calling  you

13
   ZORO*SANJI

act13*運命
 
 
 
 

ゾロは自分が泣いていることに気づいた。
みっともねえ。
けど、涙も出る。
オレの一番大切なものを壊す。
オレが一番求めていたものを壊す。
他人に壊される前に。
どうして、こんなことをするのか分からねえ。
こんなことがしたい訳じゃねえのに。

オレの何よりも大切なもの。
気づいた時が失う時だった。

サンジ。
お前を殺してオレは生きていけるのだろうか。
オレは狂っている。

お前がブランカのままでは許せない。
 

*
*
 

指に力を込める。
その時だ。
サンジは幸せそうな顔をした。

何故だ!!
殺されるというのに。
どうしてだ!!

もう少しで終わりだ。
そしたら楽になれる。
でも。
ゾロは指の力を抜いた。

暖かい身体。
まだ生きてる。
どう・・・すれば、いい?
ゾロはサンジを抱きしめた。
 
 

*
*
 
 

「・・・ゾロ」
サンジはゾロの名を呼んだ。
サンジを抱きしめて泣いてる剣士。
愛しい。
だってお前はオレの全て。
お前の為なら命も惜しくねえ。

ゾロは弾かれたように顔を上げた。
涙に濡れたサンジの瞳と目が合う。
「・・・殺さねえの?」
 
 
 
 

コレハダレダ?
これはあのブランカじゃねえ。
ゾロの目が驚きに見開かれる。
サンジ?

「サンジ?」
何回となく繰り返した名。
片時も忘れたことのない名。

「悪いかよ」
サンジはむっとしたように返事をした。
 
 
 
 

ゾロは動けなかった。
サンジだ。
ここに、いる。
見つけた。
サンジを見つけた。
夢に見た瞬間。
いつしかオレの夢になっていた時。

コレは本当なのか。
どうしても伝えれなかった想い。
サンジが消える前に、伝えなければ。
待って、待って。
探しつづけた相手。
たったひとりの。

「サンジ、アイシテル」
本当はこんな簡単な言葉で想いをあらわすことはできない。
この胸の中にびっしりつまったこの想いを。
埋めつくされた心を伝える言葉なんてねえ。
つまらねえ、言葉。
だけど、今のオレの武器はコレしかねえ。

サンジは笑った。
オレたちは良く似ている。
同じ言葉しか持ってねえとことか。
でも、きっと同じキモチだ。
目をみりゃ分かる。
「ゾロ、アイシテル」
他の言葉は言ったらいけねえような気がする。
想いが薄れてしまったらいけねえから。
この言葉の値打ちがなくなったらいけねえから。
でも、オレには分かる。
これは、どんな財宝よりどんな名誉より値打ちのあるもんだって。
 
 
 
 
 
 

コレは運命の相手。
代わりなんてねえ。

やっと見つけだした。
 
 
 

*
*

14
 

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