Delirious  Blizzard
 
 


▲▲
▲11▲
▲▲▲▲
 
 
 
 
 
 
 
 

嵐の音は続いている。
もう、駄目かもしれねえな。
ゾロはサンジを抱きしめて思った。

ヤりすぎたせいか、
サンジは時折目を覚ますが、
ほとんど眠りつづけている。
サンジの体温が低下してきているのが分かる。

チクショウ、
こんなところでくたばってたまるか。
ゾロはサンジの身体を抱きしめて、
やわらかくさすった。

「・・・なあ、オレ、役に立った?」
不意にサンジがぽつりと言った。

どうして、
そんな考え方をする?
なんで・・・、
なんで泣く?

「オイ、山を降りたら、
オレがそばにいてやるから、
泣くんじゃねえ!!」
 
 
 

サンジはぼんやりとゾロを見た。
誰が泣いてるって?
あ、オレか?
みっともねえなあ。
ゾロって・・・、
いい奴だなあ。
ひたすら真直ぐで、
真直ぐで・・・。
オレにはまぶしいような存在。
 
 
 
 

「・・・オイ・・・。
・・・オレはどうやら、てめえに惚れたみてえだ。
あー、・・・そんだけだ」
ゾロが急にヘンなことを言ったので、
サンジは笑った。

「惚れた」とか「好きだ」とか「愛してる」なんて言葉は腐るほど言われた。
信じて全部裏切られてきた。
みんな身体目当てだったからだ。

だけど、今のゾロのは何だ?
告白か?
報告か?
ひとりごと?

バカじゃねえの・・・。
バカじゃ・・・。
言葉なんて嘘ばっかりだ。
なのに、なんでか涙が出た。

嬉しかったから。
 
 
 
 

「へへ・・・オレたち、コイビトってやつかな」
だったらいいなと思う。
サンジはゾロに手を伸ばした。
手が届く。
暖かくて、
心臓の音がどくどくしてる。
・・・生きてる。
ゾロもオレも。

「だったら、オレには初めてのコイビトだ」
サンジは恥ずかしそうに言った。
サンジの言葉にゾロは胸が熱くなった。
愛だとか、
恋だとか、
興味はなかったが、
形こそないものの大切なものを手に入れた、
そういう気がする。
 
 
 
 

吹雪が止まなければ、
サンジは明日の朝は目を覚まさない。
いや、覚ませないだろう。
多分、本人が一番よく分かっているはずだ。
下がりつつある体温、
覚醒時間も短くなりつつある。
 
 
 

「な、もっかいしよ」
サンジの言葉にゾロはうなずいた。

サンジは微笑んだ。
「スキな人」とのセックス。
ゾロが好きだ。
凍えてしまう前に気づけてよかった。
 
 

これが最後の眠りになっても、
後悔なんてしねえ。

感謝します。
生きてて良かった。
 
 
 
 
 
 
 


next
▲▲▲
Delirious  Blizzard
▲▲▲▲▲▲▲▲