ura-top  地下食料庫  November  Rain
November
Rain
 act 10  afraid

 
 
 
 
 
 
 
 

ゾロとギンのバトルの後、
ウエストブルーとイーストブルーの緊張関係は悪化しつつあった。

至るところで意味のない争いが続いていた。

あれから、
サンジとは連絡がとれなくなった。
ギンの死体のそばにサンジはずっとついていたという。

ゾロは振っていた剣を置くと、
ごろりと横になった。
いつもはすぐに訪れる眠りがなかなかやってこない。

「ゾロが殺ったギンのとこの幹部は腰抜けらしいぜ」
「サンジっていう、おキレイな顔をしたベッピンだろ」
「どうやって幹部になったことやら」
勝ち誇ったように下世話な話題が耳に入る。

サンジはギンと寝ていた?
サンジはギンを愛していた?

何もできない焦燥感。
誰を斬っても斬れない。
立ちふさがる限界。
届かねえ。
届かねえんだ、サンジには。

「サンジさんを不幸にするな」
死際のギンの言葉。
わかってる。
あいつはオレといても幸せになんかなれやしねえ。

だけど出会ってしまった。
オレにはあいつしかねえんだ。
敵とか味方とか、
そんなことはどうでもいいのに。

どうしてなんだ。
クソ。
あいつを抱きてえな。
他の相手とはヤる気がしねえ。

サンジ、てめえ今なにしてやがる?
 
 
 
 
 
 
 
 

サンジはうつろな目をしてぼんやりと座っていた。
乱れた服をのろのろと直す。
失ってはじめてギンの価値を知った。
ギンがどういうことをしていたのかも、知った。

さっきまでサンジの部屋にいた男。
幹部の中の一人だ。
サンジにとってただそれだけの存在だったはずだ。
だが、そいつは簡単にサンジを組み敷いて言った。
「もうギンはいないんだ。
お前は足技は確かにすげえが接近戦じゃ話にならねえ。
みんな狙ってるぜ、お前を。
最近、すげえエロくなったし」
暴れる体を押さえ付けられ、
簡単にヤられた。
簡単に・・・。
オレはあいつにとっては簡単にヤれる程度の存在だった。
身をもって思い知らされる事実。

悲鳴とともに喉まででかかった言葉。
・・・ゾロ。
でも、その言葉は絶対に言ってはいけない。
言えば身の破滅だ。

誰にも知られてはいけない。
今、ここであったこと。
あいつは秘密にしておいてやると言った。
こんなことが部下にばれたら・・・。
隠さねえと・・。
この汚れた体を。

あいつは、
「よく仕込まれた体だ」
と言った。
ギンとヤってたって思ったみてえだったけど。

・・・ゾロ。
オレ、もうお前には会えねえよ。
こんな体、
お前が見たらどう思う?

・・・ゾロ。
会いてえよ。
お前がギンを殺っちまったと知っていても。

クルシイ、ゾロ。
クルシイ。
 
 
 
 
 
 

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