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スモーカーはゾロとともに警察本部の特別室に足を踏み入れた。
サンジの仮釈放に対する条件として自分が出したものだ。

「オールブルー」を警察の責任で保管すること。
ゾロには事情を話した。
ミホークがサンジを追放するという狙いで予告状を書いた疑いがあることを。
サンジの容疑が100パーセント晴れたわけではないことを。

例のディスクとの交換条件のようなものだ。
ゾロは自分の都合の悪い映像を処分できる。
その代わりに「オールブルー」を守る権利を警察に委ねる。
あのディスクは強姦罪として訴えられかねないものだ。
だが、サンジは多分そういうことはしないだろう。
サンジをゾロの元に返すことにも一抹の不安があるが、
そういう色恋沙汰は警察の介入すべき問題ではない。

オレの任務は「オールブルー」の警備だ。
それだけだ。

目の前には最新鋭の警備システムに守られた「オールブルー」が輝いていた。
 
 
 
 
 
 
 

スモーカーが本部で仕事をしていた時、
ひょっこりゾロがあらわれて、
ポケットから無造作に取り出した青い石。
それは幼児の拳ほどの大きさのある、
青い青い宝石。

スモーカーが見たどんな宝石よりも巨大なそれ。
「オールブルー」。
誰もが一度は見てみたいと願う、
幸せの宝石。

・・・でけえな。
さすがのスモーカーも驚く程の大きさ。
光が射すときらきらと反射して薄い青になる不思議な宝石。
 
 
 
 
 

「この警備室なら、絶対に安全だ」
スモーカーの言葉にゾロは反応すらしない。
「どうでもいい。
アイツを連れに来ただけだ」

サンジが釈放される時間は今日の正午。
そう伝えてあったら、
ゾロは正午前にやってきた。

スモーカーは驚きつつも、
万全の警備を施した「オールブルー」をゾロに見せることにした。
いくらぞんざいな扱いをして見せても、
ゾロが持ち主であるし、
とてつもない宝石であることは間違いない。
杜撰な警備をしていないということをゾロには見せておかねばならない。

「オールブルーはオレたちが守る」
スモーカーは力強く宣言した。

それから、場所を移動し、
サンジがいるはずの房へと向かった。
 
 
 
 
 

「サンジはどこだ?」
スモーカーはからになった独房を見て首をひねった。

「前被疑者サンジはたった今、釈放されて出ていきました」
新入りの警備員がスモーカーの迫力に怯えながら答えた。

「あァ?身許引受人がいねえのに出したのかよ」

「身許引受手続は完了しました。
この書類をごらんください」
 
 
 
 
 
 
 

スモーカーは書類をひったくるようにして、
そこに書かれている名とサインを見た。
・・・?
誰だこりゃ・・・。
ポートガス・D・エース?
こいつは確かロロノア・ゾロのダチだろが・・・。
 
 
 
 
 
 

ゾロはエースのサインを見てブチ切れそうになっていた。
「あの野郎!!!!!!」
こめかみには青筋がたち、
ピクピクしていた。
 
 
 
 
 
 
 

・・・なんだこりゃあ。
スモーカーは葉巻に火をつけ、
大きく吸い込んだ。
そういえば、
以前コックの身辺調査をしたときにヨサクやジョニーが言ってたよな。
「エースさんもサンジのアニキに目をつけてるみたいです」
とかなんとか。
・・・オレは普通の捜査がしてえんだ!!!!!
また、こういう展開かよ!!!!

しかし、・・・トンビにあぶらげってヤツかよ・・・。
ロロノア・ゾロ・・・。
不運なヤツ・・・。
 
 
 
 
 
 


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伝説の秘宝オールブルー

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