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「聞いてくれよ、ナミさん!!
御主人様は腹巻き男でゾロで、
バカで方向音痴で寝腐れ男で蹴りに強ええんだ!!」
ナミはサンジが意味不明なことを言うので、
イライラしていた。

「サンジ君!!
ちょっと説明しなさいよっ!!」
電伝虫に向かって大声で叫ぶが、
帰って来た返事は、
「怒ってるナミさんの声も素敵だ!!」
だった。

サンジはルフィがとあるレストランで働いていたのを引き抜いてきたのだ。
とにかく女と見れば、
鼻の穴をふくらまし、
目はハート。
有頂天状態がずっと続く。
本人は記憶すらあやふやになるので、
病気の域に近いと思うけど・・・。

まあ、私の思い通りにいろいろしてくれるから都合はいいんだけど。
今回、ちょうどロロノア家の料理長が辞めるというので、
急遽小細工をしてサンジを送りこんだのだ。
女にはめろめろだが、
サンジはケンカも強いし、
見た目より知識も思考力もある。
行動も速いし、
カンも良い。
頭脳作戦も可だ。
一見バカなことばっかり言ったり、したりしているように見えても、
作戦の本質をついて行動していたりする。

狙いがはっきりしているから、
彼なりのアプローチで情報を確実に入手するのは間違いない。
その点は任せられる。
・・・結局、
サンジからの連絡では、
「人が少ねえ」
「レディがいねえ」
そればっかりくり返し言っていた。

サンジ君、
口数多いからなあ。
ま、
ああ見えても、
本当に大事なことは絶対に喋らないんだけどね。
あんなにかしずいてる私にも喋らないことがある。
物凄く分かりやすいように見えて、
なんか屈折してるところがあるのよね。
にぎやかな所が好きなくせに、
たまに一人でじっとしているような時もあるし。

ゾロって男は変わってるらしい。
私が集めた情報の全て。
ものすごく他との接触が少ない。

実業家としての腕は大したものだ。
もっとも秘書の「百計のクロ」といわれる男が有能らしい。
ロロノア家の金銭的な管理はクロがしている。
対外的な管理は執事のミホーク。
この男も有能だ。
ゾロの剣の師匠でもある。
世界一の剣豪をめざしているというゾロ。
まったく、金持ちは何考えているのか。
真剣試合なんかもやってるらしい。
とにかく剣士として、
その筋で知らぬものはないらしい。
あと、
ゾロが「バケモノトナカイ人間」を膨大な価格でオークションで買った話も有名だ。
何でも、ヒトとケダモノの混血らしいけど、
今は生きてるか死んでるかすら分からないソレ。
道楽で買えてしまうなんて、
バカげてるわ。
命すら金で買える時代だ。

ロロノア・ゾロ19才。
滅多にパーティに顔を出さないが、
幼馴染みのエースはにぎやかなことが好きだ。
エースのパーティーだけにはたまに顔を出す。
あちこち飛び回っているエースが来週パーティーを開くという。
来るもの拒まず。

とにかく、
そのパーティーで接触してみることにするわ。

なんなら、
私の女の武器を使ってもいいわ。
滅多にしないんだけど、
お色気作戦ってやつね。

私がその気になれば、
ちょっとしたものよ。

たいていの男はイチコロよ。
 
 
 
 
 


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