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ナミはふるえる手で新聞を受け取った。
見出しには、
「麦わら盗賊団の一味逮捕!!」
とでかでかとかかれている。
写真はよく見るとサンジだが、
違う男にも見えなくもない。
「オールブルー専用警備設備破壊の現行犯で逮捕。容疑者は黙秘を続ける」
との短い記事が載っている。
何故逮捕されたのか?
本当に、オールブルー警備設備というものがあったのか。
それはウソップの情報にはない。
どういうことなの、サンジ君。
何があったの。
何をしたの、貴男。
ロロノア・ゾロは書類に判を押してためいきをついた。
ちっ、くだらねえ。
だから会社に来るのはイヤなんだ。
普段こねえから、
仕事はたまる。
オレの性分じゃねえんだよ、こういうこたあ。
もう何日ここから出てねえんだ。
オールブルー事件の応対もわずらわしい。
ここでいるとあのスモーカーとも遭わねえし、
静かでいい。
ヤツらがオールブルーを見つけることはできねえ。
ありかを知っているのは、
オレと。
クロと。
ミホーク。
そこ以外から情報が漏れることはねえ。
それは閉ざされた情報だ。
あの女は、警察を通して情報を得るつもりだ。
そうはさせねえ。
しかし、ここにいるのも飽きた。
クソッ。
身体もなまっちまうし、
食い物もまずい・・・。
アイツ・・。
どうしてっかな。
あのアホコック・・・。
またヨサクやジョニーにメシ食わせてるだろうよ。
クソ・・・。
アイツが何だってんだ。
ヤツが何しようと、
オレには関係ねえだろ。
アイツが側にいるとイライラするから、
仕事してりゃちょうどいいかと思ったんだが、
クソ・・・。
やっぱり落ちつかねえじゃねえか。
あと少しで今月の仕事は終わる。
とっとと終えて、
家に帰るか・・・。
ゾロはいつものように迎えの車を待った。
ヨサクが憔悴しきった顔であらわれた。
「ゾロのアニキ・・・。
お待たせしました・・」
様子がおかしい。
「オイ、何かあったのか?」
「サンジのアニキが・・・・。
逮捕されました。
2日前です。
容疑はオールブルー窃盗容疑です。」
ゾロの表情が硬くなった。
逮捕?
サンジが逮捕?
バカな・・・。
いや、あいつはナミの一味だ。
逮捕されるのはあたり前だ。
当然のことだろ。
どうせ宝石を探していて、
スモーカーに見つかったんだろ。
あいつは泥棒の一味だ・・・。
当然の報いだ。
いつかは逮捕される・・・。
そして監獄に入り・・・。
オレの元から、去る。
・・・ダメだ。
そいつはダメだ。
何でか分からんが、
とにかく、
ダメだ。
アイツは、
オレのコックだろ?
「車を出せ。どこに投獄されている?」
なぜ、オレに知らせなかった。
2日も前に!!!!
知っていたら。
アイツは盗賊団の一味だ。
だが、オレにとっては・・・・。
関係ねえ・・・。
そんなこたあ。
サンジのメシが食いてえんだ。