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11
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アルビダを初めて見てから数日が過ぎた。
サンジはもう数十回目になるためいきをついた。
こんなことがあっていいのか。
あのゾロにあんな美女が!!!!
見たこともないような美女が・・・。
部屋にこもって、
イケナイことしてた。
証拠はあがってるんだ。
ゾロの部屋の掃除をしているジョニーをおどすと、
真っ青になって吐いた。
イタシテいた証拠があると。
なんで、ゾロなんだ!!!!
帰る時、
飲み物を差し上げたら、
あの美しい手でとってくださり、
あの美しい口ん中に飲み物を・・・。
「おもしろいコね」
と言われた。
ありがたきお言葉・・・。
世の中間違ってる。
美女を手にするのはオレのはずだ・・・。
ジョニーは、
「アルビダ様が積極的で・・・」
といっていた。
今日、ホームパーティーをゾロが開く。
なんでもゾロが株主の会社の売り上げがトップになったらしい。
そりゃ、全部あの冷静そうなクロってやつの仕組んだことだろうが、
友好の証として、最後まで敵視していた会社の社長を招くことにしたらしい。
これは異例なことだ。
ナミさんは言っていた。
「俗物だから、その男はオールブルーのことを話題にする可能性がある」と。
でも、この家にそんなだいそれた宝石があるのかよ。
最近、オレは時々ゾロの部屋にも入る。
朝メシの時間まで寝ぐされてやがるからだ。
つねに開けっ放しで、
無防備な部屋ばかり。
金目のものなんぞ、
まったくなさそうだ。
もちろん、当主はあんなやつだから、
宝石の話なんて出るはずがねえ。
ミホークやクロの管轄の部屋には入れねえ。
怪しいとしたら、
そっちじゃねえのか・・・。
コンピュータとかそっちにあるらしいからな。
よく知らねえが電磁波を使った警備システムもあるらしい。
それってナミさんやウソップの管轄じゃねえの・・・。
特殊金庫とかあって、
きっとあいつらが管理してるにちげえねえ。
ヨサクとジョニーとチョッパーとは結構ツレになってきたが、
ミホークとクロに関しては難しい。
オレと話す気持ちすらねえみてえだ。
ナミさんにはなかなか良い情報を差し上げられねえし、
まったくやってられねえぜ。
どんよりしながらも、
サンジはてきぱきと料理の準備を続けた。
料理の量は11人分。
形式は立食パーティー。
ヨサクの情報によると、
ゾロとこの前のパーティーにいたエース、コーザ、ビビちゃん、たしぎちゃん、
アルビダおねえさま、ナミさん(たしぎちゃんやビビちゃんの親友になったらしい。さすがだ)。
それにゾロのライバル会社のやつとその連れ二組。
クロやミホークは何も言わねえ。
酒を多めに、とかそのくらいだ。
どんなヤツが来ても、
美女と可愛い子ちゃんぞろいだからいいよな・・・。
せっかくだから、
ヨサクたちのものも作っておこう。
前のコックのシャンクスってのは、
絶対にパーティー料理を作ったりしなかったそうだ。
だから、ここでパーティーするのは始めてだそうだ。
まあ、どうでもいいことだけどな。
準備ができると、
テーブルセッティングを始めた。
11人と言っても、
おそらくミホークやクロの分も必要だ。
酒もいろいろ準備しねえといけねえし。
まあオレはにぎやかなのが好きだから、
腕の見せ所ってわけだ。
しかし、一人かよ。
よく考えたら、
ウエイターもいねえし。
いくらオレでも全部は無理だ。
ゾロに運ばすか・・・。
サンジがゾロを呼びに広間の方へ行くと、
もうアルビダとエースとコーザが来ていた。
「おねえさま!!!!!」
急にサンジの態度が豹変し、
アルビダの前にひざまづいて喋り始めた。
「相変わらずお美しくていらっしゃいます。
今宵は貴女のためにスペシャルディナーを作りました。
愛をこめて・・・」
「オイ・・・」
サンジは声がかけられた方に振り向いた。
「というわけで、
行くぞ、ゾロ!!!」
ゾロを厨房の方へ引きずっていく。
「あ、ヤロウの皆さんもクソいらっしゃいませ!!!」
サンジは一応振り返ったが、
心のこもらない口調で言い捨てる。
「・・・なんなの、あれ・・・」
アルビダは唖然として、
ゾロが消えた戸口を見ていた。
「・・・な、面白えだろ、あのコック」
エースは笑いが止まらない。
前のシャンクスってコックも面白いやつだった。
メシの味は最悪だったが・・・。
クロが企画して開いたという今日のパーティー。
食い物がまずいはずがない。
コーザはゾロの様子を見に行き、
驚いた。
サンジの指示のもと、
ぶつぶついいながらも、
ゾロが料理の皿を運んでいた。
「だから、そこじゃねえって!!!!
何をどう考えたら、そんなに妙なとこに置けるんだ!!!!
オレは忙しいんだ!!!
手は2本しかねえから、
わざわざてめえにオレの美食の手伝いをさせてやってるんだろが!!!」
サンジの小言を聞きながら、
ゾロは次々に皿を運んだ。
確かにサンジは遊んでいるのではない。
それは分かるが、
もうちょっといいようがあるだろ。
「うるせえぞ!!!」
「喋るヒマあったら、とっとと運べ!!!」
ああ言えば、こう言う・・・。
「ずっと喋りつづけてるてめえはなんだ、コラ!!!」
「オレは喋りながらでも料理できんだよ。
てめえは脳より筋肉に栄養がいってるから、
動くときゃ、喋れねえだろが!!!」
クロは厨房の入り口まで来た。
また、ケンカしているのか、この二人は・・・。
お互いにののしりあいながら、
テーブルセッティングは仕上がりに近づいている。
思った通りだ。
客は11人としか知らせてなかったが、
料理や盛り付けも見事になされていた。
女性用の食べ物もうまく配置されている。
ゾロも、何だかんだいいながらも、
手伝っている。
前コックのシャンクスは恐るべき料理の腕をしていた。
味オンチのゾロだからこそ勤まったとしか思えない。
「コックはシャンクスでいい」
よそで食事した後ですら、
そう言っていたゾロ。
自分の雇い主ながら、
恐るべき味覚の持ち主だ。
急にシャンクスが辞めて、
急いで雇ったコック。
最初見た時は失敗かと思った。
容姿といい、態度といい、およそコックらしくなかったからだ。
金持ちが喜んでその身体を食べそうなタイプ。
腕は折り紙つき、ということだった。
今回は一番腕のよいコックという条件で秘密裏に探したのだ。
確かに一度試食をしたが、実にいい味だった。
味オンチのゾロだけに食わすのは惜しい料理の味。
今回、経済的な意図もあり、パーティーを提案した。
餌に食い付いた、バカなライバル会社の社長達。
いい気になるのは今だけだ。
このクロの仕事はロロノア家をあらゆる面で一番の富豪にすること。
当面の課題は、当主ゾロにもう少し、実業家としてのやる気を出させること。
それには最適の人選をしてあるのだ。
ミホークもこのパーティーには賛成した。
この家で起きることは、
私達が管理する。