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アフロマン

 10

 






 
 それから、一ヶ月ほどたった。

 彼らの航海に休息などは存在しない。
次々と新しい冒険がやってくるけれど、それらをすべて乗り越えてゴーイングメリー号は順調に進み続けていた。

 デービーバックファイトを無事に勝ち抜き、
クルーたちは誰一人欠けることなく新しい島を目ざしていた。

 ナミはサンジのいれたてのオレンジペコを飲みながら、ゆったりと航海日誌を書いていた。
 まず、ドーナツレースの記録を書いた。
 それからグロッキーリングの記録。

 堂々と痴話喧嘩してから、息はぴったりに戦ってたわね。
こっちが見てて恥ずかしかったわよ。
 生き恥をさらすなら死ぬほうがいいと断言していたゾロと、同意していたサンジ君。
 あいつら何だかんだいって似た者どうしなのよね。

 グロッキーリングの記録が終わると、ナミはコンバットの記録を始めた。
 ルフィはアフロで戦った。
そういや、サンジ君もアフロはすごいんだとかなんとか言ってたわよね。
ウソップは大のアフロマンファンみたいだった。

 バカバカしい、何が正義のヒーローアフロマンよ。
私にはそんなくだらないもの好きになってるヒマなんてなかった。
あんなもの、子どもだましじゃないの。


 ナミが書いている途中、いつもの電波放送が始まった。
そのうちに、いつもの悩み相談の時間がやってきた。

 そういや、サンジ君の悩みってそろそろ言ってくれていいんじゃないの? 
ナミはわざとキッチンに聞こえるように音量を上げた。

「今日の悩みは、匿名希望のGM号在住の19歳さんからです」
ナミは猛烈にわくわくした。
 来た、来た、来た。

 サンジ君の悩みが取り上げられたわ。
応募数の少ない時期と締め切りを計算して出したから、絶対言ってくれるとは思ってたけど。

「恋人が実はアフロマンだったのです。
どうしたらいいでしょうか?  
え・・・これ本物のアフロマンですか? 
だったら大スクープでは・・・」

何ですってーーーーー!!!!!!
  あまりのことに、ナミは思わず、飲みかけの紅茶をこぼしてしまった。
 う、うそでしょ。

「そりゃあ、もう自慢するしかないですよ!!  
今、この放送を聞いた瞬間にも
全世界のアフロマンファンの方たちは本物に会うために立ち上がったと思います」

どきどきしながらも放送を聞いていたサンジはいっこうに答えを言ってくれないので首をかしげた。

「アフロマン、それは正義の象徴です!!」
電波放送はサンジの悩みを無視してアフロ伝説を語り始めた。

 ・・・なんだよ、ちっとも言ってくれないじゃねえかよ。
がっかりしながら料理の下ごしらえにかかったサンジのもとに鬼のような形相をしたナミがあらわれた。

「サンジ君、どういうことなの!!!
  この船にアフロマンなんて・・・」
尋ねながらナミはおそるべき可能性にたどりついていた。

 まさか、ゾロはアフロマンなの? 
そりゃ悪魔の実も食べてないのに、妙に強いし無駄に丈夫そうだわ。
 サンジ君はいったいどうしてゾロをアフロマンだなんて思ったの? 
ただの冗談にしては度が過ぎている。
 アフロマンのいる船、それはターゲットにされるのよ。

「サンジ君、あなたのせいでこのゴーイングメリー号には権力と
 支配力を求める悪の組織がやってくるのよ!!」
自分がなかば強引に手紙を送らせたことなど棚に上げたナミは居丈高に言い放った。

「それを欲しくてたまらない人はなんだっていいの。
噂だけでやってくるものなのよ!!
  ある種のものたちにとってアフロマンは救世主なのよ。
神に等しい存在なのよ!!
  ある貧しい病に侵された女の子は死ぬまえにアフロマンの影を見て、安らかに天国に召されたと言うわ。
アフロエキスはブラックマーケットで一滴百万ベリーをくだらない・・・」

急にナミの目がきらきらと輝き始めた。
 アフロマンは伝説のヒーローにして生きた金のなる木なのだ。

「ア、アフロエキスって・・・?」
サンジはおそるおそる聞いた。

「サンジ君、あなたなんにも知らないのね。
コンサートで客が歌手の汗を拭いたタオルや汗くさいシャツを欲しがるわね。
 あれと同じよ。
アフロマンが触れたものならあらゆるものにプレミアがつくわ。
アフロマンは隙をみせないからアフロエキスを手に入れるのは至難の技なの。
でも、『恋人』となれば別よね? 
ニセモノでも間違いなく売れるわ」

ナミの目がいつの間にかベリーになっていた。
サンジは滝のように汗を流した。

「ナ、ナミさん、あれはちょっとした手違いというか・・・
オレはあの腐れまりものことなんかちっとも困ってなど・・・」
今となっては言えば言うほどボロが出ることにも気づかないサンジは必死で弁解を始めた。

「ああ、はいはい、分かったから。
サンジ君、私はちょっと調べものがあるから、しばらく一人になりたいんだけど」

「ああっ、冷たいナミさんも素敵だーーー!!!」
ナミはサンジをかわいそうなものを見る目でながめたが、
よく見るとアフロエキスの効果があらわれていることに気づいた。

 そういえばサンジ君、この頃ぐんと色っぽくなったわよね。
お肌もすべすべだし。これってアフロエキスのせいかしら。

 サンジ君は『純正』を『直接』摂取しているはずよね。
確か、アフロマンの恋人はいつもナイスバディのかわいい子とかお色気むんむんのお姉さんだったわ。
どのシリーズでも、頭はちょっと弱めの子が多かったように思う。
アフロマンが知性もずばぬけているので、優秀なパートナーは必要ないのよ。
子ども向け設定では癒し系で、大人向け設定はセクシー系の女が恋人だったわ。

 知性とか、正義の味方だとか、あまりにもゾロにあてはまらないから想像もしなかった私も迂闊だったわ。
常識ばなれした正確と体力は確かに、ただ者ではないわ。

 ナミが去り、サンジはがっくりと肩を落とした。

電波放送はなぜか特番に変わり、奇蹟のヒーローアフロマンについての緊急特集が組まれていた。
 うらぶれながら料理をしていると、
息をはずませたウソップがキッチンに飛び込んで来た。

「サンジ、今やってる電波放送を聞いてくれ!!!
  アフロマンの恋人と名乗る人物があらわれたそうだぞ!!  
ついに世界はアフロマンの手がかりをつかんだのだ!!  
なんでもその人物は航海中らしい。
全世界はその話題で騒然としているそうだ!!」

さっきとは明らかに違う放送局から興奮した声が聞こえてくる。
「われわれはアフロマンの手がかりをつかんだのです。
その手紙をいたずらというものもいます。
でも、みなさん、考えてみてください。
もし、それが真実だったら? 
信じるものにしか真実は見つけることはできません。
私は信じています。
愛と正義の味方、アフロマンはいつの世にも存在しているのです。
 ああ、なんという奇蹟でしょう!!!」



サンジはぽかんと口を開き、
阿呆のように固まっていた。
 
ななな、何で? 
何で、こんなことに?





11
ア フロマン
NOVEL

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