R20
悪の華
XS

遠い明日の誓い
Xanxus34-Squalo32
X×S ほか S受


干天



1





ザンザスはずっと九代目を憎み続けてきた。
やつが死んだら、どんなにかせいせいするだろう。
憎しみが消え、怒りも修まるに違いない。
しかし、九代目が死んでも何も変わらなかった。
行き場のない怒りが消えるわけではない。
叶わなかった夢が手に入るわけでもない。
ただの老人の死でしかなかった。
ザンザスは憎しみの行き場を失った。
沢田綱吉は今でも気に入らない。
目の前にやつがいるとかっ消したくなるが、その程度のことだ。
九代目が消えても、ボンゴレの力が消えることはなかった。
沢田綱吉が権力を受け継いでも、ボンゴレは問題なく機能し続け、
ザンザスはヴァリアーのボスとして変わらぬ日々を送っていた。
誰もそれに何の疑問も持たなかった。
ザンザスは手をかざした。
手のひらからは憤怒の炎があふれてくる。
何故だ?
何故、こうなった?
8年間の空白のあと、
手に入らないものを追い求めて10年が過ぎた。
このままで終わらすつもりなどない。
だが、心のどこかに喪失感がある。
あんなジジイがいてもいなくても構わねえ。
怒りの業火は荒れ狂い続けている。
存在するもの全てを屈服させてやる。
逆らう奴は燃やしつくしてやる。
燃え盛る怒りですべてを支配してやる。

ザンザスはちらりと時計を見た。
今日はボンゴレで大規模なパーティーがあった。
ザンザスは出席を断り、
ヴァリアー幹部はみな警備に出ていた。
パーティーは終わり、
ベルとレヴィはヴァリアーに戻っていた。
ルッスーリアは洋服やメイク用品を買いに行ったらしい。
スクアーロは日付が変わろうとするのにまだ戻っていない。
ルッスーリアなら、動向に気づいたかもしれないが、ベルやレヴィは気づきもしないだろう。
明日は任務があるわけではないから、帰って来なくても問題はない。
多分ルッスーリアなら知っているのだろうが、聞くほどのことではない。
パーティーにはディーノや山本武もいたはずだ。
そいつらと一緒にいるのかもしれない。
それが、何だってんだ。
あのドカスがどこで何をしようがオレの知ったことか!!
どうでもいいことだ。
あんな奴がいなくてもどうってことはねえ。







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