R20
                                                                        
悪の華
                                                                        
XS
                                                                        
                                                                        
マフィアの血
                                             
Xanxus24-Squalo22
                                                                        
X×S ほか S受
                                                                        
                         名声
                            
                
                                                                      
                                                                       
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    スクアーロは剣帝を名乗るための百番勝負を終え、二代目剣帝と呼ばれるようになった。
  スクアーロが送りつけた映像を見た山本武は、
  野球を捨て、マフィアの側にやってきた。
  野球選手として活躍できたが、
  それよりもぎりぎりの勝負の世界に惹かれた。
  画面のスクアーロは強く、美しく、見事だった。
  画面越しに語りかけられるたびに、
  肉が沸き、血がたぎった。
  くりかえし見ているうちに、頭の中をスクアーロがどんどん浸食していった。
  寝ても覚めても、スクアーロの姿が離れなくなり、
  戦う姿が残像のように残った。
  スクアーロの姿がどんな時でも追いかけてきた。
  野球をしていても、逃れられない。
  そばに行くしかなかった。
  
  「ゔぉおおおい、山本武、遅いぞぉ!!」
  ボンゴレ本部に行くと、スクアーロはいつものように剣をぶんぶん振り回して待っていた。
  二代目剣帝となった今でも、有名な剣士がいると勝負に言っているらしいが、
  どいつもこいつも相手にならないらしい。
  退屈しているようで、
  山本と会う時は、必ず手合わせをしたがる。
  かわいいのな。
  山本は心の中で思った。
  言うと、半殺しにされるから、言わない。
  スクアーロはいつも本気なので、戦いの時に手抜きなどすると自分の身が危ないからできないけれど、
  本当は、傷つけないように戦いたい。
  一度、本気になりすぎて、刀傷をつけてしまい、山本は猛烈に反省した。
  スクアーロは夢中になると、どんどんのめりこむので、本気でやると殺し合いまでいってしまうだろう。
  実力が拮抗しているから、ただの手合わせでもそうなりかねない。
  初めて出会った時は、敵だったけれど、それでも猛烈に惹かれた。
  まっすぐで潔かった。
  情けをかけられる生より、誇り高い死を選んだ。
       あの瞬間に、山本の心は捕らわれたのだ。
  スクアーロに対する感情が、ただの尊敬だけではないと気づいたのは、かなり以前のことだ。
  面倒見がよく、誰にでも人当たりのよい山本の周りにはいつも人が集まった。
  「山本君の好きなタイプは?」
  聞かれるたびに思い浮かべるのは、
  8つ年上の銀色の剣士の姿だった。
  ボンゴレリングをめぐって戦った時は、強くてかっこいいお兄さんという感じのスクアーロだったが、
  山本が剣を選んでイタリアに来た時には、きれいなお兄さんという感じになっていた。
  前髪が伸び、少し落ち着いた感じがする。
  背は山本の方が追い越していたので、
  スクアーロは猛烈に怒った。
  「かわいいのな」
  山本はその時も思った。
  言ってしまって、ボコボコに殴られた。
  でも、かわいいものは、かわいいのだから、しょうがない。
  スクアーロはザンザスのものらしい。
  でも、自由にさせているらしいから、
  アタックしているとディーノさんが言っていた。
 ディーノさんといい仲だと噂になっている言うと、
 ディーノさんは曖昧な笑みを浮かべただけだった。
  ザンザスからスクアーロを奪えるとは思えない。
 ディーノさんからスクアーロを奪えるとも思わない。
 でも、気がつくと追いかけてしまう。
 あんたはオレの大切な人。
 けど、全然自分を大事にしていない。
 命を惜しいとも思っていない。
 自分の身体も大切にしていない。
 今はただの手合わせで我慢できる。
 戦うその時だけは、スクアーロはオレを見る。
 いつかオレはスクアーロを追いつめてしまうかもしれない。
 オレはあんたからザンザスを取り上げたい。
 あんたを大切にしないザンザスから引き離してしまいたい。
 
 スクアーロは山本と手合わせをした後、上機嫌に帰ろうとしたが、
 不意に背後から抱きしめられた。
 「ゔぉおい、何の真似だぁ」
 「あんたが好きなんだ」
 小さかった刀小僧はいつの間にかでかくなり、
 ちゃんとした男になっていた。
 「はぁ? 寝ぼけてんじゃねえぞぉ。十代目守護者の名が泣くぞぉ」
 「そんなもの、いらないのな!!」
 スクアーロはため息をついた。
 「で、どうしたいんだぁ? ヤりてえのかぁ?」
 「そりゃあ・・・でも・・・ザンザスは・・・?」
 山本は口ごもった。
 「それで気が済むんなら、構わねえぞぉ!! 誰とヤっても殴られるだけだぁ。いつも殴られてるから慣れてるしなぁ!!」
 スクアーロは何でもないことのように言った。
 「何だよ・・・それ・・・? どういう事?」
 もの凄く腹が立った。
 そんな風に言うスクアーロに。
 殴るというザンザスに。
  
 「ちょっと、武ちゃん、そこまでにした方がいいわよ」
 たまたま本部に来ていたルッスーリアは、
 見ていられなくなって止めに入った。
 ボスとスクの関係はただでさえ微妙なのに、
 そこに山本武が混ざったら、ろくなことにならないわ。
 スクアーロは山本武にもの凄く入れこんでいる。
 自分の身体にはなんの価値もないと思っているから、放っておくと、すぐに抱かせてやるに違いない。
 山本武が身体だけで満足するとは思えない。
 スクが好きでも、様子を伺いつつ待っている跳ね馬とはずいぶん違う。
 下手したらボスに勝負を挑みかねない。
 そうしてもらいたい気もするけれど、
 うまく行かなかった場合が恐ろしい。
 ボスもスクもきっと壊れてしまう。
                        
                                                                        
 
 
 
                                                                        
                                                                        
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