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ゾロは目の前のライバル会社の社長をムカムカした顔で見ていた。
太ったおやじで、
好色そうな目で、
ナミやビビやアルビダやたしぎを見ている。
連れの女は香水くさくて、
ゾロやエースに興味まるだしで、
頭も悪そうだ。

「これで我々はお近づきになれましたな。
そう言えば、
貴男は幻の秘宝オールブルーを公開される予定はないのですか。
ぜひ一度だけでも拝見したいものですな」

ナミはビビと談笑しながらも、
社長の言葉を聞きのがさなかった。
ナイス俗物社長!!

「公開するつもりはない」
「でも、お持ちなのでしょう。
それとも噂だけかね」
「持ってても見せる気はない」

はっきりしたゾロの返事を聞き、
ナミは確信した。
ゾロは嘘をつく男ではない。
ゾロが持っているのだ。
オールブルーはどこにある?
だが用心しないと・・・。
ミホークとクロは恐ろしいわ。
全ての悪事を見抜かれているような視線。
彼等とも対峙しないと、
おそらく宝石は盗めない。

サンジ君が苦戦してるはずだわ。
手がかりがない。

ゾロは私を受入れる気がない。
ビビとたしぎとは勝手に仲良くしろって感じ。
私はゾロに接近できない。
接近してもこの男から何かを聞き出すのは至難の技だ。

ゾロの「オンナ」はあのアルビダ。
凄く綺麗だけれどトゲのある人だ。
男としか仲良くしないタイプの女だ。

ビビやたしぎと「友達」でいるのは心地よい。
だけど私のねらいはお宝。
初心忘れるべからず。
 
 
 
 

ゾロの機嫌が悪くなったのを見てとったエースが、
社長からゾロを引き離した。
コーザはその社長のつれていた女にひっかかっている。

もう一人のライバル会社の社長はまだ若い大男で、
連れは男だった。
年はゾロやエースとそう変わらないだろうという連れはゾロが気に入ったらしく、
話かけようとしてくる。
線の細い女性的な男だ。

「ゾロ君、仲良くしてくれたまえ」
ゾロは背中がムズムズした。
オレはてめえみたいのとは話したくねえって。
ホモか・・・。
あっちの社長は・・・。
こんなヤツのどこがいいんだ。
ツラだって、
たいしていいとは言えねえ。
あのクソコックの方がよっぽどキレイなツラしてやがるだろ。

・・・あれ、オレ何であいつの事なんて・・・。
暇になったら、サンジはこっちに来るって言ってたよな。
・・そういえば、
あの大男の社長がいねえ。

・・・まさか、な。
 
 
 
 
 
 

ゾロが厨房に向かうと、
予想通り、
大男の社長の向かいにサンジが座り、
何か喋っていた。
どうみても社長はシラフで、
サンジは酔っていた。
・・・オイオイ。

サンジは目の前につがれた酒を飲み干した。
「・・・だからあ、あのハラマッキーにはアルビダお姉様はもったいなさすぎるだろ!!
あんた、そう思うだろ!!!」

厨房にふらりとあらわれたパーティーの客はサンジの料理をほめちぎり、
ぜひうちのコック長にと誘われた。
つくる食事の量もそこは多いし、
ここで細々と作るより楽しいのは間違いねえ。
だけど・・・。
「・・・やっぱり、あんたんとこには行けねえよ・・・。
ゾロにメシ食わせてやんねえといけねえから・・・」
テーブルにうつぶせてうとうととしながらサンジは返事をした。

ゾロは話の内容から、
社長がサンジを引き抜こうとしていることに気づいた。
そして、サンジが断ったことも。

「オイ、あんた、そのコックは連れていかせねえ」
ゾロの言葉に驚いたように振り返る社長。

「ああ、悪いね。
あまりに美味しいもので、つい・・・。
君が手放したくない気持ちはよく分かるよ」
ゾロの形相にあわてて社長はその場をはなれていく。

見ると、
ワインのボトルが一本転がっている。
どうみても、
話に熱中しながら、
ゆっくり飲んでいる状況ではない。

ゾロは溜め息をつくと、
サンジの身体を抱え上げた。
サンジを荷物のようにかつぐと歩き始めた。
どこかに寝かしておこう。
こいつの仕事はもう終わりだ。

こいつの部屋はどこだ。
「オイ、てめえの部屋はどこだ?」
もう半分眠っているようだ。
「・・・おねえさまのお部屋・・・・」

知るかそんなところ・・・。
あちこち歩きまわって、
やっとそれらしい部屋を見つけた。
ゾロの部屋と違い、
機能的に整頓されている。

ベッドに寝かせて、
その場を去ろうとした時だ。
「・・・ああ、おねえさま。
お待ちしておりました・・・」
そう言いながら、
サンジが抱きついてきた。

「オイ、そうしがみつくなって・・・」
ゾロはとろんとした目で自分を見上げるサンジを見た。
酔いのせいで、顔に赤みがさし、
瞳は潤んでいる。

・・・一瞬、クラリときた。
下半身は、ズキリときた。

「・・・今宵は二人だけで過ごしましょう・・・ね?」
 媚びるような視線。

やべえ・・・。
こいつは酔っ払いだ。
酔ってるんだ。

そう思いながらも、
サンジの顔から目がそらせない。

サンジはゾロを引き寄せると、
うっとりとした表情でキスをしてきた。

ゾロの頭の中は真っ白になった。

サンジの柔らかい舌が口の中で絡み付き、
あっと思った時にはサンジが身体を反転させ、
ゾロはサンジの下敷きにされていた。
ゾロを見下ろすと、
サンジは淫らな笑みを浮かべた。

その瞬間、
完全にゾロの理性はキレた。
 
 
 
 
 
 
 


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伝説の秘宝オールブルー

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