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ナミは日々焦りを募らせていた。
情報がない。
スモーカー警部の監視する地からはほとんど情報が漏れてこない。
・・・大したものだわ。
ここまで秘密漏洩をふせぐとは。
でもターゲットが困難であるほど燃えるのが麦わら盗賊団なのよ。

サンジ君の方からは情報が入らない。
ゾロは現在、会社でカンヅメらしい。
最高の競争をして、
最高の地位を手に入れること。
これがミホークとクロの出した条件。
彼らの目標を達成した後は、
ゾロの好きにしてかまわない。
ゾロの好きな相手と何をしてもかまわない。
そういうことらしい。
サンジ君のことに対して彼らの精一杯の譲歩。
ゾロはそれを選んだ。
どんなことがあっても、
前にしか進まない男。
剣で戦うのではなく、
知の戦略で戦う。
そして富と地位と名誉を手に入れる。

何度もサンジ君を抱いたゾロ。
それは本気?
それともほんの遊び?
ゾロが今、戦ってるのはゾロ自身の野望のせい?
それともサンジ君のせい?
分からない。
私には、分からない。

オールブルーの警備データすら、
アクセスできない。
確かに、
完璧な警備のようだわ。

それでは、スモーカー個人に関するデータを更に収集することにするわ。
「噂」の範疇まで調べてみると・・・。
「スモーカー警部は本当は甘いものが好きだ」
「スモーカー警部のお姉さんは警部にそっくりだ」
・・・本当にくだらないわ。
・・・あれ、これ、何かしら?
「或る取調室にての記録」

へえ・・・。
"警部が部屋の中でびしょぬれになって男を組み敷いていた"
"泣かせたからか警部は機嫌をとっていた"
"相手の男はどうみてもヤられていた"
"その男が帰ったあと、ボン・クレーに渡していた金は手切れ金に違いない"
まさかあの強面で堅物そうなスモーカー警部がそんなことを・・・。
人は見かけによらないもんだわ。
そっちから、
情報をひきだせないかしら。
相手の男は・・・、
"見事な金髪に、黒いスーツ、白い肌、細いうなじ"か・・・。
はい?
どっかで見たような。
"名は伏せておくが、スモーカー警部自らが頻繁に取り調べを行った元被疑者である"ですって?
・・・ははは、まさかね。
"帰るときはタバコを吸う元気もなかったから、警部がよほど激しかったのに違いない"ですって?
サンジ君?
まさか・・・サンジ君?

どういうことなの。
サンジ君と接触するしかないわ。
 
 
 
 
 
 

サンジはウソップからナミの伝言を聞いた。
「えっ・・・・ナミさんがオレに会いたいって?
ああ、ナミさんと久しぶりにお会いできるんだ。
忌わしい記憶は忘却の彼方に捨て去って、
ナミさんと愛を語り合えるんだ。
運命よ、ありがとう!!!」
サンジのテンションにウソップはためいきをついた。

「けどなあ・・・ゾロやエースの事はどう・・・」
「言うなあぁぁぁぁぁぁ!!!!!
悪霊退散!!!!!」
ドカッッッッ!!!!
サンジの鋭いケリが入り、
ウソップはふっとばされた。

「おやおや、取り込み中かい?」
エースがにやにや笑いながら立っていた。
最近、毎日のようにゾロの館に来ているのだ。
 
 
 
 
 
 

・・・間・・・間男だ。
ウソップは冷汗を流した。
ある日を境に、サンジとエースの雰囲気が急変した。
オールブルーを見に行くと言って出た日だ。
その日のことをサンジは絶対にしゃべろうとしない。

サンジは何も言わないが、
見ているだけでただならない雰囲気を感じる。
二人だけでいる時に、
腕の中にすっぽりと抱きしめられていたとか、
頭をなでて、
なぐさめられているようだったとか、
日々新たな目撃情報が入るのだ。

ゾロはどうなってるんだ。
ジョニーやヨサクがミホークやクロから聞いたことによると、
ゾロは彼らに「サンジをモノにするため」に「世界一の社長・富豪」になると公言したらしい。
そのために慣れぬ社長稼業に精を出しているらしいのだが・・・。
足元に火がついてるっていうか、
それどころじゃないだろ。

不倫だろ・・・。
これって不倫だろ。
いや、サンジはゾロのものじゃないだろう。
サンジはゾロがスキなのか?
ゾロはサンジがスキみてえだけど。

サンジの奴は自分がどう見えるかなんて頓着しない。
この前だって、甘えるように話しかけてきた。
本人は気づいてねえみてえだけど、
ヤバいんだよ。
どうみても、ヤバい。
なんちゅうか、艶があるっちゅうか、
雰囲気ヤバいよ、最近。
それはきっとゾロのせいだと思うが、
エースが毎日来始めてから、
急に加速したって感じ。
なんかクラクラきそうだったから、
忙しいからって言うと、
傷付いたような目をする。
それから、
「てめえにはキノコばっかり食わせてやる」
とか、
「ウソツキ魔人のくせに」
とか、
ムキになって文句を言う。
ガキだ。
すげえガキだ。

・・・サンジには誰かついてた方がいい。
それは女じゃ駄目なんだ。
・・・ゾロだよな。
ゾロがいい。
エースより、
やっぱりゾロがいいと思う。
エースはサンジを手玉にとってるって感じだ。
サンジはエースといる時は、
いつも何だか悲しそうな顔をしている。
ゾロといる時は、
ケンカばっかりしていたが、
いきいきしていた。

ロロノア・ゾロ。
早く帰って来い。

いかなオレでも・・・、
サンジの貞操は守れない。
正義の人、ウソップ様といえども、
エースとサンジの危険な雰囲気には手出しできないのであった。
どーーーーーん。
 
 
 
 
 
 
 
 


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伝説の秘宝オールブルー

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