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サンジは興奮しているナミを見て、
汗をだらだら流していた。
あったことは全て白状させられた。
ナミさんが怒っている・・・。
クソスゲエ怒ってる・・・。
しかも、何でゾロとの事なんか知ってんだ・・・。
ナミはにっこりと微笑んだ。
「あんた、自分の立場分かってる?」
「ですから、アレは酔ってたんです」
サンジは必死で弁解しようとした。
「でも、ゾロはどうなのよ?」
「あのヤロウは酔ってなかったらしいです!!!
悪いのはアイツです!!!!」
ナミは大きく溜め息をついた。
酔ってあんたを抱いたのより、
酔ってないのにあんたを抱いた方がヤバいんじゃないの。
ゾロ的には明らかに、
ターゲットはあんたじゃないの。
ていうか、
あんたが「誘った」エースがゾロの家に来て、
そこで一悶着起きたって、
なんで気づかないのよ!!!!
使用人があんたはゾロの特別な相手と確信してるっていうのに・・・。
なんてバカなの!!!!!
まったく・・・。
私のお色気作戦に動じないと思ったら・・・。
どういう好みしてるのかしら、ゾロって・・・。
・・・でも、ものは考えようね・・・。
サンジ君を上手く使えば・・・。
もっとも本人は自覚ないみたいだけど。
サンジはだらだらと汗を流し続けていた。
ナ・・・、ナミさん・・・、こええ・・・。
「あんたは何としてでもゾロから情報を得ること!!!!! いいわね!!!!」
ビシッと指さして言われて、
サンジはぶんぶんと頷いた。
「どんな手を使ってもよ!!!
どうせもうヤられちゃったんでしょ!!!!」
サンジは既に涙目である。
ナミは容赦なく言い放った。
「私のお色気作戦を無駄にしたのはサンジ君のせいだから、
努力料はあんたにツケとくからね!!!」
そばにいたウソップも汗を流し続けた。
いつとばっちりが来るか分からない。
サンジが常々ナミに逆らえないのを知っていて、
好きにこき使っていたのが出来ないので、
ストレスも溜まっている。
宝石泥棒の計画は一向に進展しないばかりか、
自分が色仕掛けまで画策した相手を男に寝取られたのだ。
一瞬気の毒に思ったウソップだったが、
次のターゲットは自分になることは目に見えている。
「・・・ナナナ、ナミ、オレもゾロの所にいって探るから・・・」
ナミの冷たい目がウソップを見据える。
「あたり前でしょう!!!!
さっさと行きなさいよ!!!!」
追い出されるようにしてサンジとウソップはゾロの館へ戻ってきた。
「ナミさんが・・・あんなに怒ってるなんて・・・」
サンジは膝を抱えて涙目だ。
「クソ・・・。それもこれもあのマリモヘッドのせいだ・・・。
誤解されちまったじゃねえかよ・・・」
ぶつぶつ文句を言うサンジにかける言葉もない。
どんよりした空気が漂う。
なおもぶつぶつ言いながら厨房に消えたサンジを見て、
ウソップは溜め息をついた。
その時、不意に声をかけられた。
「オイ、てめえ」
今まで一度もきちんと話をしたことのないゾロが立っていた。
抜き身の剣を手にしている。
凄え眼光だ・・・。
こええ・・。
やべえ・・・。
「あ・・・あああ、ここここ、こんにちは。
本日はよいお日和で・・・。
絶好の剣豪日和で・・・。」
うろたえながら喋りまくるウソップをじっとゾロは凝視した。
いかん!!!
このままでは!!!
恐すぎる!!!
「ここでおかしなマネしてみろ。殺すぞ」
ゾロの言葉にウソップの足ががくがくと震えた。
・・・こええ・・・!!!
こいつは真剣を持ってるんだ・・・!!!
あわわわわわ、こ・・・殺される!!!!
神様、仏様、八百万の神様・・・、お助けを!!!!
「ししししし・・しない・・・・しない・・・!!!!」
そういうと、ウソップは逃げた。
泣きながら、逃げた。
チョッパーが見つけてなぐさめてくれた。
ゾロは時々恐いけど、いい奴だから、と。
ゾロが厨房に入ると、
料理用のテーブルの端にサンジが座っていた。
何かぶつぶつと言っている。
「オイ、なんか冷てえものくれ」
サンジはちらりとゾロを見ると、
むっとした表情になった。
コイツのせいで、
ナミさんが「オニ」みてえになった。
「オールブルー」なんて本当に持ってるのかよ。
ムカつきつつ、
それでも無言で氷を出し、
ゾロの好きなハーブティーを入れてやる。
私情と仕事を混同するのはプロのやる事じゃねえ。
ゾロは不機嫌そうなサンジを見ているとまたムカついてきた。
今日はウソップとどこかに出かけていたようだった。
「オイ、買い出しっていつ行くんだ」
この前、つい言った言葉を思い出す。
「あァ? てめえ、本当にいく気か?」
サンジも確かそんなことを言って言い合いをしたことを思い出した。
しかし、かりにも主人に買いにいかせるわけにはいけねえだろ・・・。
あれは言葉のあやってやつで・・・。
別に本気で言った訳じゃねえ。
だがゾロは真剣な表情をして答えを待っている。
「今から行くぞ」
「はい?」
唐突な言葉にサンジは唖然とした。
そりゃまだ3時くらいだけど、
今日の分はさっき買ってるぜ・・・。
「今晩のはあるから・・・」
ゾロはサンジの腕を掴んで、
ずるずるとひきずってた。
明日は社長会議ってのがある。
明後日もだ。
あのムカつく取引先の社長も来る。
買い出しに行く時間なんてねえ。
メシも食いに帰れねえかもしれねえし。
下手すりゃ一週間かかるとクロは言っていた。
冗談じゃねえ。
「オレは明日はいない」
ゾロは説明したつもりだが、
サンジはゾロの社長としての仕事ぶりはほとんど知らないので、
家で毎日ゴロゴロしていると思っていた。
当然、ゾロの説明はサンジには何がなんだか分からない。
強引に引きずられて車に乗せられた。
有無を言わせず、
車を出すゾロ。
「あっ!!!
ゾロのアニキがサンジのアニキとどこかに行ってる!!!!」
ジョニーの声が嫌でもウソップに届く。
ヨサクとジョニーとチョッパーが集まってひそひそと話をしている。
ウソップは汗を流しつつ、
その場を離れ、
特製の「宝石探知器」を作動させた。