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ゾロはサンジの前に座っていた。
スモーカーが面会を許可したのだ。
スモーカーの配慮で、
ガラス越しではなく、
直接会う事ができた。
何日かぶりに見るサンジはやつれて顔色も悪い。
何でも寝込んでいたらしい。

「よお」
ゾロの言葉にサンジは返事をしない。
「はやくメシつくりに帰ってきやがれ」

・・・まるで夫婦の会話じゃねえか。
スモーカーは秘かに別室で盗聴しながら顔を顰めた。

「オレのメシ、食いてえか?」
「おう」
「へへへ、そうだよな」
サンジは照れたように笑った。

・・・か・・可愛いかもしれねえ。
ゾロはぼりぼりと頭をかいた。
あーーーー、
イロイロしてえなあ。

「大体・・・てめえのせいでこんな目に・・・・。
世界にはレディがたくさんいらっしゃるというのに、
ちっとも御会いできねえんだ・・・」
ほとんど独り言のようにぶつぶつとサンジはつぶやいた。

またこいつはこんなことを言ってやがる。
スモーカーは葉巻きを吸い込み、
軽く息を吐いた。
非公式だがこれは証拠となりうる。
重要な任務だ。
会話の中に事件解決の鍵が含まれるに違いない。
ゾロとサンジのぼそぼそとした会話は続いている。
一言も漏らさぬように聞いておいて、
自白の時の証拠として提示する。
そのためには神経を集中させて聞きもらさねえようにしねえとな・・・。
 
 
 

「・・・オレがいる時に壊しゃこんなことにならなかったのによ」
「しょうがねえだろ・・・・。
けど、てめえのせいだって言ってるだろ!!!
死んでもレディには見せられねえもんが映ってたんだからよ!!!!」

サンジは見た事に対しては黙秘を通してきた。
どんなにフルボディが暴力を使っても吐かなかった。
・・・やはり、何かを見ていた。

「あ・・・。アレか?
・・・あん時の?」
ゾロの返事にスモーカーは聞き耳を立てた。

「アレだよ・・・。
・・・言えるわけねえよ。
ヤられてんのが映ってましたなんて・・・」

・・・はァ?
スモーカーはくわえていた葉巻きをぽろりと落とした。

「あーーー、そりゃそうだな」

「オレはひでえ目にあったってのに・・・。
だからよ。
動転して全部壊しちまった、ハハハ」

スモーカーは開いた口がふさがらなかった。
はア?
それはアレか・・・・?
色恋沙汰っちゅうか・・・・。
痴話喧嘩っちゅうか・・・・。
 

「だってありゃ強姦だろうが」
サンジは悔しそうにゾロを見上げて言った。
あれを忘れたことはない。
苦痛と、恐怖と、なのに快感を伴っていたあの時間。
「あんなコトするなら、もうてめえにはメシつくらねえ」

「あー、悪かった。
・・・ていうこたあ、
メシ我慢すりゃ、
ヤってもいいってことか?」

「殺す!!!!」
サンジがケリを入れたのだろう。
何かが倒れたり、
投げたりする音が響きわたる。
 
 
 
 
 
 

「貴様ら、何の騒ぎだ!!!!」
「止めないか!!!!!」
「うわあっっっ!!!!」
「暴れるなあっ!!!」
監視員がサンジをとり押さえているらしい。
隣室ではえらい騒ぎになっているようだ。

-----ただいまD面会房で容疑者が暴れている。----
-----至急急行するように!!!!-----
-----くり返す。D面会房の容疑者が暴れている。----

館内放送が流れ、
緊急召集までかけられている。
たくさんの男たちの走る足音がスモーカーのいる場所にも聞こえてくる。
 
 
 
 
 
 
 

スモーカーは床に突っ伏したまま、
動けなかった。

何てことだ!!!!!
アホらしすぎる!!!!!
信じられん!!!!!
今回の逮捕劇の真相が!!!!!
クソおおおお!!!!
麦わら盗賊団一味逮捕の真相が!!!!!
 
 
 
 

隣室ではいつまでも騒ぎが続いていた。
 
 
 
 
 


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