12
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act12*死
ブランカは自分の首にゾロの指を感じた。
ゆっくりと力が込められている。
死ぬのか。
ぼんやりとそう感じた。
今までにもこういうことはあった。
でも、いつも生きてた。
生きてセックスしてた。
生きるってことがセックスだけなら、別にもう死んだっていいんだ。
オレはずっとボスに殺されると思ってた。
でも、ボスじゃなかった。
全てが終わる。
オレは空っぽだった。
最初から無いようなもんだった。
大したことじゃねえ。
死んだって。
死んだら。
オレは楽になる。
だってオレには欲しいものなんて何もないんだ。
薄れていく意識。
ゾロ。
何でオレを殺す?
オレが憎いのか?
オレはお前のことは知らねえ。
だけど、お前に殺されるのはそんなに嫌じゃねえよ。
何でか分からねえけど。
オレはもう生きていたくねえ。
これでいい。
視界に映るのはゾロの姿。
ゾロの姿。
頬を伝う涙。
何で・・・何で?
コイツ泣いてる?
ゾロが泣くはずない。
オレの事なんかで。
だって、コイツは・・・。
違和感。
苦しい息。
薄れていく感覚。
絶望の瞬間。
全ての感覚は失われ、全ての記憶が蘇る。
*
*
「ゾローーー!!」
激しい雨。
稲妻。
雷鳴。
オレはゾロが斬られたのを見た。
オレを、庇った。
ゾロが。
オレを庇って斬られた。
背中から。
ゾロが・・・
オレを・・・
オレのせいでゾロは死ぬ。
オレの存在がゾロを殺す。
アイシテル。
これは禁忌。
決して言ってはいけない言葉。
だからどれだけ身体を重ねても、決して口にはしなかった。
剣士にはそんなもの必要ねえから。
オレはゾロの夢の邪魔をする気なんかねえ。
汚れた感情でゾロを繋ぎとめてなんかおけねえ。
だから、身体だけ。
身体だけ、ゾロにもらった。
オレはそれしかもらえねえ。
オレはゾロをアイシテル。
そんなこと、最初から知っていた。
滑り堕ちかけたオレを掴んで懸命に引っ張るゾロ。
流れ落ちる血。
ゾロの目に浮かんだ表情。
コイツはオレに命を賭けている。
オレは涙が出た。
愛してもらえた。
ゾロの全てを捨てさす程に。
嬉しい。
でも、ツライ。
オレにはそんな値打ちはねえ。
夢の邪魔をする程の。
オレはまた他人の夢を奪っちまった。
こんなにツライことはねえ。
血みどろでオレの手を掴むゾロ。
てめえ、死んでもオレの手離さねえつもりか。
バカだな。
バカだ。
オレはゾロの手を離した。
オレが生きていなくても、ゾロが生きたらいい。
ゾロ、お前は生きろ。
アイシテル。
アイシテル。
*
*
ゾロ。
やっぱりお前だった。
最期にオレを殺してくれるのは、ゾロ。
もう一度てめえに会えた。
オレは幸せだ。
最期の瞬間に感じる生命の陶酔。
サンジは薄れゆく意識の中、微笑んだ。
*
*