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サンジはいつものように昼飯のかたづけを終えると、
買い出しのメモを書き始めた。
今から買い物に行けば・・・。
今晩は生きのいい肉料理にしてやるか・・・。

「よお」
頭上からどこかで聞いたことのある声がする。
見上げてサンジは一瞬固まった。

エース。
なんでここに?

「迎えに来た」

あァ?
そういや、パーティーの時、
何か言ってたよな。
えーと。

「言ったろ。
あさってならいいって」

えーと。
言いました。
確かにそんなようなことは。
でも、あれは言葉のあやってやつで・・・。

「あー、でも、オレ、買い出しにいかねえと・・・」

エースは予想通りのやる気のない返事にも動じない。
「んじゃ、手伝ってやる」

そうまで言われて断る訳にも行かず、
サンジは何故かエースと買い出しに行くことになってしまった。

「あれ、エースさん、来てらしたんで・・・」
ヨサクがエースに気づいて声をかけた。
「今、ゾロのアニキを呼んで来ますんで・・・」

「いや、いい。
今日はコイツに用があって来たから」
そう言ってエースはサンジの肩を抱いた。

え・・・、
サンジのアニキに用?
って、何で肩なんて抱いてんすか?

「そういうわけで、ちょっくら買い出しに行ってくるわ」
サンジは少し混乱しながら答えた。

サンジのアニキ・・・。
何で、エースさんと買い出しに????
何で肩なんか抱かせてんですか???
どどど・・・どういうことなんすか?
サンジのアニキは女が好きじゃなかったのか・・・。
エースさんはどっちもイケるってのは聞いたことあるけど。
しかも狙った獲物は逃がさねえって。
あわわわわ。
・・・なんだか妙なことになってねえか。
・・・ジョニーとチョッパーに教えてやらねえと!!!!!
 
 
 
 
 
 

サンジは上機嫌で帰って来た。
エースの初対面の印象は悪かったものの、
結構いい奴だ。
重い荷物でも軽々と持てるし、
ゾロみてえにいちいちムカつくことも言わねえし。
息抜きといって、
レディがたくさんいる天国みてえな店にも連れていってくれたし。
意外に常識的なことも言ってるし、
見かけよりずっとマトモそうだ。

あと、「オールブルー」についても何か知ってるらしい。
あんまり聞けねえから、
聞き流したフリをしたけど・・・。

「いや、ホント、お前の目はオールブルーに似てるよ」
唐突にエースがまたオールブルーの話題を出した。
「へっ、見たことあんのかよ」
サンジは出来るだけ何食わぬ顔をしてタバコをふかせた。
「そりゃ、キレイなもんだぜ。
誰でも欲しくなる。
お前もそうだろ?」
サンジがドキリとするような問いをニヤニヤしながら投げかけるエース。

サンジのオールブルーに対する反応は他の事と少し違う。
女に対する反応はあきれるばかりだが、
気になるのに気にしてないような感じ。
オレのカンはあたるんだ。

「なあ、もしお前の手に入ったらどうする?」
目を覗きこむようにして近づいてくるエースをサンジは見つめ返した。
この目・・・。
嘘を見抜くような、
探りを入れるような視線。
時々エースはこの目をする。
そしてオールブルーを話題にする。

そうするとオレは不安になる。
この男に全てを見透かされているようで。

「慎んでレディに差し上げるさ」
サンジの答えにエースは笑った。
サンジらしいな。
だがそれは多分真実だろう。
なんでオールブルーに興味があるかは知らねえが・・・。

「オレは動かねえ宝石より、動く青の方が好きだ」
サンジは対した反応も示さずに、
エースをじっと見ていた。
・・・お前のことなんだけど・・・。
女の時には過剰反応するクセに、
男に対しては本当に神経を使わないヤツだな。
・・・まあ、そういう所も気に入ってるんだが・・・。

エースは笑いながらサンジのあごに手をかけると、
素早くキスをした。

「・・・てめ・・、毎度毎度、何考えてんだ・・・」
サンジは呆れた顔をしている。

「あー、何となくだ。
飢えてるもんでね」
エースの返事にサンジは溜め息をついた。
こういうことは、レディにしろっての。
いや、レディがエースの餌食になるのもよくねえな・・・。
エースはいいヤツだから、
オレほどではないがレディも好きかもしれねえ。
まあ、一番なのはオレだけどよ。

「腹へってんなら、食ってけば?
クソうめえメシ、食わせてやるぜ」
サンジはそう言って嬉しそうに笑った。
 
 
 
 
 
 
 
 


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伝説の秘宝オールブルー

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