R20
悪の華
XS

第1章  遠い昨日の記憶  

禁じられた遊び(XS)
Xanxus16-Squalo14
R18(XS) シャマスク?
2



 
シャマルは運びこまれてきた患者を見て、顔をしかめた。

シャマルはボンゴレの「女部門」の医者として雇われて三年目だ。
もともと女部門などというものはなかったが、
先輩の研究熱心な医者が「男部門」だということに気づいたため、
分けてもらった。
お互いに気持ちよく患者を見られる分業制である。


二週間前にも見た、その「専門外」の患者は、ボンゴレの屋敷の近くで倒れていたのだと言う。
「シャマル先生、どうしましょうか? アスピデ先生に回しましょうか?」
美人でぴちぴちの服を着たナースが面倒くさそうに言った。
蛇という通り名のアスピデは女たちにはすこぶる評判が悪い。
遺伝子とか交配の研究ばかりし、男の患者ばかり見たがる危ない医者として知れ渡っている。

「かなり発熱してるな。傷口も開きかけている。勝手に退院しといて全く・・・。
ああ、アスピデ先生には回さなくていい。こいつはオレの患者だからな。しょうがないから、オレが看る」
シャマルは、ひらひらと手を振った。

「それがいいと思います。スペルビ君は寝てる時だけは静かだから、いたずらされたら困ります」
「それに、この子、アスピデ先生の大好きだったテュール様の仇でしょう」
ナース達がスクアーロをかばった。
スクアーロは、ここには滅多にこない男の患者である。
起きている時は、想像を絶するくらいうるさくてがさつで目つきが悪いのだが、
黙っていたり眠っていると、とてもきれいな少年なのでナースたちは代わる代わる見にきたくらいだ。

シャマルは手の手当だけをしていたが、解熱剤の座薬を使おうと思って、愕然となった。
おいおい。
何だこりゃあ。
誰にやられたんだ。
よく見ると、腹部には殴られた跡も残っていた。
女性限定だが、性犯罪の処理も慣れたものなので、顔をしかめつつ患部をきれいにして薬も塗布した。
ついいつもの習慣で、内部の遺留品を検査用のパックに移してから、眠るスクアーロを眺めた。
身体の不調は、性行為の強要のせいだな。
しかしなあ。剣帝を倒したこいつにこんなことをできる相手といえば・・・。
やっぱり、あいつか。ザンザスか?

九代目は喜ばねえだろうなあ。
どうしたもんかね。

スクアーロはよく眠っていたが、数時間すると目覚めて、
なぜかボンゴレの医務センターに戻っていることに気づいた。
「ゔぉおおおい、どういうことだぁ!!」
大声でわめくスクアーロに、シャマルは顔をしかめた。
「・・・あのなあ・・。治療の礼ぐらい言ったらどうだ。
お前さん、道ばたでぶっ倒れてたんだぞ。
それも、強姦されちゃったかなあって雰囲気で」
スクアーロは急に黙りこんだ。
「・・・見たのかあ・・・」
「いや、オレはお前をいじめてるわけじゃないよ。
君が道ばたに落ちてたら、拾っていろいろする人がいるってだけで。
って、オレの専門は女だから、しないけど」
シャマルはあわてて弁解した。
しおらしいスクアーロがちょっとかわいく見えてしまったのだ。
「これ、検査しようと思うんだけどねえ」
シャマルは小さな容器をふった。
「何だ、それ?」
「君のかわいいお尻に入った男の精液」
スクアーロは顔色を変えて立ち上がった。
ふらついているのにもかかわらず、その容器を必死てうばおうとする。
「正直に言えば考えてやるが、同意とは思えないんだけど」
シャマルの言葉に、スクアーロはうなだれた。
口をきゅっと結んで、絶対に言うまいとしている。
こうしおらしいと、余計に意地悪したくなるんだがなあ。

シャマルはぼりぼりと頭を掻いた。
「まあ、言いたくないなら、捨ててやってもいいけど。
相手がザンザスってのは分かってるけどなあ。
アスピデ先生がとてつもなく欲しがってるデータだしなあ」
何気ないふりをしてザンザスの名を出しても、スクアーロは否定しない。
やっぱりザンザスか。

「今後、絶対こういうことで、医療センターに来たらいけない。
男を見るのが好きなアスピデ先生は、こういうデータ収集と分析が趣味なんだ。
御曹司のデータがとれると知ったら狂喜するはずだ」
スクアーロがはっきりと不安そうな顔になり、
シャマルはいじめているのがかわいそうになってきた。

「うーん。しようがねえなあ。薬やるから。しばらくこれを患部に塗る事。
あと、気持ちよくなる薬な。くそ、気持ちよくなるやり方も教えといてやる」
なんで、女専門のオレが男相手にこんなことを。
とてもじゃねえが、ザンザスには意見できないから、こいつに言っといてやるしかない。
シャマルはいくつか注意事項を言うと、ぼんやりと座っているスクアーロをちらりと見た。
いつもの傲慢さがまったく見られない。
・・・やっぱり、この感じじゃ、限りなく強姦に近いと思うけどなあ。
こいつを見てると、ヤりたくなる気持ちもほんの少しは分かるけどな。
・・・っ、おいおい、オレは男になんぞ惑わされないぞ。

シャマルは固く心に誓った。





  
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