ura-top  地下食料庫  November  Rain
November
Rain
 act 15 promise

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ゾロは閉じられていくサンジの瞳を見た。

「よくもサンジを!!!!」
ドスッ!!
誰かに背中から斬られた。
幾度も斬られた。
痺れるような痛みを感じた。

けれど刀をとって戦う気がしなかった。
血がどくどくと流れていた。

オレが・・・。
オレが、
手にかけた。

たった一人しかいねえサンジを。
オレにとってたった一人の相手を。

オレが・・・。
つまらねえ嫉妬で・・・。
サンジがバカな奴だってのは知ってたはずなのに。
いろんな顔を持ってるってことも。

激しく降りはじめた雨も、
ゾロを狙う刀も、
イーストブルーとウエストブルーの戦いも、
全てが視界から消えていた。

サンジしか見えない。

お前はオレの運命の相手。
分かってたそんなこと。
出会った時から特別だった。
お前の前では全てのものが無意味に見えた。
オレにとってお前以上のものはなかった。
世界一の剣豪という夢を捨ててもいいくらいのお前。
お前もそれを知っていた。
だから、
オレに斬られた。
オレが全てを捨てる前に、
先に自分を捨てた。

勝手なことするんじゃねえ。

バカだな、
てめえはよ。
オレは・・・。
もっとバカだ。

お前を失って剣豪になったって、
意味ねえんだよ。
お前を斬ったこの手で勝ったって、
駄目なんだよ。
お前を斬った瞬間にオレは死んだんだ。
お前がいないのに生きてたって意味ねえんだよ。

サンジ・・・。
すまねえな。
 
 
 
 
 
 

「オイ・・・サンジをヤってたのはどいつだ」
それまで立ち尽くしていたゾロが急に振り返った。
戦いを始めていたイーストブルーとウエストブルーのメンバーはその目を見て凍り付いた。
地獄からきたような目。

「オレだ・・・」
言い終わらないうちに、
ゾロは刀を拾い、
その男を瞬殺した。

「邪魔な奴は殺す。
オレはこいつとここにいる。行け!!!」
サンジに近寄ろうとして何人もがゾロに斬られた。
手負いの獅子。
叶わぬと知ったものは恐れをなして逃げていった。
 
 
 
 

ゾロはおびただしい血が流れるのを見た。
もう誰の血かも分からない。
自分もかなり血が流れている。
のろのろと立ち上がると、
サンジの側に膝をついた。

雨が激しく降り続いている。
もう全てがどうでもよかった。

サンジ。
オレはお前の側を離れねえぞ。

お前はオレから離れるために、
自分の命まで捨てた。

側にいる。
絶対だ。
約束する。

いつかお前が言っていた。
お前、
本当はコックになりたかったんだってな。
そしたらオレはお前のメシ食うわ。
毎日食って、
絶対にお前を離さねえ。

だからオレは離れねえ。
ずっと、
ここにいる。
お前がここにいるから。
命までオレにくれたお前。

だからオレの命もやる。

サンジ、
お前はオレの全てだから。

冷たい雨。
もうそんなものどうでもいい。
雨が降ろうが、
止もうが。

どうだっていいんだ、オレには。
晴れの日でも、
雨の日でも、
雪の日でも、
お前さえいれば。

この次も、
オレはお前とずっといっしょにいる。
大剣豪もなるけどな。
メシも食って、
ケンカもするかもしれねえ。

でも、
離さねえ。

ヤクソクダ。
サンジ、
ヤクソクスル。

ズット、
ズット、
イッショニ・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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