R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

選ばれし者




8



沢田綱吉との戦いで、ザンザスはボンゴレ・リングを手に入れた。
リングをすると、とめどもない力が溢れ、
ついに望みは叶ったかに思えた。
これでボンゴレの十代目になった!!!
歓喜に満ちあふれたその瞬間、
胸の奥に痛みが走り、
身体中から血が噴き出した。
「がはぁ!!!」
ザンザスは血を吐いて倒れた。
リングがザンザスの血を拒んだのだ。
分かっていたことだった。
ザンザスと老いぼれは血など繋がってはいないのだ。
同情などいらねえ。
無償の愛などいらねえ。
クソの役にも立たねえ。
オレの欲しいのはボスの座だけだ!!!!
怒りと絶望の中、
ザンザスはスクアーロの声を聞いた。
「おまえの裏切られた悔しさと恨みが・・・オレには分かる・・・」
「生きてやがったのか・・・カスザメ・・・」
その声を聞いても怒りは涌かなかった。
そうだ、あのドカスが簡単にくたばるわけはねえ。
だが、こいつにオレの何が分かるというのだ。
知ったような口を聞くんじゃねえ。
スクアーロはゆりかご事件の後で知ったことを言った。
カスザメは全てを知っていやがった。
それなのに、何食わぬ顔をしていた。
カスどもは役に立たず、
戦いは終わった。
どいつもこいつも、全員、呪い殺してやる!!!!
血にも掟にも受け入れられないザンザスは戦いに敗れた。
スクアーロは目の前で、連れていかれるザンザスを見た。
ザンザスの血が受け入れられないと知っていても、きっとボスの座を狙い続ける。
より怒りを燃やし、掟ごとぶっ壊せばいいのだ。
やつらはいずれ後悔するだろう。
この戦いで死んでいた方がよかったと。
敗者は常に屈辱を強いられるものなのだ。
死んだ方がマシだと思えるほどの屈辱を受ける。
ボスは何度もそれを味わった。
オレも何度もそれを味わった。
でもボスが生き続ける限り、オレは絶対にあきらめねえ。
ボンゴレ・リングを巡っての戦いは、
九代目の胸に秘められ、
公にされることはなかった。
ヴァリアーは九代目直属暗殺部隊として位置づけられ、
九代目の監視の元で活動を続けることになった。
なんという寛大な処置なのか。
拘束され重症を負わされ、後継者である十代目まで消されるところだったのに。
厳罰に処すしかない。
九代目の守護者たちは提言したが、九代目はおだやかな笑みを浮かべて首を振るだけだった。
ヴァリアーの幹部たちは、
ばらばらに隔離され、
常に監視つきの状態で過ごさなければいけないことになった。
しばらくは監視つきでいてもらうが、
ヴァリアーを処罰する予定はない。
九代目の寛大すぎる裁きにより、ボンゴレは内部に爆弾を抱えたままとなった。
内部で爆発したら被害は大きいが、
外部を攻撃させたらとてつもない力になる。
それは誰もが知っていた。
ザンザスが九代目を利用したものの、
直接手を下して殺害しようとしなかったことがせめてもの救いだった。
ザンザスの力はボンゴレに必要だし、
ヴァリアーも必要だった。
ボンゴレ・リングがザンザスを受け入れない以上、
すべては終わった。
ザンザスがボンゴレのボスになることはない。
リングは沢田綱吉を選んだ。
それでもザンザスはボンゴレから離れることはできなかった。








TOP