ura-top  地下食料庫  November  Rain
November
Rain
 act 3
mission

 
 
 
 
 

・・・・なんだ、今のは。
爆風に吹き飛ばされた男はまず自分の身に怪我がないことを確認した。
天井も壁も傾いている。
ここはオールブルーの地下の特別室だ。
地上への出口は塞がれている。
どうも閉じ込められたようだ。
ちっ、しようがねえな。

手元に転がっているランプを拾うと、
幸い火がついたままだ。
こういう場合、
一番やべえのは火事だからな。
慎重に明かりをかかげ、
他の部屋も見て回る。
いくつかある部屋はどこもかなり壁も天井もぼろぼろになっている。
今にも崩れ落ちそうだな。
回っている途中で、
部屋の隅に誰かが倒れているのを見つけた。
そばによって明かりを近づける。

金髪の男が倒れている。
明かりに髪がきらきらと光る。
・・・見ねえ顔だな。
男娼か、誰かのツレか?
印象的な巻眉。
閉じられた瞳のままでも、
極上の顔立ちをしているのは分かる。

触れると温かい。
「オイ、生きてるか?」
ほほを数度軽くたたくと、
金髪男は目を開けた。

目の前の顔をジッと見る。
・・・誰だ、コイツ。

「なあ、お前の髪の毛ってミドリ?」
いきなり聞かれて男は唖然とした。
「あァ?」
「まりもヘッド・・・」
指差して言う相手に完全にペースを崩されている。

「アホか、てめえ!!!!!
オレにはゾロって名があるんだ!!!
分かったかこの素敵まゆげ!!!」

「オレはサンジだ!!!!」
明らかにカチンときた表情で言い返すサンジ。

なんだ、こいつはよ。
ゾロは努めて冷静さを取り戻す。

「んで・・・ココ、どこだ?」
ぼろぼろに壊れて崩れ落ちそうな室内。
サンジは室内をきょろきょろ見回した。
「オールブルーの地下だろ」
ゾロの言葉に爆発音のことを思いだす。
「あー、やっぱり?」
「閉じ込められてんだよ、オレら」
「何いいいいい!!!何故それを早く言わねえ!!」

結局ゾロはサンジの気が済むまでもう一度部屋を回ることになった。

「出れねえじゃねえか!!!」
「オレが知るかよ!!」
言い争いにも疲れた二人は一番安全そうな所に腰をおろす。

外の音は全く聞こえない。
閉じ込められた。
こんなちっぽけな部屋に。

しょうがねえ。
寝るとするか。
ゾロは静かに目を閉じた。

部屋にいるもう一人の男、サンジには、
何故か全く警戒心が起きなかった。
敵には見えねえ。
よく分からねえヤツだ。

男娼にしてはデレデレしてねえし、
戦闘員にも見えねえし。
オールブルーの店員でもねえ。
コイツのツラならすぐ誰かが手を出しそうだ。
金髪はステイタスが高えからな。
どうも調子が狂う。
刀こそ持ってねえが、
オレはウエストブルーの幹部だ。
たいていの奴は初対面でビビる。
なのにコイツは違う。
平気でオレの腹巻きについて聞いてくるし。
「腹が弱ええのか?」って・・・。
普通聞くか?
「チンピラシャツ似合ってんな」って。
普通言うか?
まあいい。
寝よう。
さっさと・・・。
 
 

サンジはすぐ眠り始めたゾロをじっと見た。
もう寝てやがる。
なんて緊張感のねえ奴。
にらむとすげえツラになるから結構強ええのかもしんねえけど。
「男の心意気シャツだ」って言ったけど、
どうみてもヘンな柄のチンピラシャツじゃんか。
あーーー、サングラスなくしちまった。
メガネもねえしな・・・。
素でいたら、
クズどもに目つけられやすいからな、オレ。
いちいちケリいれるのも、うざいし。
コレ、これ以上崩れやしねえよな。
コイツ・・・ゾロだったっけ。
よく眠れるもんだ。

クソ・・・。
眠れねえよ、
とても。

皆は無事かな。
オレだってイーストブルーの幹部だ。
下手な死に様は出来ねえさ。
このまま生き埋めなんてのもパッとしねえよな。
・・・寒いよな。
オレ寒いの弱ええんだよな。
アイツ、あったかそうだな。
・・・寒い。
 
 
 
 
 
 
 

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