Rain |
act 15 promise |
ゾロは閉じられていくサンジの瞳を見た。
「よくもサンジを!!!!」
ドスッ!!
誰かに背中から斬られた。
幾度も斬られた。
痺れるような痛みを感じた。
けれど刀をとって戦う気がしなかった。
血がどくどくと流れていた。
オレが・・・。
オレが、
手にかけた。
たった一人しかいねえサンジを。
オレにとってたった一人の相手を。
オレが・・・。
つまらねえ嫉妬で・・・。
サンジがバカな奴だってのは知ってたはずなのに。
いろんな顔を持ってるってことも。
激しく降りはじめた雨も、
ゾロを狙う刀も、
イーストブルーとウエストブルーの戦いも、
全てが視界から消えていた。
サンジしか見えない。
お前はオレの運命の相手。
分かってたそんなこと。
出会った時から特別だった。
お前の前では全てのものが無意味に見えた。
オレにとってお前以上のものはなかった。
世界一の剣豪という夢を捨ててもいいくらいのお前。
お前もそれを知っていた。
だから、
オレに斬られた。
オレが全てを捨てる前に、
先に自分を捨てた。
勝手なことするんじゃねえ。
バカだな、
てめえはよ。
オレは・・・。
もっとバカだ。
お前を失って剣豪になったって、
意味ねえんだよ。
お前を斬ったこの手で勝ったって、
駄目なんだよ。
お前を斬った瞬間にオレは死んだんだ。
お前がいないのに生きてたって意味ねえんだよ。
サンジ・・・。
すまねえな。
「オイ・・・サンジをヤってたのはどいつだ」
それまで立ち尽くしていたゾロが急に振り返った。
戦いを始めていたイーストブルーとウエストブルーのメンバーはその目を見て凍り付いた。
地獄からきたような目。
「オレだ・・・」
言い終わらないうちに、
ゾロは刀を拾い、
その男を瞬殺した。
「邪魔な奴は殺す。
オレはこいつとここにいる。行け!!!」
サンジに近寄ろうとして何人もがゾロに斬られた。
手負いの獅子。
叶わぬと知ったものは恐れをなして逃げていった。
ゾロはおびただしい血が流れるのを見た。
もう誰の血かも分からない。
自分もかなり血が流れている。
のろのろと立ち上がると、
サンジの側に膝をついた。
雨が激しく降り続いている。
もう全てがどうでもよかった。
サンジ。
オレはお前の側を離れねえぞ。
お前はオレから離れるために、
自分の命まで捨てた。
側にいる。
絶対だ。
約束する。
いつかお前が言っていた。
お前、
本当はコックになりたかったんだってな。
そしたらオレはお前のメシ食うわ。
毎日食って、
絶対にお前を離さねえ。
だからオレは離れねえ。
ずっと、
ここにいる。
お前がここにいるから。
命までオレにくれたお前。
だからオレの命もやる。
サンジ、
お前はオレの全てだから。
冷たい雨。
もうそんなものどうでもいい。
雨が降ろうが、
止もうが。
どうだっていいんだ、オレには。
晴れの日でも、
雨の日でも、
雪の日でも、
お前さえいれば。
この次も、
オレはお前とずっといっしょにいる。
大剣豪もなるけどな。
メシも食って、
ケンカもするかもしれねえ。
でも、
離さねえ。
ヤクソクダ。
サンジ、
ヤクソクスル。
ズット、
ズット、
イッショニ・・・。