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サンジはずるずると引きずられていた。
「なんだよ、離せよ!!」

「てめえ、誰かれかまわず媚び売りやがって!!!」
ゾロの怒気を含んだ言葉も意に介さず、
サンジは言い返した。

「オレがレディにモテモテだからってひがんでんだな!!!
すべてのレディの愛をひとりじめにする運命だから、
嫉妬してんだな!!!
だいたいてめえの・・・」
サンジが喋り終わらないうちに、
強く顎をひかれ、
口付けられた。

えっ・・・。
驚きに大きく目が見開かれる。
なに?
なんだ、コレ・・・。

目の前には精悍なゾロの顔のアップが・・・。
こいつってムカツクけど結構オトコマエかも、
そんなことを思いながらぼんやり見つめる。

見ていると、
突然ゾロがサンジを離すした。
それから振り返りもせずに、
すたすたと歩き始めた。

サンジはしばらく呆然としていた。
何・・・だよ、
今の・・・。
イヤガラセかよ、
チクショウ!!

冗談じゃねえぜ。
こんなことで動揺してたまるかよ!!
サンジはゾロを追いかけながら、
べらべらと喋り続けた。
振り返らないゾロの側に近寄って、
ツバがかかるくらいの距離でがなりたてた。
「クソ!!! ちょっとアルビダお姉様に好かれてかるっていい気になりやがって!!!
オレのチュウは高けえんだ!!
それをタダで・・・。
純粋なオレ様を汚しやがって!!!
清らかなオレ様を返しやがれ!!!
うわっ!!!」

いきなり立ちどまったゾロの背に、
勢いあまってぶつかって、
倒れそうになった。

ゾロは無言で振り返った。
こめかみに青筋がたってぴくぴくしていた。
キレそうだ。
コイツをどうにかしてくれ!!!!
「犯すぞ、コラ!!!!」

「あァ、やれるもんならやってみやがれ!!!」
サンジもつい、
売り言葉に買い言葉で言い返してしまう。
こうなったら止まらないのだ。

「てめえ、忘れたのか?
オレの腕の中で泣いたことを」

ゾロの言葉にサンジは固まった。
・・・へ?
コイツ、今・・・何、言った?
えーと・・・。
なななな、何の話かな?

実はときどき脳裏をかすめる危険な映像。

なんか抱き締められてたような。
無骨な指でなでられていたような。

サンジは赤面して、
それから脱兎のように逃げ出した。
 
 
 
 
 

「オイ・・・」
しょうがないので、
ゾロもなんとなくサンジを追いかけた。

サンジは足が速い。
しかもパニくっているので、
無闇に走っている。

「・・待ちやがれ・・・」
ゾロもこれ程の反応があったことに驚きながらも、
つい追いかけ続けた。
 
 
 
 
 
 
 

「何で、アニキら走って帰ったんで????」
ジョニーは深夜、
息をきらしながら走って帰った二人に首をかしげた。
今回はちゃんとヨサクが運転手でついていったというのに・・・。

「何でもねえ!!!」
サンジは怒鳴り、
ゾロは憮然とした表情で、
「その通りだ」
と言う。

・・・分からねえ。
何で何でもなくて何十キロも走って帰るんだよ。
・・・なんなんだよ、アニキたち・・・。
ゾロのアニキもサンジのアニキが来てから余計ヘンになった。
いや、カッコいいのは相変わらずだけどよ・・・。

仲がいいんだか、悪いんだか、
オレにはよく分からねえ。
ムズカしすぎる・・・。

ああゆうことがあったっていうのに、
相変わらずだ。
お互いに忘れてるはずねえと思う。

なんかヘンなんだ。
意地はりすぎてるような・・・。

そりゃ、ああゆうことがあったから、
意識しちまうのは分かるかもしれねえけど・・・。

これ以上は・・・か・・・考えないことにしよう。
 
 
 
 
 


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