Rain |
act 10 afraid |
ゾロとギンのバトルの後、
ウエストブルーとイーストブルーの緊張関係は悪化しつつあった。
至るところで意味のない争いが続いていた。
あれから、
サンジとは連絡がとれなくなった。
ギンの死体のそばにサンジはずっとついていたという。
ゾロは振っていた剣を置くと、
ごろりと横になった。
いつもはすぐに訪れる眠りがなかなかやってこない。
「ゾロが殺ったギンのとこの幹部は腰抜けらしいぜ」
「サンジっていう、おキレイな顔をしたベッピンだろ」
「どうやって幹部になったことやら」
勝ち誇ったように下世話な話題が耳に入る。
サンジはギンと寝ていた?
サンジはギンを愛していた?
何もできない焦燥感。
誰を斬っても斬れない。
立ちふさがる限界。
届かねえ。
届かねえんだ、サンジには。
「サンジさんを不幸にするな」
死際のギンの言葉。
わかってる。
あいつはオレといても幸せになんかなれやしねえ。
だけど出会ってしまった。
オレにはあいつしかねえんだ。
敵とか味方とか、
そんなことはどうでもいいのに。
どうしてなんだ。
クソ。
あいつを抱きてえな。
他の相手とはヤる気がしねえ。
サンジ、てめえ今なにしてやがる?
サンジはうつろな目をしてぼんやりと座っていた。
乱れた服をのろのろと直す。
失ってはじめてギンの価値を知った。
ギンがどういうことをしていたのかも、知った。
さっきまでサンジの部屋にいた男。
幹部の中の一人だ。
サンジにとってただそれだけの存在だったはずだ。
だが、そいつは簡単にサンジを組み敷いて言った。
「もうギンはいないんだ。
お前は足技は確かにすげえが接近戦じゃ話にならねえ。
みんな狙ってるぜ、お前を。
最近、すげえエロくなったし」
暴れる体を押さえ付けられ、
簡単にヤられた。
簡単に・・・。
オレはあいつにとっては簡単にヤれる程度の存在だった。
身をもって思い知らされる事実。
悲鳴とともに喉まででかかった言葉。
・・・ゾロ。
でも、その言葉は絶対に言ってはいけない。
言えば身の破滅だ。
誰にも知られてはいけない。
今、ここであったこと。
あいつは秘密にしておいてやると言った。
こんなことが部下にばれたら・・・。
隠さねえと・・。
この汚れた体を。
あいつは、
「よく仕込まれた体だ」
と言った。
ギンとヤってたって思ったみてえだったけど。
・・・ゾロ。
オレ、もうお前には会えねえよ。
こんな体、
お前が見たらどう思う?
・・・ゾロ。
会いてえよ。
お前がギンを殺っちまったと知っていても。
クルシイ、ゾロ。
クルシイ。