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「やべえよ、ナミ。
あの屋敷に出入りする奴はあのスモーカーが見張ってやがるし、
オレ達のことも調べてる。
オレはなんとかごまかして抜けてきたけど・・・・。
あのスモーカーにさえ、ゾロは宝石のありかを喋らないし・・・。
クロやミホークは我関せずって感じでな・・・。」

ナミは雑貨屋の奥に潜んで、
ウソップからの新たな情報を得ていた。
警察がゾロの家に張り込んでいるので、
もう電伝虫は使えない。
サンジとはしばらく連絡がとれていない。

サンジ君に出した「体当たり作戦」。
本人は失敗って言ってたらしいけど、
またヤられたらしいから、成功でしょ。
だいたいあのゾロをその気にさせるなんて余程のことじゃないと無理なのに。

「それで・・・サンジはここ数日機嫌が悪いんだ。
その・・・・ゾロとまあ色々あるし・・・。
どうやら二人の変な空気にスモーカーが気づいたみたいでさ、
妙にサンジの事を調べさせてるみたいだ」

「その辺は大丈夫よ。
完璧なデータを準備してあるから。」
だから、一番ボロが出るとしたらサンジ本人からだ。
何を口走るか分からないところがあるし・・・。
まったく頭が痛いわね。
ナミは溜め息をついた。
このままでは身動きがとれない。

ゾロはスモーカーにとっても手強い相手らしい。
警察の力をもってしてもオールブルーのありかは分からない。
まったく、扱いづらい男だわね。
 
 
 
 

スモーカーはゾロの屋敷をあちこち歩き回っていた。
どこを歩いても、
探しても我関せずといったゾロ。
そのゾロの表情がたまに変わる時がある。

あの男がいる時だ。
コックのサンジといる時だけ、
無表情なゾロに怒りとかイライラが見える。

サンジのことを聞いても、
ゾロは一言、「うるせえ」としか言わなかった。

サンジにゾロのことを聞いたら、
「アホだ」とか「腹巻き男」とか「寝太郎」とか「方向音痴」とか、
ろくでもないことばかりべらべらと喋った。
ゾロの女関係について聞くと、
「アルビダお姉様」だの「ビビちゃん」だの、「ナミさん」だの「たしぎちゃん」だの、
呆れるほど喋り始め、目はハアト。
世界中の女にモテモテになるのが夢だとか、
聞くのもバカバカしいようなたわごとを連発しやがる。

「で、ゾロの女はアルビダで、男はお前か?」
そう聞くと、一瞬真っ赤になり、
あわてて否定し始めた。
「アホか!!!!
クソマリモとオレはなんの関係もねえ!!!
ふざけんな!!!」

・・・怪しいな。
そう思い、使用人のヨサクって奴を、
ちょっと煙で巻き込んで脅すと、
吐きやがった。

特記事項だ。
既成事実あり。
 
 
 
 

ヨサクは使用人部屋で小さくなってしゃがんでいた。
「オイ、ヨサク・・・まっ青な顔して、どうしたんだ?」
「ウ・・・ウソップか・・・。
殺されるかと・・・、
あのスモーカーって奴に・・・」
ヨサクはうずくまったままだ。

「アニキの秘密を言っちまった!!!!
どうすりゃいいんだ・・・」

ウソップの目がキラキラ光る。
秘密だと?
おれ様の知りたいのはまさにそれだ!!!
オールブルーの秘密なんだ・・・。
「で、そそそ、それは何だ?
だだだ・・・誰にも言わねえ!!!」
まさか、ヨサクが知ってたとは。
いや、やっぱり知ってるよな・・・。
ずっとこの家にいるんだからな。

「アニキ達がただならぬ関係だってコトだよ!!!」

ずーーーーん。
・・・知ってるよ・・・それなら・・・。

ナミの「体当たり作戦」の翌日、
サンジにはさんざん文句を言われた。
「オレは悪くねえ」とか、
「何もしてねえのに」とか、
文句のいいまくり。
・・・でも、
ゾロに甘いよな。
大体、あの笑顔はやべえよな。
あんなに嬉しそうに笑われたら、
その気のある奴は勘違いするぜ。

はっきり泣いたあとが分かる顔で文句言われたってな・・・。
やべえだろ、
あの顔はよ。
すがるような目をして見られて、
不覚にもウソップ様とあろうものがドキドキしてしまった。
オオオ、オレにはカヤという女が・・・。
サンジは自分のことしか見えない奴だから、
他の奴がどう考えてるかなんて気づきもしない。

今はまたゾロが仕事だとかで屋敷に帰ってこない。
サンジはまたオレたちに機嫌よくメシをつくりはじめた。
前の時のゾロのこええ顔をオレ達は忘れちゃいねえ。
サンジのメシはうめえよ。
でもゾロはこええんだ。
どうすりゃいいんだ。

オオオ、オレはこういう問題にかかわりたくねえ。

だけどこのままじゃラチがあかねえ。
ここにいつづけるしかない。

けど、どうしてオールブルーは無いんだ?

まさか宝石探知のできないあの物質で囲まれているのでは・・・。
だったら、
もし「ここ」にあっても分からない。
「ここ」になくても分からない。

ゾロ不在の今はチャンスだ。
けど、スモーカーがずっとこの屋敷には詰めている。
オレ達がこれほど探して見つからないんだ。
やはり警察でもありかは分からないらしい。

伝説の宝石。
どこにあるんだ。

確かにこれはかつてない難仕事だ。

だがオレ達は盗ってみせる。
それが麦わら海賊団だ!!!

ここで天才発明家にして大泥棒、ウソップ様の腕の見せ所だ!!
最後に笑うのはオレ達だ。
そして偉大なウソップ伝説は続くのだ!!!
 
 
 
 
 
 

「大変だ!!!!! サンジのアニキがあああああああ!!!!!!」
ジョニーが泣きながら大声で走りこんできた。
 
 
 
 
 
 

「アニキが・・・逮捕された!!!!」
 
 
 
 
 
 


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伝説の秘宝オールブルー

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