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スモーカーはさっきから、ずっと考え続けていた。
どうやって、ボン・クレーから真実を隠蔽するか。
サンジはちょっと質問されただけですぐにバレるような反応をする。
なんとかして、あの忌々しいオカマに勝ちてえもんだ。
それにはこいつにシラきりとおさせるしかねえ。
・・・分からん。
どうやりゃ、ごまかせるんだ・・・。

サンジはもの凄い剣幕で葉巻きを吸い続けるスモーカーを見て汗を流した。
・・・なんだって、コイツ、
葉巻き吸ってるんだよ。
ケムリだらけで、
部屋の中が見えねえっての・・・。
すげえ目が座ってる・・・。
正気なんか?
でも、こええから、聞けねえよな。

ジリリリリリリ!!!!
突然、警報機がけたたましく鳴りだし、
天井から水が降って来た。

スモーカーは反射的にサンジをひっつかむと、
床に伏せた。

・・・何だ・・・、
何が起きた!!!!

ドアが開かれ、
男達がドカドカと入って来た。
「火元はどこだ!!!!」
「確認!!!!」
男たちはもうもうと煙の立ちこめる部屋をぐるりと見渡し、
床に倒れているサンジとスモーカーを見た。

新入りの消防隊員は我が目を疑った。
火事の警報が鳴ったので、
あわててこの部屋に来たら、
煙の立ちこめる中、
かのスモーカー警部が若い男を組みしいている。
「バカ者、何をぼけっとしておる!!!!
早く、火元の確認をせんか!!!」
上司がわめきながら部屋に足を踏み入れ、
やはり固まった。

スモーカーが何か言おうとした瞬間、
「もも・・・、申し訳ありません!!!!
とんだお邪魔を!!!!
撤収だ!!!」
明らかにバツが悪そうな顔をして、あわてて部屋を出て行く男たち。

「オイ・・・」
スモーカーが声をかける間もなく、
そそくさと男たちは出て行った。

「・・・重いんだけど、クソ野郎」
すぐ側に、水に濡れたサンジの顏があった。
金の髪がしっとりと水をすい、
ちょっと困ったような青い瞳がじっとスモーカーを見つめている。
スモーカーの脳裏に、
いつか見たゾロとの情事の画像が蘇る。
そういや、エロかったな、アレは。
それから、今の自分の状態を考える。
つい、条件反射でこいつをかばっちまったが、
この状態はやべえんじゃねえか。
オイ、オレにはそういう趣味はねえはずだぞ。
だが、こいつ、確かに良く見るとエロい。
まずい・・・。
まずいんじゃねえか、コレは。
 
 
 
 
 

「じょうだんじゃなーーーーーいわよーーーーーーーう!!!!!!!!!!!!!」
雄叫びとともに、
ドアが粉砕され、
ボン・クレーが転がるようにして部屋に飛び込んできた。
先程の火事さわぎから撤退する男たちが言っていたこと、それは・・・。
「濡れ場を見てしまった!!!」
「まさかあのスモーカー警部が、あんなことを!!!」
「あの金髪の男は容疑者じゃなかったのか?」

まさか、
あのスモーカーが?
エースも少し驚きながら、
スモーカーがサンジの取り調べを行っているはずの部屋へ向かった。
 
 
 
 
 
 

スモーカーはあわててサンジから離れると、
葉巻きを手にして火をつけようとして、
我に返った。
オイ・・・、
こいつの煙で火災警報装置が作動したのか?
しかし、それしか考えられねえ・・・。
・・・最悪じゃねえか。
これもみな、コイツのせいだ。
このサンジのせいじゃねえか。
このオレ様ともあろうものが、
一瞬その気になりかけちまった。
 
 
 
 
 

ボン・クレーは仁王立ちになって部屋の様子を見た。
なによう。
濡れ場違いじゃないのよう。
期待したあちしがバカだったわよう。

エースも部屋に入り、
ぐっしょり、ぬれそぼっているサンジを見つけた。
・・・エロいじゃねえか。

気をきかせたボン・クレーが、
「あんた、着替えないとだめじゃないよう!!!!
服乾くまで、着替えかしてあげるから、
ココにいなさいよう!!!!」
そう言うと、素早くサンジを別室に連れ込んだ。
そして、サンジにぴらぴらしたガウンを渡すと、
急かして、着替えをさせた。
サンジはあわてて、
服を脱いで、
びらびらしたガウンだけを身にまとった。

ボン・クレーは部屋を出ながら、
エースを振り返り、
またびしっと親指をたてた。

エースもニヤリとして親指をたてた。

彼らの友情にはもう言葉は要らなかった。
 
 
 
 
 

エースは風呂上がりのような姿のサンジに近づいていった。

「まったく、ヘンなことになっちまって。
服が乾くまで帰れねえよ、
こんなナリじゃ」
まったく警戒してないサンジの腕を掴んで、
耳もとで囁いた。

「なら、ちょっと、オレと遊んでみるか?」

エースの言葉にサンジは首をかしげた。
あァ?
遊ぶって、何を?

「オトナの遊びだよ。
てめえもガキじゃねえから、
分かるだろ?」

え?

固まるサンジに軽い調子で続ける。
「それとも、まさか恐いとか?」

「冗談じゃねえ。何で・・・」

「なら、きまりだな」
言うと同時にサンジはエースに抱きしめられた。

え?
何・・・?
何だよ、コレ?

「いいコにしてたら、
オールブルーの秘密について教えてやるよ。
お前はここにあるあれが本物かどうか知りたいんだろ?
知りたいだろう?」

サンジは目の前にエースの顏が近づいてきたが、
サンジは逃げなかった。
エースはゆっくりとキスをすると、
ニヤリと笑って言った。

「オールブルーの秘密を知っているのは、
ゾロとミホークとクロとオレ、
それからお前。
お前、見たんだろう。
もう一つのオールブルーを」

もう一つのオールブルー??!!
サンジの脳裏に、
一瞬、ゾロの顏が浮かんだ。

無意識にエースから逃れようとするサンジを、
逃がさないようにがっちりと押さえつけながら、
小声でエースはサンジに言った。

「お前、食いてえヤツには食わしてやるんだろ。
なら、オレにもお前を食わせろ」
 
 
 
 
 

エースはちらりとカメラのある方を見た。
ボン・クレーが見ているはずだ。
あるいはスモーカーも。
他人に見せるのは趣味じゃねえが、
今ならヤれる。

じゃ、いただくとするか。
 
 
 
 
 
 
 
 


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伝説の秘宝オールブルー

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