R20
悪の華
XS

遠い明日の誓い
Xanxus34-Squalo32
X×S ほか S受


干天



2





その日、スクアーロはパーティーの警護をしていた。
ザンザスが来なかったので、ボンゴレ要人の警護をすればいいことになっていた。
九代目が生きている間は、十代目を継いだ沢田綱吉を取り囲む者はわずかだったが、
九代目のいない今は、もの凄い人だかりとなっていた。
沢田綱吉は、どのマフィアにも気弱そうな笑顔を浮かべ、
獄寺隼人は声を張り上げ、
山本武は笑顔を浮かべて話を聞いていた。
ハイエナたちは、あのジジイから、沢田たちをターゲットにしだした。
御しやすく見える沢田綱吉だが、のらりくらりと対応し、意外にしぶといガキだ。
簡単にやつらの思い通りになるようでは困るが、その辺はしっかりしているようで、すぐに流されたりせず、
冷静な対応ができているようだった。
ルッスーリアも沢田の様子を見て納得したらしく、
純粋に警備をするだけで、口出しする様子もなかった。
九代目の守護者もいたが、
やはり遠巻きに見ているだけだった。
時代は変わったのだ。
老いたものは、もう未来を見守ることしかできない。

スクアーロはあたりに気を配りながら、
刺客は入り込んでいないことを確認した。
ヴァリアーの出番はなさそうだった。
とりあえず最後までいるだけでよさそうだった。
パーティー会場からすこし離れた洗面所に行き、
手を洗っていると、嫌な奴がやってきた。
「よう。調子はどうだ」
スクアーロは舌打ちした。
入り口は一つだけしかない。
そこに家光が立っている。
九代目が死んでから、会う機会もなかった。
家光は素早くスクアーロに近づき、壁に身体を叩き付けた。
「もう、用はねえだろうが!!」
「ザンザスは女とガキを殺したな。
奴は裏切り者は生かしておかねえよなあ」
スクアーロの悔しそうな顔を見ると、欲望が高まり、家光は個室にスクアーロを引きずりこんだ。
「あの方が亡くなっても、お前の罪は消えない」
家光は素早く前をくつろげ、スクアーロの下半身だけむき出させると、
昂りを押し込んだ。
「・・・ぅゔ・・・」
スクアーロは声をかみ殺した。
家光はかつて感じたことのないほどの、背徳的な快楽に酔いしれた。
九代目を失った悲しみは、
九代目が慈しまれた身体で取り戻せる。
素晴らしい。
実に素晴らしいことだ。
あの方の存在を感じる。
こいつを通して、あの方と繋がることができるのだ。
 
沢田綱吉は、押し寄せる人に疲れ果てて、
パーティー会場から少し離れた洗面所へ向かった。
そこは分かりにくい場所にあるし、
小さなところなので、すいているに違いない。
綱吉はそこに向かおうとして、
その辺から出て来たスクアーロを見つけた。
あ。スクアーロだ。来てたんだ。
スクアーロは目立たない黒のスーツを着ていた。
うつむいていて、いつもの元気がないようだった。
綱吉が見ていることにも気づかない。
うわー、どうしようかな。
話すこともないよ。
山本が気にしてますなんて言えないし。
つい、物陰に隠れてしまった。
隠れた時、やはり洗面所の方から家光が出てきた。
あ、父さんだ。そういえば、いた。
家光は、早足で追いかけ、スクアーロの腕をとり、その身体を少し引っ込んだ壁に押しつけた。
あごを掴み、舌を入れ、口の中を蹂躙した。
スクアーロの目は怒りに燃えていた。
「今度はじっくりやってやる」
家光はその目を見据えて、わざとゆっくり言った。
オレからは決して逃れられないことを自覚させねばならない。
スクアーロは家光を突き飛ばすと、走り出した。
罪はいつまでも追いかけてきた。
罰もいつまでもつきまとう。
もう何の罪なのかも分からない。
何の罰なのかも分からない。
それでも逃れることはできなかった。






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