また同じ道か。
ドコ行くんだろう。
・・・一緒に・・・。
バカな、オレは一体何を考えてるんだ。

ゾロはサンジが同じ道を逃げるのを見て、振り返った。
やっぱり同じか。
けどこの前よりちょっとスピード遅いな・・・。
・・・オレ、なんで、コイツに合わせて走ってるんだ。

出口が近づいてくる。

深入りするな。
止めておけ。
お互いに充分分かっているはずだった。

ゾロは自分を見ているサンジを感じながら背を向けた。
このまま出ていけば、それで終わりだ。
その方が、いい。

止めた方がいい。
コイツはキケン。
分かってる。

だけど、もうどうだっていい。
「オイ、泊まるとこあんのか」
 
 

サンジはしばらく答えなかった。
コイツはどういうつもりなのか。
知り合いになってどうする。
それにオレ昼、ギンとやったばっかりだし・・・。

だけど。
コイツのそばにいたい。
何でだか分からねえけど。
「ねえよ」
それだけは、事実だ。
オレにはずっと泊まるとこなんてねえ。

「来いよ」
後ろを振り返りもせずゾロはどんどん歩きはじめた。
サンジはゾロについて歩き始めた。
 
 
 
 

■8■
 
 
 

■地下食料庫■
■厨房裏■