side ZORO
*1*
久しぶりに街についた。
ちょうど祭の日らしい。
「まつりだーーーー」
ルフィは叫ぶとどこかに飛び出して行った。
おれたちはいつものように勝手に街に出た。
今夜の祭にそなえて広場は飾り付けがされていた。
人が集まっている。
それぞれに着飾って、幸せそうだ。
年に何度もないハレの日だ。
楽しそうな男。女。子供。としより。
みな嬉しそうだ。
雑踏の中、オレは歩く。
・・・祭か。
オレは、サンジとケンカしていた。
理由はいつものように、大したことじゃねえ。
オレが寝てるのが気にくわねえ、とかなんとか。
オレはあいつのことは分からねえ。
何で怒るのか。
大体、あの野郎は絶対にあやまらない。
てめえの言いたいことばっかり言いやがって。
そこが、かわいげがねえ。
すっきりしない気持ちで歩き続ける。
「ねえ、おにいさん、よってかない?」
水商売風の女が声をかけてきた。
オレは無視して通り過ぎようとした。
「ねえ。恐い顔しないでよ。いい気分にしてあげるから」
あー、めんどくせえ。
そう思った時だ。
視野の片隅に見なれた姿をとらえた。
金の髪。
黒いスーツ。
くわえタバコ。
オレはサンジを追っていた。
まだ買い出しの途中なのだろう。
袋を沢山持っている。
「おい」
声をかけるとサンジが振り返った。
そして意外そうな顔をした。
どこかで花火が上がった。
いっせいに歓声があがる。
だがオレはサンジを見ていた。
サンジもオレを見ていた。
オレたちは多分、見つめあう、というより睨みあう、に近かったろう。
何を言っていいのか。
だが目をそらせない。
言葉にだせない。
言葉にできない。
何でこいつにこうまで引きずられているのか。
わからねえ。
「花火より、オレのほうがいいだろ」
サンジはそう言ってにやりと笑った。
「そうだな。手が届くもんがいい」
オレも笑った。
おれたちは人の流れと反対の方へ向かった。
部屋に入ると、オレは明かりをつけた。
どうってことない普通の宿屋だ。
「なあ、明るすぎねえか」
サンジはちょっと困ったような顔をしていた。
考えてみたら今まできちんとしたベッドでやったことなかったような・・・
「明るい方がいいじゃねえか。よく見えて」
「・・・」
「なんだ、てめえ、まさか、恥ずかしいとか?」
サンジはすげー悔しそうな顔をした。
外では花火が続いている。
だが、花火なんてどうだっていい。
オレはカーテンを閉めた。
今はこいつが欲しいんだ。