■paralel■
ZORO■
H         S
Y         A
P         N
E         J
R         I
■LOVE■















■8■
混乱

前回同様のそっけないビジネスホテル。
ゾロは大量に準備した酒を出してくる。
サンジは呆れたような顔をした。
「てめ・・・それ」
「一人で飲む予定だったがな」
そう言ってサンジにも酒をついでやる。

サンジはかなり速いピッチで飲んでいた。
どちらかというと強い方ではない。
だんだんと酔いが回ってくる。
なんか、居心地いいな・・・ココ。
いつも、ヒットの後は最低な気分だった。
いくら飲んでも酔えない。
だけど、今日は何だか楽しい気分だ。
「てめえ、名前なんて?」
「・・・ゾロだ」
「ええええ? まさか魔獣ゾロかあ!!それにしちゃ趣味悪い腹巻きしてるよな。ギャハハハ」
ゾロは完全に酔っているサンジを呆れた目で見た。

「あー、もうヒットできねえかと思ったろ!!」
「あのなあ・・・てめえ誰かに連れてこらしたろ」
しきりにからんで来るサンジにゾロは苦笑した。
「あ−−−ギンだよ。ギン」
あの一番隊長か。
ゾロは顔を思い浮かべる。
忠実な部下。一番の信頼を置いている部下だ。
しかし、コイツ、酔っぱらってるからってべらべらと・・・。
それに接近しすぎじゃねえか。
おい、オレにくっつくな。
酔っ払いを相手にする趣味はオレにはねえぞ。
「へへへへ。なんかスゲえいい気分」
「酔ってるぞ、お前」
「酔ってねえ!!!もっと飲む!!」
この酔っ払いが。
ゾロはサンジを体ごと押さえつけた。
目の前に上気した顔がある。
やべえな。
ヘンな気分になるじゃねえか。
「あー、ヤりてえの?  でも今はオレだりいからさ、今度にしてくんねえ? ギンのまだ洗ってねえし」
平然というサンジに心のどこかで冷えた感情が生まれる。
誰でもいいんだ、コイツは。
サンジはそのうち寝息をたて始めた。
ゾロはサンジを抱きしめたままで酒を飲んだ。
・・・クソ。
幸せそうなツラして寝やがって。

恐る恐る髪の毛を触る。
なめらかな頬や唇も。
温かい体。
あったけえな。
いつもは人の体温がうっとおしかった。
なのに、コイツのは心地よい。
ずっと抱きしめていたい。
どうしてだ。
こんな事、考えたこともなかったのに。

こいつはオレの心の中に土足で踏み込んできた。
どうしたら、いい。
 
 
 

■9■
 
 
 

■地下食料庫■
■厨房裏■